「相手の立場に立って考える」とは、相手の気持ちや考えをくみ取って立ち振る舞うことです。相手の立場に立って考えることは、日々の生活の他、ビジネスシーンや就職活動・転職活動中などおいても必要不可欠です。

本記事では、相手の立場に立って考えられる人の特徴や就活・転職活動時の自己PRとしての伝え方、身に付けるために必要なことなどについて解説します。言葉としても使いこなせるよう、言い換えや英語表現もまとめました。

  • 相手の立場に立って考えるとはどんな意味?

    「相手の立場に立って考える」ことの意味やメリット、自己PRに使いたい場合の例文などを紹介します

「相手の立場に立って考える」とはどんな意味?

「相手の立場に立って考える」とは、「自分が相手だったらどのような発言や行動をするだろう」と相手の気持ちを読み取ろうとすることです。ビジネスの場や就活はもちろん、プライベートでも、相手の気持ちをくみ取って考えて行動することは、良好な人間関係を築く上で非常に重要です。

なお相手の立場に立って考えるときに注意したいのが、相手の顔を思い浮かべることではないということです。これでは自分の立場から相手を思い浮かべていることになってしまいます。

相手の立場に立って考えるときは、相手から見た自分自身がどう見えているかを想像してください。そして自分の言動によって、相手がどのような気持ちになるかを想像するのです。これが「相手の立場に立って考えられるようになりたい」と思ったときの大切なポイントです。

相手の立場に立って考えることができる人の特徴

  • 相手の立場に立って考えることができる人の特徴

    相手の立場に立って考えられる人の特徴を解説します

相手の立場に立って考えているつもりでも、実際に相手はどう思っているか不安ですよね。周囲の人から見て、相手の立場に立って考えることができる人には以下3つの特徴があります。

  • 聞き上手・傾聴力がある
  • 相手がどのように受け取るかをイメージできる
  • 自分の意見ばかりを押し付けない

自分に当てはまる箇所があるか、どのような特徴が自分に不足してるかを比較しながら読んでみてください。

聞き上手・傾聴力がある

相手の立場に立って考えられる人の特徴として、聞き上手な人が挙げられます。

例えば、自分が話をしているとき、相手がその話を遮って意気揚々と話をしたとします。話している人を遮って自分の話をする人に対して「相手の立場に立って考える人だ」と思うでしょうか。きっと自分のことしか考えない人という印象を受けるでしょう。

逆に、自分の話を最後まで聞いてくれて、必要に応じて相づちやアドバイスをくれる人に対しては、相手のことを考えてくれているという印象を受けるでしょう。傾聴力がある人は、相手の立場に立って考えられる人が多いという印象を与えることができます。

相手がどのように受け取るかをイメージできる

相手の立場に立って考えられる人は、相手の気持ちをくみ取るのが得意な人です。自分が何か発言をすることで、相手はうれしいのか、悲しい気持ちになるのかを瞬時に判断して発言することが得意であったり、自然にできたりする人が多くいます。

特に「自分が言われて嫌なことは、他の人にも言わない」ということをできる人は、相手にも不快感を与えず、相手の立場になって考えられる人といえるでしょう。

自分の意見ばかりを押し付けない

人の考え方、価値観はそれぞれです。だからこそ相手の気持ちを考えるときも、自分の視点で「こう思うはずだ」と決めつけるのではなく、経験や知識を利用してさまざまな角度から想像することが大切です。

良かれと思っても、自分の意見や決めつけを相手に押し付ける人は、相手の立場に立って考えられる人とは言えません。

自分の意見をいうことも時には大切ですが、強要ばかりすると「この人は私の気持ちをわかってくれない。自分勝手な人だ」と判断されてしまいます。常に相手の気持ちを想像しつつ、仮に自分の想像が間違っていた場合は、すぐに軌道修正しながら対話を続けることが大切です。

「相手の立場に立って考える」ことのビジネスにおけるメリット

  • 「相手の立場に立って考える」ことがビジネスで役立つ理由

    人との関わりが大切なビジネスにおいて、相手の立場に立って考えることは欠かせないスキルです

ここでは相手の立場に立って考えることが、特にビジネスシーンのどの場面で役に立つかや、メリットについてご紹介します。

円滑なコミュニケーションを図れる

どのような職業、職種においても人とのコミュニケーションは避けて通れません。もし相手の気持ちを考えない発言ばかりの人がいたとすると、相談や取引依頼はその人ではなく、可能な限り別の人にしたいと考えるのが一般的でしょう。上司や部下、取引先、できれば関わる全ての人と良好な関係を築きたいものです。

相手の立場に立って考えられる人は、相手に不快感を与えず、円滑なコミュニケーションが取れる人といえます。

相手が何を求めているかわかるようになる

全てのビジネスシーンにおいて、相手が求めていることを察する能力は役に立ちます。

例えばあなたが接客業の場合、お客さまの要望も聞かずに商品を押し売りしても、お客さまは購入しようと思いません。営業職においても、取引先が何に困っていて、何を解決したいか相手の立場に立って考えることで、最適な商品や情報の提供が可能になります。

相手の立場に立って考えることは、お客さまが真に求めていることを知るために役立ちます。

人からの信頼を得やすい

あなたはどのようなときに「この人は信頼できる人だ」と思いますか。

例えば人の話を最後まで聞かなかったり、相手の目も見ず話を聞いたりする人は信頼を得にくく、一緒に仕事をしたいとは思いません。

逆に、常に相手の話をしっかりと聞いた上で、気持ちに寄り添い、親身になって考えてくれる人は信頼されやすく、この人と一緒に仕事をしたいと思ってもらえるでしょう。

「相手の立場に立って考える」ことを自己PR・長所として伝える際のポイント

  • 「相手の立場に立って考える」ことを自己PR・長所として伝えるときのポイント

    相手の立場に立って考えるスキルをアピールする上でのコツを解説します

ここでは「相手の立場に立って考える」ことを就活や転職活動の自己PR、長所として伝える際のポイントをご紹介します。あなたの魅力がより伝わるよう、以下のポイントを意識して伝えてください。

具体的なエピソードを踏まえて話す

就活・転職活動の面接や応募書類において、「相手の立場に立って考えられる」という強みだけを伝えても、内容がフワッとしていて具体性に欠けます。具体的なエピソードや経験談と一緒に自分の強みを伝えましょう。

具体例を紹介します。

  • 学生時代のアルバイトでの経験を話す場合の例

私の強みは、相手の立場に立って考えられることです。大学生活と並行して、飲食店でアルバイトをしています。常に店内を見回し、注文したいお客さま、お冷のグラスが空のお客さまはいないかなど、自分がお客さまだったら何をしてほしいかを考えながら動きました。その結果、相手が求めていることを常に考え、相手の立場に立って考えることが自然とできるスキルが身に付いたと思います。

その企業でどのように活かせるか伝える

相手の立場に立って考えられることが、企業でどのように活かせるかについても伝えられると説得力があります。

相手の立場に立って考えることは、どのような職業でも役に立ちます。また「相手」はお客さまだけでなく、一緒に働く社員でも同様です。「この人を採用すると、こんな雰囲気で活躍してくれそう」と面接官が採用後のイメージをしやすくなるので、採用された後の活かし方も話す準備をしておきましょう。

得た学びや成果を数字などで具体的に表す

就活・転職活動の面接や応募書類において、具体的な数字を用いて話すとわかりやすく、信頼も高まります。

例えば、相手の立場に立って考えたり行動し始めたりしたことで受注率や売り上げが○%上がった、集客数が○人増えたなど、数字を使うことで結果を具体的に伝えられます。

「相手の立場に立って考える」ことをアピールしたいときの例文

  • 「相手の立場に立って考える」ことをアピールしたいときのOK例文・NG例文

    どう「相手の立場に立って考える」ことができるのか、アピールの仕方も重要です

続いて、「相手の立場に立って考える」ことを面接や応募書類でアピールしたいときの良い例、悪い例を紹介します。

「相手の立場に立って考える」ことをアピールしたいときのOK例文

私の長所は、相手の立場に立って考え、行動できる点です。例として3年間、個別塾の英語講師としてアルバイトをした経験をお話します。個別塾は、複数人を同時に教える塾と違い、一人ひとりにあった進め方、やる気の引き出し方が求められます。

「勉強が嫌い」というある生徒に対しては、原因を聞き出し、生徒の立場に立って勉強を楽しいと思えるように意識しました。すると〇〇先生の授業は楽しいと言ってもらえ、私が担当した学期の中間・期末テストでは、前学期からどちらも20点アップを実現しました。

この長所を活かし、御社でもお客さまの声を親身に聞き、課題を解決できるような営業になりたいと考えています。

結論、過去の経験を踏まえたエピソードと結果、入社後の活かし方の順で伝えることで、簡潔でわかりやすい文章になります。

「相手の立場に立って考える」ことをアピールしたいときのNG例文

私は飲食店で3年間アルバイトをしており、今はバイトリーダーです。店長からは、お客さまの立場になって接客できているとよく言われます。以上の経験から、私は人の気持ちをくみ取って行動することが得意です。入社後もお客さまの立場に立って考える営業になりたいと考えています。

上記の例文のNGポイントはいくつかあります。まず、結論ファーストでなく話がエピソードから始まっている点。次にアルバイト先での具体的なエピソードがなく、何を意識して働き、その結果どうなったのかわからない点です。そのため、その企業でどのように活かせるかもよくわかりません。

相手の立場に立って考えることができない人が試したい、身に付け方

  • 相手の立場に立って考えることができない人に必要なこと

    相手の立場に立って考えるためには練習も必要です

失言をして相手を怒らせてしまった経験がある人など、相手の立場に立って考えることが難しいと感じている人もいますよね。相手の立場に立って考えるスキルは、訓練すれば磨くことができます。その方法を具体的に紹介します。

相手を否定せず、最後まで話を聞く

相手の立場に立って考えることができる人は、相手の話を最後まで聞いています。最後まで聞かないと、相手の言いたいことを理解するのは難しいですよね。途中でつい口を挟みたくなったり、反論したくなったりしたとしても、まずは最後まで聞くようにしてみてください。

発言する前に、相手がどう感じるかを考える

相手の言葉に感情的に反応しないで、一度深呼吸してみましょう。今あなたが発言しようとしたことを、自分が言われた場面を想像してみてください。もし嫌な気持ちになったら、その発言をするのはやめましょう。

自分の今までの言動を振り返ってみる

相手の立場に立って考えられない人は、今までの言動を振り返ってみるのもいいでしょう。

周りの人に評価されたい気持ちが強かったり、相手の実際の反応は無視して自分の思い込みを優先してしまったりという経験はありませんか?

そしてそのときの相手の顔や表情、言葉など、どのような反応をしたかを思い出してみてください。

このように失敗例を思い出して、自分はどうしてそのようなことをしてしまったのかを分析し、どうすればよかったのか改善案を考えてトレーニングしてみましょう。

「相手の立場に立って考える」の類語・言い換え表現

  • 「相手の立場に立って考える」の言い換え

    「相手の立場に立って考える」の言い換え表現も見ていきましょう

言葉としての「相手の立場に立って考える」を理解するために、言い換え表現も知っておくといいでしょう。

  • 相手の目線に立つ
  • 相手の身に置き換えて考える

【例文】

  • 相手の目線に立って考えることで、根本的な課題が見えてくる
  • 相手の身に置き換えて考えないと、自分の考えを押し付けることになってしまう

その他にも、傾聴力が高い、聞き上手、自分の意見を押し付けない、なども言い換え表現として使えるでしょう。

「相手の立場に立って考える」の英語表現

  • 「相手の立場に立って考える」の英語表現

    英語では「相手の立場に立って考える」を何と言うのでしょうか?

「相手の立場に立って考える」は英語で“put yourself in ~'s shoes”などで表すことができます。直訳すると「相手の靴に自分を入れる」です。yourselfや~'sの部分は、下記の例文のように、対象の人によって置き換えます。

・You should put yourself in his shoes.
(君は彼の立場になって考えるべきだ)

・She should put herself in the other person's shoes and think before she speaks.
(彼女は相手の立場になって考えて発言するべきだ)

相手の立場に立って考える力を身に付けて、ビジネスや就活に活かそう

相手の立場に立って考えると、円滑なコミュニケーションが取れ、信頼獲得につながります。自分の行動や発言を相手はどのように受け取るかを常に考え、相手の話を最後まで聞くことを意識するようにしましょう。

相手の立場に立って考える力を伸ばし、ビジネスシーンや就活に活かしてみてください。