Microsoftが現地時間2023年1月18日に発表した1万人の従業員解雇が各製品・サービスにおよぼす影響が気になるところだが、ここでは翌日19日にリリースしたWindows 11 Insider Preview ビルド25281に注目したい。

本ビルドは2023年に入って3回目のリリースにあたり、過去2回(ビルド25272、ビルド25276)にはない新機能を含んでいる。そのひとつはWindowsスポットライト。現行のWindows 11 バージョン22H2でもデスクトップの背景画像として利用できるが、MicrosoftはUIの改良に着手した。

  • 「この写真に関する詳細情報」に改称したアイコンにマウスオーバーすると、表示している画像の概要がポップアップで示される

  • 同アイコンを右クリックするとフルスクリーンのUIに切り替わる。本稿の執筆時点ではランダムではなく、中央のサムネイルをクリックして切り替える仕組み

  • 小さなUIも用意している。画像の切り替えは矢印アイコンで行う

触れてみた限りでは、無作為に画像を切り替える項目は見当たらない。また、矢印アイコンで画像を切り替えると、背景画像の指定が「Windowsスポットライト」から「画像」に切り替わることも(必ずではない)。このあたりは今後のビルドで改善されるだろう。

フルスクリーンのUIは心地よいものの、ここでもMicrosoft Bingのリンクを用意するのは少々苦々しい。筆者は美しい画像を楽しむためにWindowsスポットライトを使用しているが、さらなる情報は不要である。利用者の増加を目的とした誘導施策を用意するのは企業として当然とはいえ、Microsoftにはユーザーの使い勝手が低下しないアイデアを選択してほしい。

次はタブに対応したメモ帳。ビルド25281更新直後は通常のメモ帳だが、Microsoft Store経由でバージョン11.2212.33.0に更新すると、タブ機能が有効になる。この機能についてMicrosoftは、同日公開した別の公式ブログで言及しており、内容に基づいたファイル名やタブタイトルの自動生成機能、タブを切り替えるショートカットキーなどを用意。自動生成機能は文章の行頭から単語を抽出して用いるというものだ。ショートカットキーは「Ctrl」+数字キーでタブを直接指定できるので、おそらくエクスプローラーのタブ機能と同じコンポーネントを用いているのだろう。

  • 推敲前の原稿をメモ帳で開いた状態。当初からタブが現れる

  • テキストファイルなどを、関連付けやアプリ指定で開くときの動作も変更可能

最後は「サウンド出力の選択」の拡張。Windows 11 バージョン22H2で同名の機能を呼び出しても、文字どおり出力デバイスの切り替えのみだったが、ビルド25281は立体音響の切り替えや音量ミキサーも直接実行できる。

こちらはABテスト(異なるパターンの比較や評価)中らしく、機能を確認できたのは1台のPCだけだった。ただし、同名のアイコンをクリックしないと音声出力フライアウトメニューは現れず、手順として煩雑なのは変わらないまま。今後の改善を期待したい。出力デバイスの切り替えやアプリごとのボリューム調整をたびたび行うユーザーは、EarTrumpetの使用を推奨したい。

  • ビルド25281の音声出力フライアウトメニュー。音量ミキサーにはメインスピーカーと、なぜかPower Automate Desktopが並んでいる

今回、ようやく新機能に一喜一憂できるビルドが登場したと感じる。ただ、冒頭で述べた従業員解雇が頭をよぎって落ち着かない。どのチームが1万人に含まれるのか見当もつかないが、たとえばWindows Centralは「Microsoft HoloLensとVR(拡張現実)チーム、マーケティングと出版」などと、独自の調査結果を報告している。Microsoftの根幹であるMicrosoft AzureやMicrosoft 365、そしてWindowsチームに斧を振り落とすとは思えないが、Windows 11の開発に影を落とさないか少々不安だ。