霧島酒造は1月19日、2030年度までに工場・事務所のCO2排出量を実質ゼロにするための具体施策を中心としたアクションプラン「霧島環境アクション2030」の策定を発表した。

同社は「焼酎粕は宝」であるという想いのもと、2006年に焼酎粕や芋くずなどのさつまいも由来の副産物を、バイオガスとしてリサイクルする施設を建設。2014年に「サツマイモ発電」と命名し、バイオガスによる発電事業を開始するなど、副産物を活用した取り組みを継続してきた。

2021年11月には、持続可能な焼酎造りを目指した環境ビジョン「KIRISHIMA SATSUMAIMO CYCLE ~さつまいもを、エネルギーに。~」を発表。これは、さつまいもを中心とした自然の恵みを有効利用し、循環しながら成長していくエネルギー有効利用の全体構想となる。そのビジョンの実現に向け、このほど、2030年度までのアクションプラン「霧島環境アクション2030」を策定。2030年度までの工場・事務所のCO2排出量実質ゼロの実現に向けた施策を中心に、今後予定している具体施策を、「気候変動対策」「自然環境保全」の2つの軸でまとめている。

「気候変動対策」に向けた主な取り組みとして、同社では昨年4月より、本社・工場を置く宮崎県都城市内の焼酎メーカー2社から、焼酎の製造工程で出る「焼酎粕」を受け入れを開始、発生するバイオガスを有効利用している。また昨年8月からは、本社エリアのバイオガスの利用を拡大。焼酎粕リサイクルプラントで生成したバイオガスの利用先はそれまで一部の工場に限定されていたが、バイオガスを利用できていなかった工場にもバイオガスボイラを設置したことで、利用先が拡大した。

また9月には、同社が注力する焼酎製造副産物の有効利用活動の一部において、ニチレイロジグループ本社と協働運用を開始。南九州地区を中心に、霧島酒造が製造する焼酎の原料であるさつまいもの保管や流通加工業務を受託しているニチレイロジグループとの取り組みは、流通加工業務の過程で発生する芋くずを、霧島酒造のリサイクルプラントに搬入してバイオガスを生成し、有効利用するというもの。自社のみならず、商品のライフサイクルに関わる関係会社とも協力し、さらなる環境負荷低減を目指している。

さらに「自然環境保全」に向けた主な取り組みとして、都城市内に所有している森林の活用に加え、地域の森林保全活動の活性化を支援してCO2吸収量を創出するとともに、生態系の保全など、森林の多面的機能の維持を推進していくという。