個性的で愛されるキャラクターを生み出すことにおいて、随一の才を持つイラストレーターときわたさん。コミティアやコミックマーケットなどのイベントで精力的に活動を続けるほか、グッズ展開など活動の幅を広げています。初画集『ときわた画集 EVERGREEN』(2023年1月24日発売:マイナビ出版)は、自身の創作キャラクター「暴行少女ちゃん」をはじめ2018年の活動開始以降の作品を収録したこれまでの創作活動の集大成といえる作品集となりました。画集の制作や創作活動についてときわたさんにインタビューしながら、本書の魅力をお伝えしていきます。
SNSで圧倒的人気となった「暴行少女ちゃん」を中心に、個人誌収録のオリジナルイラストやクライアントワークなど、イラストレーターとして活動をはじめた2018年以降の作品100点以上、描き下ろし作品12点を収録したイラストレーターときわたの初画集です。
初めての画集は感謝の気持ちを込めたものに
Q:今回はじめての画集制作となりましたが、ときわたさんは個人で同人誌も制作していらっしゃいますよね。個人誌の制作と比べるといかがでしたか? 画集制作時の裏話などお聞きできれば。
ときわた:イラストレーターとして2018年の活動開始と同時に、年に4、5冊、イラスト集の同人誌を制作してきました。今回はそのような個人誌に収録してきたオリジナルイラストから、企業様とのお仕事の作品も含めて一冊にまとめた形で画集を出版していただくことになりました。
同人誌と商業画集の制作の差はたくさんありますが、一番悩んだのは『画集としての正解』を知らないということです。同人誌は個人の責任、個人の裁量ですべてが決まりますし、どんな表現でもどんな結果でも自分だけがそれを被ればいいことなので、そういった意味で自由です。
画集を制作するとなったとき、一番に考えたのは、『自分はどんな立ち位置にいて、画集でどんな人たちをどんな風に楽しませるべきなのだろう』ということでした。
過去形で言いましたが、画集としてまとめた後の現在でも、これでよかったのかは答えが出ていないのが正直な気持ちです。
ただ、とにかく、これまで同人誌という形で手に取ってきて下さった方々にも、これをきっかけに知ってくださる色々な方々にも、私を見つけてくださった編集様方にも、画集というものを出させていただけることになりました、と感謝をお伝えできるのがうれしいです。
Q:画集には2018年頃からの作品がまとめられているので、こうして見ると圧巻ですね。画風や塗り方なども、時を経て徐々に変わっていることがわかります。「作戦決行」や「メカちゃん」など、今とはディテールの描き方や雰囲気もまったく異なるように見えますが、この当時はメカっぽいものをテーマに描くことが多かったのでしょうか?
ときわた:メカは大好きです! 構造が理解できるほどの勉強はまだまだ不十分ですが、とてもロマンを感じます。
イラストのテイストが変わっていっているのは自覚がありますね……描いてみたいものが色々とあって、それぞれを勉強しているシーズンが分かれているためだと思います。
最近は少しずつ、それぞれのテイストを何パーセントずつか混ぜていこうと考えています! うまく融合していけたらいいのですが……。
少女漫画、少年漫画、アニメ…さまざまなジャンルをインプットしてお絵かきしていた幼少期
Q:あえていろいろなテイストのイラストを描かれている結果、今のときわたさんのイラストや暴行少女ちゃん誕生に至っているのですね。画集に掲載しているインタビューでも幼いころからお絵かきをしていたことをお話しされていましたが、当時はどんなイラストを描いていましたか?
ときわた:幼い頃は風景を描く画家になりたいと考えていましたが、子供心に「むずかしそう」と早々に判断して、身近なキャラクターを描くようになりました(が、キャラクターも十分難しかったです……)。
当時はアニメーションも漫画も本当にさまざまなテイスト、年代向けのものを見ていました。なので描くイラストも色々なジャンルのものを幅広く描いていたという感じです。 少女漫画は母の世代のもの(『王家の紋章』や萩尾望都先生作品など)から、りぼん、ちゃお、なかよし、までまたいわゆる萌え文化も大好きでこげどんぼ*先生が大好きでした。少年漫画は手塚治虫先生、大友克洋先生、藤子不二雄先生、楳図かずお先生など……数えたらキリがありません。ジャンプはもちろん、サンデー、ガンガン、ブレイドも読んでいました。コロコロコミックの『星のカービィ』なども読んで沢山描いていた覚えがあります。一家全員、漫画好きでした。
アニメも好きで、世界名作劇場ものやジブリをはじめ、上記の漫画のアニメ作品なども多く見ていました。成人してからは青年誌のアシスタントについたことをきっかけに古谷実先生筆頭に青年漫画にハマり……その影響からか、今でも色々なテイストのものを描きたいと思い続けています。
イラストを描く上で新しい発見があった画集制作期間
Q:今回の画集には、描き下ろし作品も12点(DMMスクラッチ使用作品も含む)収録させていただきました。それぞれの作品にテーマやストーリーがあるように思えて、どれも非常に興味深いです。制作期間が限られていた中で、複数のイラストを仕上げるためにかなり苦労されたこともあるかと思うのですが、制作スタイルなどに変化はありましたか?
ときわた:画集を出させていただくと決まった時には、「クオリティの高いイラストを沢山描く!」と意気込んでいたのですが、結局は過去のイラストが気になって直してしまったり、もっと上手になってから描こう……と典型的な沼にハマってしまい、ギリギリの時間でほとんどの作品を描くことになりました。
初めての画集ということもあり、理想通りの制作スピードにはならなかったのですが、時間が限られていたからこそ、自分がこれまでむだにしていたロスタイムを沢山発見できました。新しいブラシや塗り方を試したり、意外と多くのことができたと考えています。とてもうれしい結果になりました。
Q:過去作品の中で一番思い出深い作品、今の自分につながる作品があれば教えてください。
ときわた:「ねえ、きいてる?」という作品です。好きな色、好きなモチーフ、好きな描き方で、色々な挑戦ができた作品で、サンキューマート様でもポーチにしていただいたり、思い入れが深いです。
今回、画集では描き下ろしの中にこの作品の別バージョン「アフタヌーンティー」を入れています。特装版のグッズにもしていただきました。色々な要素に対する好奇心を自分なりにまとめられた作品のひとつとして気に入っています。是非ご覧いただけたらうれしいです!
本書の目次
- The Art of Greenery - 描き下ろし作品 -
- The World of Boukou-chan - 暴行ちゃんの世界 -
- The Art of Leaves - これまでの作品たち -
- Making of [EVERGREEN] - メイキング -
- Interview - インタビュー -
- The World of Mini-Characters - ちびキャラの世界 -
- Index - 作品概要 -
編集者が選ぶ見どころ
もともとSNSで拝見していたときわた先生の描く女の子、特に暴行ちゃんのキャラクター性に惹かれてお声掛けをさせていただいたこともあり、この画集を通して暴行ちゃんやときわた先生の描くキャラクターをより深く知っていただきたいという想いで画集制作に携わってまいりました。暴行ちゃん、そしてかみしろちゃんなどなど、ときわたさんファンにはおなじみのオリジナルキャラクターのさまざまな一面が存分に楽しめる描き下ろしイラストは必見です!
また、ときわた先生にご協力をいただいてマイナビブックス限定の豪華セット版も同時に販売させていただいています。ファンの方に喜ばれるものはどんなものか、先生と相談しながら制作したので、ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。
描き下ろし作品「アフタヌーンティー」のアクリルスタンドとアクリルキーホルダーセットは、もともとはアクリルスタンドのみの予定だったのですが、イラストをお部屋に飾りたい人、持ち歩きたい人どちらにも満足していただきたい! と思い、2つをセットにしました。ときわた先生の描く透明感あふれる青の世界をいつでもどこでも楽しんでいただけます。
【マイナビブックス限定】『ときわた画集 EVERGREEN』特別カバー&グッズ付きセット
ときわた先生の直筆サイン、着せ替えカバー、アクリルスタンド&アクリルキーホルダーセット、60ページの大ボリュームの特別小冊子が付いたマイナビブックス限定セット。
定価:11,000円(本体10,000円+税10%)
■著者プロフィール
ときわた イラストレーター。
兵庫県姫路市出身。SNSでの作品発表を中心に活動中。楽曲MV、サンキューマートクリエイターコラボ、Favoriteアパレル等のコラボグッズ制作や、COMIKET、COMITIA等の同人イベントに精力的に参加しています。ファッショナブルなイメージや、ファンタジーなものが大好きです。