長崎県アンテナショップ「日本橋 長崎館」(東京都中央区)では2月1日から28日、県産食材の魅力を伝えることを目的として4メニューの「レシピカード」を配布する。レシピは「スーツァンレストラン陳 渋谷」の井上シェフが監修した中華アレンジのオリジナルメニュー。
「スーツァンレストラン陳」料理長がコラボメニューを考案
今回、長崎県の食材を使ったコラボレシピを監修したのは、日本の中華料理界を牽引し続ける陳建一の名前を冠し展開する「スーツァンレストラン陳 渋谷」の料理長井上和豊氏。井上氏は調理師専門学校卒業後、2001年四川飯店に就職、同年に開業した「スーツァンレストラン陳」のオープニングスタッフとして厨房に立ち副料理長を経て2017年に料理長に就任した経歴を持つ。
井上氏は「歴史的にも長崎県はいろんな文化が入って来た日本の入口でもあり、特に中国の文化が多く入ってきているため、中華料理との親和性が高いと考えています」と考え、これまでにも、長崎県の食材を活かしたメニューを研究しており、長崎県に足を運び島原半島への産地視察を行い、生産者や地元料理人と交流も行っている。
2月4日・5日・18日・19日・23日の5日間にはレシピカードのメニューを日本橋 長崎館イートインコーナーで提供する。各日11:00~15: 00(ラストオーダー14: 30)。
「四川式長崎ちゃんぽんセット」(1,000円/「"じてんしゃ飯"仕立ての炊き込みチャーハン」「"そのぎ抹茶の白玉団子"はねぎ搾りの甘酒シロップ」付き)、「豆板醤と黒醋がアクセントの"具雑煮"セット」(1,000円/「"じてんしゃ飯"仕立ての炊き込みチャーハン」「"そのぎ抹茶の白玉団子"はねぎ搾りの甘酒シロップ」付き)の2セット・4メニュー。
長崎ちゃんぽんを四川風にアレンジ
「四川式長崎ちゃんぽん」は長崎ちゃんぽんと、四川の家庭料理を井上氏流にアレンジしたもの。四川では麺をたくさんの具材で炒める料理があり、それが長崎ちゃんぽんに似ていることから考案した。
長崎ちゃんぽんは明治時代に長崎に来ていた中国人留学生のために地元中華料理店店主が考案して作ったのが始まり。「おなかがいっぱいになるように」と具だくさんに仕上げているのだそう。
食べてみると、本場のちゃんぽんの麺は太く、どちらかというとうどんのような食感であることに驚いた。また、エビやイカなど海鮮具材がゴロゴロと大きいのが嬉しい。四川風ということでふっくらと仕上げた卵が印象的だった。
郷土料理「具雑煮」が四川風鍋料理に
「豆板醤と黒醋がアクセントの"具雑煮"」は島原半島の代表的な郷土料理「具雑煮」を四川の鍋料理に当てはめて考案したメニュー。具雑煮とは、天草四郎が島原の乱で籠城した時に蓄えていた餅や山海の具材を持ち寄って煮込んで食べたのが起源と言われている。
長崎県産の対馬地どりに出会った井上氏が、「中国の鶏肉と似ている」と感動し、使用している。日本の鶏肉にはない「皮がしっかりしているが肉はやわらかい」というのが特徴。黒醋の酸味と適度なピリ辛具合がクセになる味わいだ。
"じてんしゃ飯"仕立ての炊き込みチャーハン
「"じてんしゃ飯"仕立ての炊き込みチャーハン」は、長崎県産の煮干しと人参・ゴボウなどの乾燥野菜をパックした「炊き込みご飯の素」に山海の具材などを加えてチャーハン風に炊き上げた。
チャーハンといえば日本では炒めるイメージだが、中国では炊き上げたり蒸し上げたりすることも多いのだそう。チャーハンというよりは炊き込みご飯に近いイメージ。あっさりとしているものの、だしとして使用している長崎県産のにぼしの風味が濃厚に感じられる匠の技を感じられる逸品。
島原「かんざらし」と中華料理「湯圓」から考案されたスイーツ
「"そのぎ抹茶の白玉団子"はねぎ搾りの甘酒シロップ」は、温かいスイーツ。島原には「かんざらし」という小さな白玉団子を使用した伝統的スイーツデザートがあるが、中華料理でも温かい白玉団子を使用した「湯圓(タンエン)」があり、そこから考案されたたメニュー。
そのぎ茶(抹茶)を練り込んだ白玉団子に甘酒シロップを添え、お茶や胡麻の香りが漂いつつすっきりした味わいに仕上げた。そのぎ茶とは、東彼杵町の中山間地域で栽培された風味豊かなお茶で渋みがなくまろやかな旨味が特徴だ。
キンモクセイの花のジャムを使っていることもあり、華やかな香りが気分をアゲてくれる。団子の中からは滑らかで濃厚胡麻餡がとろりと溶け出す。温かく甘さが濃厚なこともありなんだかホッとできるデザートだ。
なかなか食べることのできない長崎×中華のコラボレーションを楽しんでみてはいかがだろうか。