米Microsoftは1月18日(米国時間)、リストラに着手することを発表した。景気後退への懸念からデジタル投資に慎重な姿勢を強める顧客の需要に見合うようにコスト構造を調整する。同社2023年度第3四半期(2023年1月〜3月)末までに全体の約4.5%に相当する従業員10,000人を削減し、ハードウェア事業を見直す。
リストラの発表に際してCEOのSatya Nadella氏が「Focusing on our short- and long-term opportunity(短期的・長期的なチャンスに目を向ける)」というメッセージを社員に送り、18日に公開した。その中で同氏は「長期的なチャンスに投資しながら、継続的に結果を出す努力をしなければなりません」と述べ、長期的な成長につながる戦略的に重要な分野では競争力を強化するための投資を継続することを強調。他のいくつかの分野でコスト削減を進める。
divest(処分)の対象になる分野について具体的な言及はないが、第2四半期(4月〜6月)に計上する予定の12億ドルのリストラ費用の内訳として「退職金、ハードウェア・ポートフォリオの変更、ワークスペースの密度を高めるリース統合にかかる費用」を挙げている。
昨年11月に大規模リストラに着手したAmazonはデバイス部門を中心に人員を削減した。Nadella氏はIT産業を「プラットフォームのシフトに適応しない者に容赦のない産業」と表現しており、MicrosoftもクラウドやAI(人工知能)にリソースを集中させる一方でハードウェア事業を見直すようだ。
Microsoftは、ゲーム機のXbox、PC周辺機器、SurfaceシリーズのPCと2画面スマートフォン、電子会議システム、HoloLensヘッドセットなど様々なハードウェア製品を提供している。「ハードウェア・ポートフォリオの変更」が具体的にどのような変更になるのか今のところ不明だが、複数のメディアが米陸軍の追加購入が議会の承認を得られなかったHoloLensを縮小の有力候補としている。Surface部門も昨年10月発表の2022年7〜9月期決算では売上高が前年同期比2%増だったが、個人向けPC需要低迷と競争激化の影響を受け始めている。
Microsoftは1月24日に2022年10〜12月期の決算を発表する。Satya Nadella氏も参加するカンファレンスコールにおいて、リストラに関するさらなる説明があると見られている。