西武鉄道は、今月から多摩川線で無線式列車制御(CBTC)システムの実証試験に向けた準備工事に着手し、2024年度初頭に走行試験を開始すると発表した。

  • 西武鉄道が2024年度から無線式列車制御(CBTC)システムの実証試験を行う

CBTCシステムは、無線技術を活用して列車の位置と速度を常時把握し、列車間の安全な距離を確保できるよう速度を制御する信号保安装置。先行列車の位置を無線で地上装置に発信し、地上装置から後続列車に向けて走行可能な位置を送信する。

これにより、後続列車はつねに先行列車との安全距離を保ちながら走行でき、従来の信号システム(ATS)で用いられた軌道回路等の重厚な設備が不要になる。設備の維持コストも削減でき、安定的な鉄道運営につながるメリットもあるという。

走行する区間の制限速度や前方列車との距離に従い、信号システムが自動で列車の速度を制御するため、ヒューマンエラーを事前に防ぐことも可能。高度な自動運転の導入や踏切の鳴動時間の最適化など、「さまざまな技術革新の基盤システム」になると西武鉄道は期待を寄せる。

今回の試験では、既存設備を活用して効率的に無線式列車制御システムを実現する「西武式CBTCシステム」の実証を進める予定。検証結果と鉄道各社の動向を踏まえて次世代信号システムの方式を決定し、2030年代に全線での導入をめざすとしている。