太陽化学、摂南大学・井上亮教授、栄養・病理学研究所、京都府立医科大学・内藤裕二教授らによる研究グループは1月17日、健常成人の腸内環境およびメンタルヘルスに対するグアーガム分解物の有効性に関する検証結果を、学術誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」に発表した。

イメージ図

グアーガム分解物(PHGG:Partially Hydrolyzed Guar Gum)は、グアー豆から作られた水溶性食物繊維のこと。これまでにさまざまな研究で優れた腸内環境改善作用が示されてきたが、メンタルヘルスへの有効性については十分に検証されていなかった。そこで、研究グループはPHGGの腸内環境改善を介するメンタルヘルスへの有効性について検証を実施。また、1日あたり3gという、これまでの臨床試験と比較して少ない摂取量でも腸内細菌叢に影響するか、併せて検証を行った。

研究は、60名の健常者をプラセボ1群(PHGG非摂取群)、PHGG 3g/日摂取群、PHGG 5g/日摂取群の3群に分け、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施。被験者にはプラセボもしくはPHGGを毎日、8週間継続摂取させ、腸内細菌叢、排便状況、便成分、身体検査、メンタルヘルス(睡眠や意欲など)に与える影響を検証した。

その結果、腸内細菌叢について、プラセボ群と比較して、3g/日摂取群および5g/日摂取群では短鎖脂肪酸産生に寄与する菌が増加するなど、腸内細菌叢に良い変化が認められた。また、5g/日摂取群ではプラセボ群に比べて排便頻度が増加しており、便通改善作用も確認。

メンタルヘルスに関しては、プラセボ群よりも3g/日摂取群および5g/日摂取群においてスコアがより改善する傾向にあり、特に、5g/日摂取群で「目覚めのすっきり感」「起床時の疲労感」「仕事や勉強に対するやる気」のスコアがプ有意に改善した。

これらの結果から、PHGGの摂取で、健常者の腸内環境が良好に維持され、睡眠の質が改善され、仕事や勉強に対するやる気が維持されることが明らかになり、PHGGは腸内環境改善を介してメンタルヘルスに寄与する可能性が示された。また、PHGGの1日3gの摂取量でも腸内細菌叢に影響することがわかった。