実験には健常成人57名(女性29名、男性28名)が参加し、KOJI AWARENESSの総合点(50点満点)と、FMSの総合点(21点満点)との関連を分析し、KOJI AWARENESSのスクリーニング・テストとしての妥当性の検証が行われた。FMS評価では、施行資格を有するNATAアスレティックトレーナーが測定し、KOJI AWARENESSの測定では、前述のトレーナーがモニタリングする中、被験者が自らチェックし採点が実施された。

その結果、KOJI AWARENESSは、FMSとの間で有意に正の相関が示されたという。さらに、性別・年齢・BMI・スポーツのレベルを考慮しても有意な正相関関係にあることが判明。これらの結果から、KOJI AWARENESSがFMSと同等にスクリーニング・テストとして妥当であることが明らかにされた。

  • (上段)KOJI AWARENESSとFMSの相関係数と偏相関係数。(下段・左)KOJI AWARENESSの総合点(50点満点)と、FMSの総合点(21点満点)との関連。(下段・右)性別、年齢、BMI 、スポーツレベルを制御変数としたKOJI AWARENESSの総合点と、FMSの総合点の偏相関係数

    (上段)KOJI AWARENESSとFMSの相関係数と偏相関係数。(下段・左)KOJI AWARENESSの総合点(50点満点)と、FMSの総合点(21点満点)との関連。(下段・右)性別、年齢、BMI 、スポーツレベルを制御変数としたKOJI AWARENESSの総合点と、FMSの総合点の偏相関係数(出所:TMDUプレスリリースPDF)

KOJI AWARENESSは、スクリーニング・テストとして特別な道具を必要としないことから、スポーツの現場におけるケガを予防する観点からも、安心安全なスポーツ実施に結びつく可能性があるという。昨今は子供の体力低下が懸念されている中、KOJI AWARENESSの11項目から運動機能の問題点を抽出し、個別に運動機能を改善・強化することは、成長期の安心・安全なスポーツ実施に重要な役割を果たす可能性もあるとする。また、子供たちのスポーツ活動においては、強豪校とそうでない学校とで選手のサポート体制に格差も見られる中、KOJI AWARENESSの普及により、そのような格差を埋める可能性があるとした。

それに加え、成人においてもKOJI AWARENESSは有効だという。その1つに、健康診断などで異常なしの診断を受けたとしても、運動器障害に関連する要因は検知されないことがあり、それを確かめるのに使用できるとする。

さらに、高齢者のサルコペニアやロコモティブシンドロームなどの運動器障害に対しても有効な可能性があるという。現在、これらの運動器障害において、身体状態を個別の部位ごとに測定できる方法がまだ確立されていないことから、腰痛や肩こり、違和感といった運動機能の低下を的確かつ簡便に評価できるツールとしてKOJI AWARENESSは有用であり、対象者に運動機能低下の気づきを与える可能性を有しているとする。研究チームは以上のことから、KOJI AWARENESSを活用することは、運動機能の問題を抽出し、将来的な医療・介護費の軽減の一助となる可能性があるとした。