AlbaLinkが運営する「訳あり物件買取プロ」はこのほど、親が健在の人500人に「親が亡くなった時に不安なことに関する意識調査」を実施し、そのデータをランキングにした。
同調査は2022年12月7日〜17日、親が健在の500人(女性276人/男性224人)を対象にインターネットによる任意回答にて行った。
親が亡くなったら「市役所での手続き」「葬儀の手配」「銀行口座の解約」などが必要だ。ただ「どんな手続きがあるか」は漠然と知っていても、ちゃんとできるか不安を感じている人も多いのではないだろうか。
親が健在の500人に「親が亡くなったときに不安なこと」を聞いたところ、1位は「相続・金銭面の手続き(230人)」となった。2位「不動産の処分・管理(158人)」、3位「自分のメンタル(75人)」と続く。
「相続・金銭面の話し合い・処理」を挙げた人が圧倒的多数となり、やはり財産や金銭面の心配をする人が多いとわかる。「不動産の処分」「死亡時の事務手続き」も含め、複雑そうなものは「親が亡くなって精神的なダメージもあるなか、自分にきちんとできるかな」と不安になるようだ。
また、頼れる兄弟姉妹がいない場合には、「自分ひとりで動かなくてはいけない」というプレッシャーも大きくなるだろう。
<1位 相続・金銭面の手続き>
・相続について、兄弟が多いのでどんな感じになるのかと思う(23歳 男性)
・親が住んでいる家と土地が亡くなった曾祖父名義で、同じ敷地内に親戚宅も建っているために、土地の分割などの話し合いが必要になりそうで不安(39歳 女性)
・親の持ち家(貸している)と今同居している家(夫と父の名義)があるので、相続税がいくらかかるのか不安(52歳 女性)
「親族間でモメそう」「相続税が高かったらどうしよう」というコメントが多数。「話し合い」と「税金」について不安になっている人が多いとわかる。
例えば相続財産(遺産)が家のみの場合、「複数の相続人でどうわけるか」という話し合いが難航することも考えられる。また不動産を相続した場合も相続税は現金で納付する必要があるので、「現金を用意できないかも」と不安になる人もいる。
<2位 不動産の処分・管理>
・家の処分。田舎で不便な場所にあり、建物も古くなっているので売れないと思うから(34歳 女性)
・地方に住んでいるので、家の処分に困ると思う。不便な場所で古い家なのでわざわざリフォームして住もうとは思わない(50歳 男性)
「実家をどう扱ったらいいかわからない」という声が多数寄せられた。地元以外に生活拠点がある場合、親の死をきっかけとして実家に戻るのは難しい。自分では実家や土地を管理できないから売りたくても、「郊外にあり古いから売れない」という状態だと困ってしまうことだろう。
<3位 自分のメンタル>
・心のよりどころがなくなること(25歳 男性)
・独身のため、家族がいなくなる(37歳 女性)
・精神的に、親の死を乗り越えられるか心配です(42歳 女性)
「親と仲がいい」「親が唯一の身内」という人の場合、親が亡くなったときの喪失感は大きい。「相談できる人がいなくなること」に不安を感じる人も多くなった。
<4位 お葬式の挙げ方・費用>
・長男なので、葬儀が不安(25歳 男性)
・お葬式をする際に、誰に声をかけるか(36歳 女性)
・希望する葬儀の形式を聞けていない(48歳 男性)
葬儀の手配は一生のうちに何度もすることではないので、「どう段取りしたらいいのだろう」と不安になる。
とくに近年では葬儀の挙げ方も多様化している。そのため「家族だけでしたいのか」「近所の人や同僚なども呼びたいのか」など、親の希望がわからないと困ってしまうだろう。住んでいる場所によっては地域独自のしきたりもあり、慣れていない子ども世代は戸惑うかもしれない。
<5位 家の片づけ・遺品整理>
・母親の嫁入り道具である桐ダンスなどの処分方法(38歳 男性)
・家にため込んだ家具や洋服の処分(42歳 女性)
・住居の片づけです。賃貸住宅に住んでいるので、原状回復を決められた期間内に行わなければならないことが心配です(51歳 女性)
捨てられない性分の親なら、モノが多すぎて「どうやって片付ければいいのだろう」と途方に暮れてしまうこともある。親が生きているうちから「実家に残っている自分のものは処分する」などの方法で、少しずつ片付けていくのもおすすめだ。
また最近では遺品整理サービスや、親の生前に行う「生前整理サービス」などもある。
<6位 お墓・仏壇の扱い>
・先祖のお墓がいくつにもわかれており、土葬もある状態です。跡継ぎもいないのでどうしたらいいのかわからず、放置するわけにもいかず不安です(36歳 女性)
・お墓をどうしたいのかが気になる(41歳 女性)
「まだお墓がないので費用が気になる」「管理の仕方がわからない」「どのお墓に入るつもりなのかわからない」などの回答が寄せられている。
墓参りの習慣がない人だと「どこに墓があるのかわからない」「墓にいれるのに、どう手続きしたらいいかわからない」というケースもあることだろう。
<7位 死亡時の事務手続き>
・市役所での手続きなど。親の年齢さえもあやふやで、意外と知らないことが多くて不安(23歳 女性)
・亡くなってからすべき「市役所への届け出」や「保険・銀行の手続き」などが、自分にちゃんとできるのかどうかです(51歳 女性)
親が亡くなると、「死亡届の提出」「預貯金の払い戻しや名義変更」などの各種手続きが必要になる。携帯電話や定期購入サービスなどの解約も必要だ。手続きの種類がかなり多いため、「もれなくできるかな」と不安になる人も多い。
<8位 残された家族のケア>
・学生の妹がいるので、今後の資金面に不安がある(25歳 男性)
・もし母が先に亡くなった場合、仕事一筋で家事などやったことのない父がどうやって生活するのか、とても心配です(37歳 女性)
・残された親の面倒を誰がみるのか(53歳 女性)
「残された親を誰が世話するのか」などの声が寄せられている。夫婦仲がよい場合には、残された親の「心のケア」も必要になりそうだ。
また経済的に自立していない兄弟姉妹などがいる場合、「残された家族への経済的援助」も課題になる。
<9位 自分の将来・生活>
・実家暮らしなので、世帯主が亡くなった場合は生活費と住む場所について不安(22歳 女性)
・経済面で援助がなくなる。子どもの世話を任せられなくなる(37歳 男性)
・自分が独身で兄弟もおらず現在親と同居しているので、親が亡くなったあとの暮らしが一番不安です(43歳 男性)
親から生活・経済面での援助を受けている人が多いことのあらわれだろう。共働きやシングルで子どもを育てている場合、親から得られる子育て面のサポートも大きいものがある。
「自分の収入だけでは生活が立ち行かない」という切実な声もあった。
<10位 死亡時の連絡先>
・親の親族・友人などの連絡先がわからない(36歳 女性)
・親の友達に、どのように親の死を伝えるか(52歳 男性)
「親が亡くなったことを誰に伝えたらいいのか」「誰まで連絡したらいいのか」に悩んでいる人もいた。
「連絡する親族の目安は3親等まで」と言われる。知人や同僚については、どこまで知らせるべきか家族では判断が難しいので、本人に意思を確認しておくのがおすすめだ。
「終活について親と話したことがあるか」と聞いたところ、「ない」と回答した人が68.6%と7割近くにのぼった。親が亡くなった場合の漠然とした心配事はあるものの、まだ「自分ごと」「現実のこと」として捉えていない人も多い様子がうかがわれる。
また「話したい」「そろそろ話さないといけない」と思いながらも、話すチャンスがなかったり親の機嫌を損ねるのが不安だったりして、話せない人も多いと推測できる。
終活について親と話したことがないと回答した343人に「話さない理由」を聞いたところ、1位は「親がまだ元気(33.5%)」だった。2位「機会がない(19.8%)」、3位「話しにくい(15.5%)」、4位「親が嫌がる・嫌がりそう(13.1%)」と続く。
「親がまだ元気」がダントツ。親が健在で、親も子どもも「終活はまだ先のこと」と考えているケースが多いとわかる。
また「話したい」とは思っているものの、「機会がない」「話しにくい」「親が嫌がる・嫌がりそう」という理由で話せていない人も多くなった。
<1位 親がまだ元気>
・まだ若いので親が死んでしまうと思えず、終活の話はしたことがないです(28歳 女性)
・父も母も70代だが、病気することもなく元気なので。両親の姿を見ても、まだ「死」が連想できない(48歳 女性)
「親が現役で働いている」「病気をしていない」「祖父母が存命」といった状況では、「近い将来に親が亡くなる」ことが想像できない人も多いだろう。
ただ終活は、判断力が鈍っていない元気なうちから始めたほうがいいともいわれる。「いつかは終活を」と考えているなら、親が元気なうちに少しだけでも話しておくといいかもしれない。
<2位 機会がない>
・大事なことなのでしっかりと話し合いたいが、まとまった時間が取れない(32歳 男性)
・離れて暮らしていて、改めて話す機会がない(44歳 女性)
終活の話をするきっかけづくりに悩んでいる人も多い。
例えば親と一緒にテレビを見ているときに終活についてのニュースが流れていれば、会話のきっかけになるだろう。しかし「親と離れて暮らしている」「親と仲が悪く、あまり話をしない」という人の場合、終活の話を仕向けるタイミングがなかなかとれないのが現実だ。
<3位 話しにくい>
・最近孫ができて幸せそうな親を見ていると、終活の話はできないです(26歳 女性)
・老い先短い90歳の親に、死んだときの話をするのは可哀想に思える(60歳 女性)
死について考えるのは、誰しも気が進まないもの。そのため、終活や死の話題をタブー視しており、「話しにくい」「言い出しにくい」と感じる人も多くなった。
ただタイミングをはかっているうちに親の判断力が急激に鈍り、葬儀や介護についての希望を聞けないままになってしまうケースもある。
気が進まない人もいるだろうが、終活を「残された時間を大切に過ごすために必要なこと」と前向きに捉えてみてはいかがだろうか。
<4位 親が嫌がる・嫌がりそう>
・私からは聞くのですが、親が怒るのでなかなか話ができません(49歳 男性)
・親自身が死について語ることを「縁起が悪い」とタブー視しており、終活を話題にしたら機嫌が悪くなります(53歳 女性)
終活の話をしたときに「早く死ねと言う意味か」などと怒られると、話しづらくなってしまう。親本人に、終活の必要性やメリットを理解してもらえないと、なかなか話し合いは進まなさそうだ。
<5位 親の死を想像したくない>
・悲しい気持ちになり、話すことに抵抗がある(24歳 女性)
・「まだ現実を見たくない、元気でいつまでも長生きしてほしい」という気持ちが強く、現時点では終活のことを話す気持ちになれません(42歳 女性)
親への愛情が深く、「親が死ぬことを想像するだけで悲しい」という人も多数。ネガティブな感情にならないよう、子ども側が終活の話題を避けているケースもあるとわかった。
また「自分が無職なので、親の死後に生活がどうなるか不安。だから目を背けていたい」という声も寄せられている。
<6位 真剣な雰囲気にならない>
・親が冗談交じりに「年を取ったら頼む」と言うので「分かったよ」と答えるだけで、「具体的にどうするのか」はわかりません。いつも冗談で済ませているから、本当の気持ちがわかりません(35歳 女性)
・具体的には話したことがない。楽しい話はするが、深刻な話はさけることが多いので(36歳 男性)
カジュアルな雰囲気で老後について話すことはあっても、「相続や家の処分など、具体的な話はしたことがない」という家庭も多いようだ。
死について真剣に考えることが怖いからか、「いつも冗談交じりになってしまう」という声もあった。
<7位 まだ実感がわかない>
・今まで親の死を考えたことがなかったから(19歳 男性)
・「親がいなくなるかもしれない」という実感が持てないから(22歳 女性)
40代以下の比較的若い人からの回答が多くなった。「親がまだ元気」だから、実感が湧かないのかもしれない。
ただ実感がなくても、誰にでも死は確実に訪れる。「友人の親が亡くなった」「テレビや雑誌で終活について見聞きした」というタイミングで、親と話してみるのもいいかもしれない。
今回の調査では、親が亡くなったときの不安としては、手続きの煩雑な「相続」「不動産の処分」などが多く挙げられた。
死亡時の各種手続きをスムーズに進めるためには、「資産」「各種連絡先」「親の希望」などの把握が欠かせない。終活でこれらのことがらを整理しておけば、親の死亡後に残された家族がやるべき「具体的なタスク」が把握しやすくなり、親子ともども不安が軽くなるはずだ。
ただ不安を抱えつつも、「話しにくい」「まだ早い」といった理由で、終活についてはまだ親と話し合っていない人が多数。しかし「まだ早いと思っているうちに親が認知症になり、話し合いが困難になってしまった」という例もある。
話しにくい話題ではあるが、きっかけを見つけて話し合ってみることがおすすめとなる。終活に消極的な親に対しては、まず「終活が前向きなものであること」「お互いにとって役立つものであること」を理解してもらうことが肝心だ。