日産自動車が「GT-R」の2024年モデルを「東京オートサロン2023」で公開した。1969年の初代モデル誕生以来、50年以上にわたって日本を代表するスポーツカーであり続けるGT-R。2024年モデルは一体、どんな深化を遂げているのか。実車を確認してきた。
新型は史上最高のGT-R?
GT-Rの現行型「R35」は2007年に発売となり、15年以上にわたって深化を遂げてきた。2024年モデルについて日産COOのアシュワニ・グプタさんは、「日産GT-Rの極み、史上最高のGT-Rというべき集大成です。GT-Rの長い歴史に名を刻むモデルとなるでしょう」と自信を示した。
日産自動車 チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志さんによれば、新型は「人の感性に気持ちよく、それでいて速い」「トータルバランスをもっと高い次元へ」という2つのキーワードのもと開発を進めたという。
新型GT-Rの変更点のひとつは外装デザインだ。ハンドリング性能とダウンフォースの向上を目指し、フロントバンパー、リアバンパー、リアウイングなどに変更を加えた。
フロントではグリルの開口が旧モデルと比べて少し小さくなっているが、中に入る空気の量は変わらないため、冷却性能をキープしながら空気抵抗を下げることができたそうだ。
リアについては、バンパーサイドとトランクリッド上面にあるエッジが空力で重要な役割を果たしている。具体的には、クルマの周囲を流れてくる後ろ側に巻き込む風を少なくする効果があるという。
新型GT-Rの大きな特徴となるのがリアウイングだ。NISSAN GT-R NISMO Special editionでは「GT500」の車両でも採用している「スワンネック」と呼ばれるタイプを選択。スワンネックは従来のウイングと異なり支柱(ステー)が下にないため、下部面積を大きく使えるというメリットがある。
フロント/リアの刷新により、新型GT-R NISMOのダウンフォースはトータルで約13%向上している。
一方でT-specもリアデザインを刷新しているが、これは2007年の登場以来、初めてのことだ。
具体的には現行モデルに対し、ウイングが幅広になり、装着位置が少し後ろに下がっている。これにより、トランクリッド上面に働いていたクルマを持ち上げようとする風圧が減り、ダウンフォース強化につながった。
そのほかの変更点としては、厳しくなった車外騒音規制に対応するため、排気管の途中が分岐する新構造のマフラーを採用。この新しいマフラーは、ジェット機をヒントに配管形状を工夫することで、動力性能を損なうことなく車外騒音の課題をクリアしたという。サウンドが気になるが、エンジンが高回転域になればなるほど、ジェット機のような迫力ある新しいGT-Rサウンドを奏でるというのが川口さんの説明だ。