富士スピードウェイの隣接地にオープンした「富士モータースポーツミュージアム」には、国の垣根を越え、メーカーの垣根も越えて新旧の名車が集まっている。現地で実物を見て説明を聞いてきたので、印象に残った何台かのクルマをご紹介していきたい。今回はトーマス・フライヤーの「モデルL」(1909年)というクルマだ。
日本にも上陸?
クルマの動力源としてガソリンエンジンが定着し始めたこの時代、ニューヨーク~パリの世界1周ロードレースで優勝し、ガソリン車の耐久性と信頼性を証明してみせたのがこのタイプLだ。レースの様子は全米で報道され、地方の農村住民に「自動車はぬかるみや雪道でも大丈夫な乗り物」だと印象付けた。タイプLがクルマの信頼性を証明したことが、後に「T型フォード」などの大衆車が爆発的に普及する下地となったとの見方もあるという。
世界1周レースはニューヨークを出発してアメリカ大陸を横断し、アジアを通ってパリを目指すルートだったそうだが、途中で日本も通過したとのこと。神戸に上陸して大阪、京都を走り抜け、米原を経由して敦賀から出港したそうだ。ミュージアムの説明員によれば当時の日本にも数台の自動車が入ってきていたらしいが、それでも大多数の日本人は自動車など見たことも聞いたこともない時代だったはずで、沿道の人たちは大いに驚いたに違いない。
■Information
「富士モータースポーツミュージアム」
【場所】静岡県駿東郡小山町大御神645
【営業時間】10:00~17:00(入館受付は16:30まで)
【休館日】2023年3月までは無休
■入館料
【大人(18歳以上)】平日:オンライン予約1,600円/窓口購入1,800円、休祝日:オンライン予約1,800円/窓口購入2,000円
【中高生】平日:予約800円/窓口900円、休祝日:予約900円/窓口1,000円
【小学生】平日:予約600円/窓口700円、休祝日:予約700円/窓口800円