カスタマイズカーの企画・開発・販売を手掛けるアルパインニューズが新車を発表した。トヨタ自動車の「ハイエース」をベースとする「カリカ」と「ライズ」をベースとする「ハバナ」の2台だ。アルパインスタイル全店舗(計6店舗)で予約の受け付けが始まっている。クラシカルなアメ車の雰囲気を安心のトヨタ車で楽しめるというのは、けっこう魅力的かも?
ベース車との違いは?
ワンボックスカー「カリカ」(Carica)の車名は「カリフォルニア・ドリーミング・カー」が由来。ベースとなっているのはハイエース バンの「スーパーGL」というグレードだ。
カリカは「USスタイル」と「ユーロスタイル」から選べる。写真のクルマはUSスタイルだ。ベース車の特徴でもある広い室内空間により、さまざまな趣味や車中泊にも使える1台に仕上がっている。デザインは角型横4灯のLEDヘッドライトにメッキのグリルとバンパーの組み合わせが目を引く。
コンパクトSUVのライズをベースとする「ハバナ」(Havana)は、キューバの首都ハバナを今でも走っているアメリカンクラシックカーをリスペクトしてデザインした。スクエアなメッキグリルが古き良きアメ車の雰囲気を醸し出している。
アルパインのグループが作っているだけに、カリカもハバナも車内の装備は充実している。例えば大画面ナビやディスプレイオーディオが選択可能だったり、サウンドやカーエンタテインメント関連のオプションも用意されていたりする。
カリカとハバナはアルプスアルパイン全店舗で先行予約の受け付けが始まっている。納車は2023年春から順次進めていく予定だ。生産・販売の年間計画台数は各モデル100台の計200台。すでに各モデルで数十台のベース車を仕入れてあるという。ちなみに、生産キャパを超える数の注文が入ったとしても抽選販売などにはせず、注文した人全員にクルマを売る方針であるとのこと。価格は今のところ非公表だ。
なぜアメリカンスタイル?
それにしても、なぜアメリカンなカスタム車を作ろうと思ったのか。アルパインスタイルのスタッフに話を聞いてみると、「我々が欲しいと思うクルマ、わくわくするクルマって最近、少ないよねというのが実感なんです。クルマは高機能化、効率化してコモディティ化していく一方で、パッションを突き動かされるようなクルマは減っています。カリカとハバナは、欲しいと思うクルマを作ろうという情熱から生まれました」とのことだった。
カスタムを手掛けるアルパインニューズはアルパインとニューズが手を組んだ会社だ。歴史は4年ほどだが、ニューズ自体はクルマのカスタマイズで30年近くの実績があり、もともとカリフォルニアやロサンゼルスのテイストでクルマを作るのが得意だったそうだ。
光岡自動車がトヨタ「RAV4」をベースに作った「バディ」も人気を呼んだわけだから、アメリカンなテイストのクルマに対する需要はけっこう見込めそうな気がする。しかも、カリカもハバナもベースはトヨタ車なので、メンテナンスがしやすくて燃費もよく、サイズも日本の道路で扱いやすい大きさだ。前出のスタッフも「リアルなアメ車だと、面倒なこともありますよね」と話していたが、アメ車のスタイルを楽しみたいだけであって、面倒なことはしょい込みたくないという人には、日本車で作ったこうしたカスタム車がぴったりなのかもしれない。