三井住友カード、ビザ・ワールドワイド・ジャパン、日本信号、QUADRACの4社は、2022年5月から福岡市地下鉄において「Visaのタッチ決済」による乗車の実証実験を行っている。1月10日、同実験の拡大・延長が発表された。

  • クレジットカードのタッチ決済で改札を通れる実証実験を実施中

    クレジットカードのタッチ決済で改札を通れる実証実験を実施中

対象エリアを3路線・36駅に拡大、Visa以外のカードにも対応

福岡市地下鉄で行われている実証実験は、交通系ICカードではなくクレジットカードのタッチ決済で自動改札機を通過できる「オープンループ」と呼ばれるもの。三井住友カードが提供する公共交通機関向けソリューション「stera transit」を活用し、天神、博多、福岡空港など中心地の7駅で実施してきた。

これまでの結果を踏まえ、2023年3月27日からは空港線・箱崎線・七隈線の3路線36駅、すなわち福岡市地下鉄全線に対象エリアを拡大する。さらに、対応カードもVisaブランドに限らず、JCB、アメックス、ダイナース、ディスカバー、銀聯での利用を受け入れる。

各ブランドのタッチ決済対応クレジット/デビット/プリペイドカードをかざして利用できるほか、スマートフォン経由の利用(Apple PayやGoogle Pay)にも対応する。ダイナース、ディスカバー、銀聯ブランドのタッチ決済による鉄道乗車の実現は国内初だという。

これまでの利用傾向

拡大・延長の発表にあわせて、2022年5月からの実証実験における利用傾向も明かされた。実験期間中にタッチ決済を利用した乗客の約8割は県外居住者だったという。

内訳としては首都圏や関西圏から来福した人が多く、年代別では20代など若年層の利用が多かった。海外からのインバウンド旅客にも利用されており、韓国、タイ、米国、台湾、シンガポールなど38の国・地域で発行されたカードでの利用が確認された。

オープンループに馴染みのある海外からの旅行者に限らず、国内在住者でも他県からの旅行者ほど積極的に活用している点について、三井住友カードは「福岡市地下鉄でも交通系ICカードは利用できるが、来福時は(普段使っているSuicaなどの)オートチャージ機能などが利用できないため、チャージレスで利用できるクレジットカードを選択される傾向があるのではないか」と分析した。