山梨県では、1月中旬~2月上旬に「やまなし美食ウィーク 美酒美食巡り」を開催予定。参加する県内の料理店・宿泊施設が県産酒とのペアリングを含む時季の県産食材を使用した特別メニューを創作し、各店で提供する。
それに先駆けて開催されたイベントで、県産酒と食材を堪能してきたので、山梨県の食の魅力を紹介する。
山梨県北杜エリアのお酒と食材のペアリング
「ワイン県やまなし」と言われる山梨県だが、実はワインだけでなく日本酒、地ビール、ウィスキーなどさまざまな種類のお酒を楽しむことができる。
さらに県内の地域ごとに造られるお酒に個性があり、今回は八ケ岳の麓と言われる北杜(ほくと)エリアのお酒地酒と食材を活用した料理のペアリングを味わった。
山梨県では北杜市だけ! ビール、ワイン、ウィスキー、焼酎、日本酒を造る酒エリアだった
北杜市は、山梨県の北西部八ケ岳エリアに位置している。冷涼な気候と清らかな伏流水がお酒造りに適しているそうで、県内で唯一、ビール・ワイン・ウィスキー・焼酎・日本酒を製造しているのだ。
まずは、標高1,230mの清里高原で生まれた「八ケ岳ビール タッチダウン」で乾杯! 八ケ岳南麓の天然水を使い、雑味のないクリアなビールが特徴。今回飲んだ「HOKUTO Japanese pilsner」は、北杜市原産「カイコガネ」100%のシングルホップを使用したフレッシュなホップビールだ。
続いて、八ケ岳生ハム3種盛り。用意してもらったのは12ケ月、24ケ月熟成、野生猪肉60ケ月熟成のもの。熟成する期間で色みと深みが変化する。
生ハムの味は、水や空気の綺麗さと微生物の作用によって決まるそうで、北杜エリアは生ハムをつくる場所として適しているという。
合わせるのは「city farm」シャルドネ2022。「city farm」は、12年前に北杜・白州や韮崎地区において、耕作放棄地をぶどう畑としてヴィンヤードとして蘇らせ、100年後もこの地にぶどう畑があり続けることを考えた持続的農業を目指している。
150年以上の歴史ある酒蔵「武の井酒造」。八ヶ岳の伏流水と花酵母を発酵のメインに使用しているのが特徴だ。純米吟醸 ひとごこちは、北杜市産の酒米・ひとごこちを使ったGI認定酒。澄み切った綺麗な味わいにほのかに吟醸香が香る。
GIとはお酒の地理的表示(Geographical Indication)のことで、山梨県は、ワインと日本酒の両方のGIを国内で初めて獲得している。
海なし県で海老……? と、驚いたが、陸作信玄えびは日本初の人工海水で養殖したえび。海水に加えて甲斐市玉川甲州の玉川温泉の温泉水を使用しており、稚魚から育てたテナガエビをまるごと1匹いただいた。
合わせるのは「中央葡萄酒株式会社」GRACE WINEのロゼ2021。山梨ではベリーAが主流だが、GRACE WINEでは骨太のロゼワインを作りたいとの思いから、カベルネ、メルロー、ソーヴィニョンを使用しており、辛口・しっかりめな味わいを楽しめる。
武の井酒造では純米焼酎も造っている。八ケ岳の伏流水と山梨県産米を使用した本格焼酎で、戦前からの単式蒸溜器を使って醸している。
山梨はジビエが豊富で、積極的にメニューに取り入れる店も多い。脂肪が少なく引き締まっていて、噛むほどに肉本来の力強い旨みを感じた。
ワインは「ドメーヌ・ド・ラ・アケノ・ヴェニュス」 カベルベ・ソーヴィニオン2020。親子二代(息子がぶどう栽培、父親がワインを醸造)でワイン造りをしている。ぶどう畑のある明野地区は、日本一の日照時間と水はけの良い斜面があることから、栽培地として注目されているそうだ。
近年、日本酒スパークリングに力を入れるのが白州町にある「山梨銘醸株式会社」だ。6種ある日本酒スパークリングの七賢(しちけん)から、山の霞をいただいた。シャンパンと同じ瓶内発酵製法でつくり、うすにごりが特徴。麹の甘味とまろやかな酸味を楽しめる。
山梨というと、東京から行きやすい甲府や勝沼の印象が個人的には強かったが、北杜エリアのポテンシャルに驚いた。
同じ山梨といっても、気温が違うため栽培するぶどうも変わってくるそうで、北杜エリアでは欧州品種の栽培が豊富で、カベルネやシャルドネ、リースリングなどを栽培するところが多い。欧州品種が好きな方は、ぜひ北杜エリアのワインに注目してほしい。
1月31日までは、山梨県内のワイナリーや酒蔵をめぐって賞品があたるデジタルスタンプラリーも開催している。