楽天モバイルの1人あたりの契約可能上限数が、5回線から10回線に変更されたことが分かった。同社に確認したところ、2022年12月23日から6回線以上の契約を受け付けており、変更理由は「さまざまな使い方をされるお客様からの要望を受けての対応」だとした。
サポートページにて公開されている情報によれば、「楽天ID1つにつき、楽天モバイルの回線は最大10回線まで契約可能」となっている。複数の楽天IDを作成/保有することは楽天会員規約で別途禁じられており、1人10回線までと同義だ。ただし、短期解約を繰り返している場合などは上限未満でも申込不可となる場合がある。
各社が「5回線」に統一してきた背景
2023年1月現在、他のMNO各社(NTTドコモ/KDDI/ソフトバンク)をはじめとして、ほとんどの携帯電話事業者は1人あたりの契約可能上限数を5回線と定めている。
業界全体で「5回線まで」と足並みが揃ったきっかけは2009年1月までさかのぼる。当時は振り込め詐欺被害の再増加が社会問題となっており、大手通信事業者らによって構成される電気通信事業者協会(TCA)は携帯電話/PHSの不正契約の防止強化に乗り出した。
当時のTCAのプレスリリースから引用すると「携帯電話・PHS事業者は、同一名義での大量不正契約の防止を図るため、原則として、個人契約の契約回線数を5回線までに制限させて頂きます」と方針が示されている。この自主ルールに則って各社とも2009年中に順次5回線までの制限を設け、現在に至る。
また、キャリアによっては保有回線数の制限とは別に、短期間に3回線以上の契約を申し込む場合には家族などの利用者登録を必須とするところもある。
「5回線ルール」はあくまで自主規制のような形であり、今回の緩和に法規制上の直接的な問題はないと見られるが、犯罪抑止という本来の趣旨を考慮し、本人確認の徹底など上限設定以外の手段で十分に対策できていることが前提条件となるだろう。