金融業界への就職を志望するなら、業界についてさまざまな面から理解を深める必要があります。金融業界の魅力ややりがいといったメリットのみならず、デメリットも知っておくと、就職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔せずに済むでしょう。
そこで今回の記事では、金融業界の魅力とやりがい、デメリットを詳しくご紹介します。金融業界をさまざまな角度から知り、志望動機の作成にも活かしてみましょう。
■金融業界で働く魅力って?
就活生から常に人気の高い金融業界。金融業界にはどのような魅力、メリットがあるのか見てみましょう。
1.待遇や福利厚生、給与が良い
金融業界は給与が高く、待遇や福利厚生にも恵まれているイメージがあるでしょう。実際、金融業界の給与水準は他の業界と比べて高い傾向にあります。国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、業種別の平均給与は、「金融業、保険業」では677万円です。
同調査における全業種の平均給与は443万円ですので、金融業界の給与の高さがよくわかりますね。さらに、金融業界の中でも大手企業になると、年収1,000万円を超える人も珍しくありません。
また、休暇の取得のしやすさや福利厚生が充実している点も魅力として挙げられます。特に、休暇については、法令順守のため必ず取得できる環境にあるようです。
2.長く働きやすい
待遇が良く福利厚生が充実していることから、金融業界は「働きやすい」と感じる人が多いようです。土日祝日に必ず休めるのはもちろん、産休や育休の制度が整っており、有給休暇も消化しやすいとの声がよく聞かれます。
また、残業など時間外労働をなくそうとする会社が多いため、定時で帰ってプライベートを充実させることもできそうです。もちろん、同じ金融業界でも職種や会社によって事情は異なりますが、結婚や出産といったライフイベントにも対応しやすく、比較的長く働ける業界と言えるでしょう。
3.専門知識が身に付く
金融の専門知識が身に付くことも、金融業界で働く大きなメリットでしょう。金融の知識は業務で必要なのはもちろん、自分自身の人生においても大いに役立ちます。たとえば、貯蓄や資産運用、保険、住宅ローンなどの金融リテラシーが身に付きますので、私生活でも、これらの知識が必要なシーンで活用できるはずです。
金融業界では常に勉強して知識のブラッシュアップが求められますが、その分、会社が資格取得のための費用を補助してくれたり、勉強会や研修を開催してくれたりとさまざまなサポートが受けられます。
金融の知識は人生を豊かにしてくれる可能性がありますが、ファーストキャリアでそうした知識を自分のものにできると、その後の人生にも良い影響を与え続けてくれるでしょう。
4.外資系は実力主義である
金融業界、特にメガバンクなどには「安定」というイメージを持っている人は少なくないかもしれません。しかし、金融業界の中でも外資系金融機関の場合は、実力主義でリストラも珍しくなく、安定とはほど遠いシビアな面も見られます。
実力があれば、国内企業と比べて非常に高い給与が得られますが、その分激務で、成績次第では職を失うリスクも高いです。まさにハイリスク・ハイリターンな仕事ですが、そうした実力主義を「面白い」と感じられる人には、外資系金融機関は魅力的な志望先の一つになるのではないでしょうか。
■金融業界のやりがい3つ
では、金融業界で働くと、どのようなやりがいを感じられるのでしょうか。金融業界といっても業務内容は職種によって大きく異なり、やりがいもそれぞれありますが、ここでは特に、金融業界で働く人からよく聞かれる3つのやりがいをご紹介します。
1.社会貢献度の高い仕事ができる
生活とお金は密接に結びついており、両者を切り離すことはできません。つまり、金融業界で働くことは、人々の暮らしや社会を支えることにつながっているのです。そうした社会貢献度の高い仕事ができる点は、金融業界で働くやりがいの一つでしょう。
お金を扱う仕事は責任が重く、プレッシャーも大きいです。しかしその分、金融という社会に欠かせないシステムを通じ、「多くの人の役に立っている」という実感が得られる仕事でもあります。
2.顧客の人生に深く関わることができる
金融業界の仕事は、顧客の人生に深く関わる大事な仕事です。銀行員であれば、融資を通じて企業や個人の夢を手助けできます。相手が企業や個人事業主なら、経営上のアドバイスを行うこともあるでしょう。融資やアドバイスの結果、事業がうまく軌道に乗れば、相手から感謝され自分自身も大きな達成感を味わえます。
顧客が個人の場合は、相手に寄り添い、不安を一緒に解決することができます。たとえば、保険営業なら、顧客のライフプランをヒアリングしたうえで、適切な保険商品の提案を行います。それにより、顧客のより豊かで安心な生活につながれば、「大変な思いをしても、この仕事をしてよかった」と思えるでしょう。
金融業界では、金額の大きなやり取りも多く、自分の判断が相手の人生を左右することさえあります。だからこそ、ミスが許されず常に新しい知識の習得や鍛錬が求められる厳しさもありますが、顧客が喜んでくれた時には、それらが一気に報われるような清々しさが感じられるでしょう。
3.相手に信頼された時は嬉しい
営業職として金融商品を販売する業務では、特に、顧客から信頼されることが非常に重要です。そのためには、相手の話を聞きコミュニケーションを取るだけでなく、金融商品のメリットのみならず、デメリットも隠さず伝えて相手に納得してもらう必要があります。
こうした熱意が伝わり、相手が自分を信頼してくれ成果に結びついた時には感慨深いものがありますし、金融業界で働く醍醐味を感じることでしょう。
また、金融業界の仕事では、資産や家族構成、ライフプランなど、詳しい顧客情報をヒアリングする場面もあります。顧客の大切な情報を知り得る存在だからこそ、責任感が強く、相手の信頼を勝ち取ろうと努力できる人なら、非常にやりがいを感じる仕事でしょう。
■金融業界で働くデメリット
金融業界で働く魅力ややりがいなどをご紹介してきましたが、ここからは、金融業界で働くデメリットも確認してみましょう。いざ金融業界に就職してから自分の理想とミスマッチが起きないよう、デメリットも知ったうえで、じっくりと金融業界への就職について考えてみてください。
1.ストレスが多く精神力が求められる
お金を扱う仕事は責任が重く、間違いが許されないプレッシャーから、ストレスを感じることも多いです。営業職の場合は、成果が給与に反映されるやりがいもありますが、その分、厳しいノルマを乗り越えなければなりません。職種によっては、非常に金額の大きい仕事を任されることもあるでしょう。
金融業界は、精神力のある人でないと続けることが難しい業界ですので、「自分は厳しい環境を生き残れるタフさがあるか」とよく考える必要があります。
2.マニュアル化された仕事が多い
大きな責任を伴う金融業界では、正確さが重視され、1円単位の誤差も許されません。ミスを回避するため、また、均一的なサービスを提供するため、金融業界ではマニュアル化された仕事が多くなる傾向にあります。
職種にもよりますが、自分に大きな裁量のある仕事をする機会はあまり多くなく、決められた業務を淡々とこなしていくことになりますので、「クリエイティブな仕事がしたい」「どんどん新しいことに挑戦したい」というタイプの人には、金融業界は向かないかもしれません。
金融業界のこうした面を知らないと、就職後にモチベーションを維持することが難しくなる人もいるでしょう。待遇や給与だけでなく、自分は仕事に何を求めるのか、どのような仕事をしたいのか、明らかにしておくことが大切です。
3.異動や転勤が多い
正社員として働く以上、異動や転勤は覚悟しておく必要ありますが、特に金融業界は、内部情報の流出といった重大な不正を防ぐため、異動の機会が多いです。都市銀行、大手証券会社など全国展開している企業の場合、日本のどこの地域に配属となるかわかりません。
転勤のない職種もありますが、転勤がある場合は、数年ごとに住む場所が変わり、引っ越しをする可能性があります。せっかくその地域に慣れ、人間関係を築いてもまた転勤…という繰り返しになってしまいますが、異動や転勤の多さは「そのたびに新しい環境で生活ができる」とポジティブに捉えることもできるでしょう。
4.勉強にプライベートの時間を費やす必要がある
金融業界に就職すると、勤め先から、金融に関する資格の取得が推奨されます。場合によっては、資格取得が昇格の条件になることもあります。また、常に新しい知識を身に付けることが求められる業界ですので、仕事をしながら、金融の勉強をする時間も確保しなければなりません。
学び続けることができる人でないと金融業界で働くことは難しいため、「プライベートの時間を費やしてまで勉強したくない」という人には、金融業界は向いていないでしょう。
一方、会社が資格取得や勉強のためのサポート体制を用意してくれるため、「専門知識を身に付けて成長していきたい」という人には恵まれた環境と言えます。また、金融の専門知識があることは、自分の人生にとっても大きなアドバンテージとなるでしょう。
■自分の適性や興味、仕事観をよく見つめよう
今回は、金融業界の魅力ややりがい、デメリットなどをご紹介しました。金融業界の魅力は、給与の高さや待遇の良さなどがクローズアップされがちですが、「金融の知識を自分の人生にも大いに生かせる」というメリットもあります。
一方で、金融業界で働くことはプレッシャーが大きくタフさが求められるなど、デメリットと言える面もあります。しかし、今回ご紹介したようなデメリットも、人によってはメリットと感じられるかもしれません。自身の適性や興味、仕事観と照らし合わせたうえで、金融業界への就職についてよく考えてみましょう。