帝国データバンクは12月28日、 2023年正月シーズンの「おせち料理」価格について行った調査分析の結果を発表した。
魚介類の高騰が直撃、約1,000円アップ
調査の結果、全国の大手コンビニエンスストアや外食チェーン、スーパー、著名な日本料理店など計110社で販売される2023年正月シーズンのおせち価格(三段または3~4人前分税込)の平均価格は2万5,522円。比較可能な前年の2万4,480円に比べ、約4.3%・1,042円アップした。
背景には、おせち料理に欠かせない鮮魚価格の値上がりがあげられるという。見た目を彩るおせちの定番として欠かせない数の子やえび、いくらといった生鮮魚介類の取引価格は大きく上昇。11月時点で、国内産いせえびの市場取引価格は前年同月比で40%上昇したほか、数の子は23%、煮たこは16%、いくらも3%それぞれ上昇した。
外国産が多い鮮魚類では円安や原油高の影響で仕入れ値が上昇しやすく、品質維持を目的に価格アップに踏み切らざるを得なかったおせちが多くみられたとのこと。海鮮食材を多く使用しないおせちでも、化粧箱などの資材費上昇などが響いたことで値上げとなったケースもあった。
前年から価格が上昇したおせちをみると、値上げ幅として最も多いのは「1,000円台」(28社)、次いで多いのが「2,000円台」(14社)、以下「3,000円以上」(11社)、「1,000円未満」(9社)と続く。調査対象の110社のおせちのうち半数超となる62社で値上げが判明した。
「ハレの日」需要で売り上げは好調
ただ、足元では数年ぶりに行動制限がない正月ということもあり、特に大人数向けとなる三段重以上の売り上げが好調だとか。早くに完売となったおせちもみられ、値上げによる購買への影響は限定的との見方もあるという。
一方で、来年値上げとなる食料品は1-4月ベースで22年比50%増ペースとなる7,000品目に上り、特に水産加工製品などで目立つ。2023年正月については仕入面での工夫に加え、かまぼこをはじめ価格高騰が続く水産練り物製品では代替品に切り替えるなど価格を極力維持する動きもあり、本格的な値上げの動きは2024年正月にピークとなる可能性もある。「1年の始まりを祝うおせちの価格で、インフレを実感する場面が今後も続きそうだ」と同社。