ここは法政大学 市ヶ谷キャンパスのとある研究室。その入口には不思議な門松が! 竹の部分は塩ビ管、土台は3Dプリンタの材料ロール…いったいこんな門松を作ったのは誰?

研究室の大掃除 廃材で門松

  • (Twitter 山田泰之@yayamadayay より引用)

そもそも門松をお正月に飾る飾るようになった起源は平安時代の宮廷儀礼の「小松引き」と言われ、お正月にやってくる歳神様が迷わず家に来ていただくための目印となるものとされています。歳神様とは、お正月にお迎えする、その年の幸せをお祈りする神様のこと。

日本には八百万(やおよろず)の神という考え方がありますが、それにしてもその年その年ごとに神様がいるのですね。この廃材でできた門松なら、現代アートの神様やSDGsの神様がお立ち寄りになりそうです。フォロワーたちからは廃材門松をめでる声が多数集まりました。

「SDGs対応型門松ですね」「もの作りの神様が来そう」「廃材とは思えない、芸術的な門松ですね! 」「サイバーパンク門松」「センスの塊じゃないですか」「サステナビリティへの配慮を感じます」など。廃材門松の起案者である山田泰之さんは法政大学准教授であり、デザインエンジニア、先端技術×デザイン領域の研究者。

なぜ廃材で門松を作ろうと考えたのか、そしてSDGsへの取り組みなどについてお話を伺いました。

■投稿者に聞く

……この門松を作ったのはいつ、場所はどこでしょうか。

作成したのは12月21日の夕方、場所は法政大学デザイン工学部市ヶ谷にあるキャンパスの研究室です。

……なぜ廃材で門松を作ろうと考えましたか。

年末の大掃除を学生と一緒に行っている際に思いついて作成しました。法政大学デザイン工学部に着任してすぐにコロナの遠隔授業がはじまり、多くの学生とともに大掃除するという従来では当たり前だったことに新鮮さを感じながら大掃除をしていました。せっかく学生も大学に頻繁にくるようになったし、研究室にも季節感を持たせたいと考えたのがきっかけです。

しかし、科研費などの研究費で門松を買うわけにはいかないので、掃除で出たゴミで作ることにしました。日頃からデザイン工学部では,従来の発想にとらわれることなくチャレンジすること、アイデアだけにおわらず実際に手を動かして実現するところまでを行うように指導しています。学生にふだんから言っていることを私自身も有言実行した次第です。

……研究室のみなさんの反応は?

ふだんから新しいモノ、コトにチャレンジする雰囲気のある学科なので拒否反応は全くなく、すべてポジティブな反応でした。「カワイイ!! 」「サスティナブルでいいですね!! 」「システムデザイン学科らしくて楽しいです! 」などでした。

……研究室でもSDGsは意識されていると思いますが、たとえば他にどんな取り組みをしていますか。

まず学部がデザイン工学部で、学部全体の考えとしてSDGsを強く推奨しています。持続可能な社会のために適した解決策をどのように導き出すかという雰囲気があります。意匠性、見た目だけのデザインという意味ではなく、真の価値のある、人を幸せにする、社会の中で持続できる機能を含めたデザインを教育研究しています。

特に私の研究活動は、エネルギーやコンピュータ(AIや電子機器≒希少金属)をなるべく使わない方法での問題解決解決を研究開発しています。具体的には,メカニズムつまり機構、からくりを用いてた解決です。

たとえば、現在はプラントの作業負担をロボットで改善するのではなく、普段使われている工具を改善する方法でエコに解決する方法を研究したり、医師の手術負担をロボットやロボットスーツで補助するのではなく、補助具(装具)で解決する方法を検討したりしています。

▼研究室の大掃除 廃材で門松