電動スクーター「CE 04」で二輪業界を超えた注目を集め、レンタル事業という新たな取り組みもスタートさせた2022年のBMWモトラッド。変革の1年となった今年、同社のかじ取りを任されたのが、BMWモトラッドのGMに日本人最年少となる39歳(就任時)でGMに就任した佐伯要さんだ。2022年の振り返りと2023年の展望を佐伯さんに聞いた。
電動スクーター第2弾の反響は?
バイクの世界でも電動化は着実に進んでいる。BMWモトラッドブランドからは2022年4月、電動スクーターの第2弾として「CE 04」が登場した。そのデビューはバイク専門誌だけでなく、ガジェット系の媒体からも注目を集めるなど話題となった。
「私の主観も含みますが、C E04はスタイルもデザインも他にはない、非常にカッコいい乗り物です。第1弾の『BMW C evolution』は割と一般的なデザインのビッグスクーターでしたが、CE 04は一気に変わった感じがします。BMWグループの強みをいかし、適材適所といいますか、二輪にも使える電動化のテクノロジーはしっかりと取り入れていくというアピールにもなったと思います」(以下「」は佐伯さん)
BMWの敷居が低くなる? 「RENT A RIDE」開始
2022年6月にスタートしたバイクのレンタルサービス「RENT A RIDE」。BMWがグローバルで展開する取り組みだが、ついに日本でも利用できるようになった。アカウントを登録すれば、世界中でBMWブランドのバイクをレンタルすることができる。日本では神奈川県の2店舗で実施(2022年12月現在)されている。
「現在、BMWモトラッドは非常に多くの車種をラインアップしていますが、例えば普段は『GS』などのアドベンチャー系バイクに乗っている方でも、たまには違う車種を試してみたいという思いは少なからずあるはずです。でも、いくらディーラーさんと仲がよくても、『1日だけ貸して』というのは、言える人と言えない人がいますよね? こうしたニーズにも、RENT A RIDEなら対応できると思います。日本の実施店舗もこれから増やしていきたいですし、グローバル展開しているサービスでもありますので、ゆくゆくは海外旅行に出かける日本の方や、逆に観光で日本に来られる方などが、どこでもBMWモトラッドを楽しんでいただける環境になると思います」
長野・白馬に約4,000人のファンが集結!
3年ぶりの開催となった「MOTORRAD DAYS JAPAN 2022 LIGHT」(会場:Hakuba 47、会期:9月3日~4日)は、初日こそあいにくの荒天となったものの、計3,898人のファンが駆けつける大盛況となった。
「MOTORRAD DAYSはBMWモトラッドに関わる多くの人にとって特別なイベントです。開催に向けて年初から何度も会議を繰り返して当日にのぞみましたが、来場いただいた方たちの熱量は我々以上でした。楽しみ方は本当に人それぞれで、バイクで来場すること自体が目的だった方もいれば、会場で乗りたかったバイクに試乗することを楽しみにしていらっしゃる方もいました。楽しみ方が自由なところも、すごくバイクらしいイベントですよね。今後も継続して開催していきたいです」
2023年はBMWモトラッド逆襲の年?
BMWグループでは長い経験を持つ佐伯さんだが、モトラッドのGMに就任してからは苦労も多かったそう。2022年を振り返ってもらった。
「BMWグループジャパンには16年くらいいて、社内ではそれなりに人脈もありますし、各分野に携わってきたので、ある程度はやれるだろうと思っていました。ただ、GMに就任してからは、ほぼ毎月のように生産や物流が遅れるといったトラブルだらけで、数字という意味ではあまり思わしくなかったというところです。でも、BMWモトラッドには経験が長い社員が多くいて、ディーラーさんとも良好な関係性を築けています。そのあたりも含め、モトラッドは非常に強いチームだなと再認識しました」
GMに就任したことで、バイクに対するイメージも変化したという。
「私自身は学生時代にバイク乗っていましたが、当時はどこかにツーリングに出かけるというよりも、移動手段として1人で楽しく乗っている感じでした。それがこの立場になって、ディーラーさんのところに出かけたり、イベント来場者の様子を見たりするなかで、『バイクって、普通の人でもこんなに楽しめる乗り物なんだ』と気づかされました。サーキットを全開で走る人もいれば山道を走る人もいますし、全部やっちゃう人もいます。バイクの世界では、知らないところでいろんな楽しみ方を持った人がいる。私の中ではすごい発見でした」
最後に、2023年の展望を聞いてみた。
「本国では発表済みのニューモデルを日本でも正式発売します。もともとかなりの人気車種ですから、しっかりとアピールしてどんどんBMWに触れていただきたいと思っています。今年は供給難などいろんな事情があり、販売面の数字が思ったほどよくなかったので、ニューモデルで弾みをつけて、来年は一気に挽回したいですね。個人的には、もうちょっとバイクがうまくなりたいと思っています。まだブランクもありますし、バイクに乗っている時間が圧倒的に短いので、自分自身としても、もっとバイクを楽しむ年にしたいです」