年末年始は家族や親戚、友人と集まり、おせち料理などいつもより豪華な食事が並びます。そんなとき注意が必要なのは愛犬や愛猫の誤食です。普段は気を付けていても、慌ただしい時期になると注意がおそろかになってしまいがち。今回は、危険な食べ物や誤食してしまったときの対処法についていすみ動物病院 田中 芳生先生に聞いてみました。
――実際、年末年始は愛犬・愛猫の誤食は普段より増えるのでしょうか
田中先生:猫は経験上あまりないのですが、犬は増えます。焼き鳥などの串に刺したもの、また、ハムでキュウリなどを巻いたものを爪楊枝で刺したものや、玉ねぎや長ネギが入った、すき焼きやハンバーグなどを飼い主がトイレなでに目を離した隙にテーブルに乗って丸呑みするケースが上げられます。
注意が必要な食べ物は?
では、特に気を付けた方がよいものは何でしょうか。また、食べてしまった時の犬猫への影響についても教えてもらいました。
■玉ねぎ、長ネギ
ネギに含まれてるいる成分が犬猫では上手く代謝出来ず、赤血球の膜を弱め赤血球が簡単に壊れるようになります。症状としては、血尿正確には血色素尿や貧血による歯茎などの色がいつもより白っぽくなったり、歯茎を指で押した時にもとのピンク色に戻るのが遅くなります。また、気怠そうに動くのを嫌がります。
■チョコレート
人が酔っ払っているようなフラフラした状態や興奮して落ち着かなくなります。チョコレートに入っているカカオの成分で人で直ぐに代謝される物が犬猫では代謝速度が遅い為に身体に大量に蓄積されるために起こります。最近流行りの大人向けカカオの量が多くなっている物はより注意が必要です。
■カニ、エビ、イカ
これらは毒性はあまりありませんが、犬猫は消化が上手く出来ないので下痢や嘔吐の原因になります。
■ブドウ
まだ何が原因で中毒を起こしているのか分かっていません。生のものよりもレーズンはより乾燥して濃縮されているので、より危険とされています。個体差があり食べてもなんともない個体も有れば、死に至る個体もあります。私の経験上、激性の急性腎不全になり一度、症状が出るとどのような治療をしても反応しません。症状は嘔吐や下痢、うずくまって動かなくなります。
■フライドチキン
中毒ではありませんが、加熱処理された骨付きの鶏肉は注意が必要です。加熱した鳥の骨は噛むと生木を折った様に折れた断面がバキバキに割れてとんがり消化管粘膜を傷付けます。
■焼き鳥や串付きな物
特に犬は焼き鳥ぐらいであれば串がついたまま丸呑みします。ちょっと目を離した隙に食べられてると緊急手術になります。
自宅できる対処法はある?
田中先生:ご家庭で出来る対処方法は食べてしまった後はほとんどありません。塩分濃度の濃い水を飲ませて吐かせるとかあるにはありますが、そもそも犬猫はそのような塩っぱい水は中々飲んでくれませんし、飲ませて吐いたとしてもそれによって吐き気が止まらなくなる事もあります。
まず、その様な食べ物や植物を犬猫が届くところに置かないこと。不可能なときは犬猫の行動範囲を制限することです。部屋を分ける、サークルの中に入れるなど工夫してあげて下さい。また、もしもの時のために夜間救急の動物病院や年末年始でも診てもらえる動物病院を予め探しておく事をおすすめします。また、食べてから2~3時間経っている場合は胃から下部の消化管に移動しているので吐かせる事は不可能です。そして、なおかつ症状が出ていない場合は、いつもより食べ物を与えて出来るだけ早く便として排泄させる事により体外に出すという事も大切になってきます。
監修ドクター:田中 芳生先生
いすみ動物病院 獣医
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