カリフォルニア くるみ協会は12月26日、くるみの摂取が加齢に伴う健康増進の「懸け橋」となるという研究結果を発表した。

  • くるみイメージ

研究グループは1985~86年にかけて、アラバマ州バーミンガム、イリノイ州シカゴ、ミネソタ州ミネアポリス、カリフォルニア州オークランドの4つのフィールドセンターのいずれかにおいて、18~30歳の健康な黒人と白人の男女3,023人を対象に食事と健康に関する情報を収集し、解析を行った。

研究期間中に3回にわたり(ベースライン、7年目、20年目)、自己申告による食事歴を調査を実施。また、30年にわたる研究期間中、複数回の検査で身体・臨床的な測定を行った。

食事歴から、参加者を「くるみ摂取者」「その他のナッツ類の摂取者」「ナッツ類非摂取者」に分類し、くるみ摂取者352人、その他のナッツ類の摂取者2,494人、ナッツ類非摂取者177人を対象に、食事内容、喫煙、身体組成、血圧、血漿脂質(トリグリセリドなど)、空腹時血糖値、インスリン濃度といったCVDの危険因子との関係を検討した。

研究期間中の、くるみ摂取者におけるくるみの平均摂取量は1日当たり約21g、その他のナッツ類の摂取者のナッツ類の平均摂取量は同約42.5g。

今回の研究では、くるみ摂取者は、他のナッツ類の摂取者やナッツ類非摂取者よりも自己申告による身体活動量スコアが高かった。また、くるみ摂取者のCVD(心血管疾患)リスクプロファイルは、他のナッツ類の摂取者よりも良好(低値)であった。

さらに、くるみ摂取者は、他のナッツ類の摂取者およびナッツ類非摂取者よりも、研究期間中の体重増加が少なく、肥満者に分類された人数が少なかった。ナッツ類非摂取者と比較して、くるみ摂取者は空腹時血糖値が有意に低く、他のナッツ類の摂取者はLDL-コレステロール値が高い傾向があった。

20年後の食事の質を示すマーカーでは、青年期の食事にくるみが含まれていると、他のナッツ類の摂取者やナッツ類非摂取者よりも食事の質の総スコア(Healthy Eating Index 2015)が高くなっていることがわかった。

また、くるみ摂取者は、他のナッツ類の摂取者やナッツ類非摂取者と比べて自己申告による以下の一日の摂取量が多く、なかでも「米国人のための食生活指針(2015-2020 Dietary Guidelines for Americans)」にまとめられている摂取量の少ない栄養素や公衆衛生上重要な食品群の摂取量が有意に多かった。

  • 研究データ

ミネソタ大学公衆衛生大学院の研究者らは、これらの結果について、くるみに含まれる栄養素の特有の組み合わせと、それらの健康効果によるものである可能性を指摘している。くるみは、植物性オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸(1オンス=約28g中に2.5g)を豊富に含むが、このα-リノレン酸が心臓や脳の健康、健康的な加齢において一定の役割を果たす可能性が、複数の研究で示されている。

一食分である、ひとつかみ程度のくるみ(約28g)には、タンパク質(4g)食物繊維(2g)、マグネシウム(45mg)など、健康全般をサポートする多様な重要栄養素に加え、ポリフェノールをはじめとするさまざまな抗酸化物質も含まれる。

ミネソタ大学公衆衛生大学院疫学・地域保健部門の教授で、CARDIAの主任研究者でもあるLyn M. Steffen博士(PhD, MPH, RD)は、「くるみを食べている人、とりわけ、心疾患、肥満、糖尿病などの慢性疾患のリスクが高まっていく青年期から中年期にかけてくるみを食べ始めた人は、食事の質が向上するといった健康への良い影響とともに、特有の身体表現型を持っているようです」と述べている。

栄養学や動脈硬化が専門の吉田博先生は、かねてよりさまざまな健康効果が期待されているくるみの摂取が、30年という長期追跡研究から、健康的な食事であることが示されたと評価している。