「昭和レトロカー万博 2022」(大阪府 舞洲スポーツアイランド 空の広場で開催)の会場で水色のかわいい軽トラックを見つけた。調べてみると、このクルマは「T360」といってホンダ初の量産4輪車なのだそう。どんな経歴の持ち主なのだろうか。
「スポーツトラック」と呼ばれた?
自転車用補助エンジンで事業を始めたホンダが4輪(自動車)開発に乗り出したのは1950年代後半のこと。通産省の「国民車構想」に応じるべく軽4輪車の設計、テストに取り組んでいたそうだが、創業者の本田宗一郎氏からは「スポーツカーをやってみろ」、当時は専務だった藤澤武夫氏からは「トラックをやってみたら」と提案があり、これら2機種を煮詰めていったのだという。結局のところ軽スポーツカー「S360」は発売に至らなかったのだが、ホンダ初の量産4輪車として世に出たのが写真の軽トラック「T360」だ。
DOHC4気筒、4キャブレター、354cc、30馬力のエンジンをアンダーフロア・ミッドシップに搭載するT360は当時、「スポーツトラック」と呼ばれたとのこと。スポーツカーと同時進行で開発が進められ、基本的には同じエンジンを積む軽トラックだったわけだから、よほど性能も高かったのだろう。