好調な業績を記録した2022年のハーレーダビッドソン。各メーカーが供給不足に陥るなか、販売台数でV字回復を達成できた理由はどこにあるのか。ハーレーダビッドソンジャパン野田一夫社長に2022年の振り返ってもらうとともに、ハーレー生誕120周年となる2023年の展望を聞いた。

  • ハーレーダビッドソンジャパンの野田一夫社長

    ハーレーダビッドソンジャパン野田一夫社長に聞く2022年の振り返りと2023年の展望

4年ぶりとなったビッグイベント

コロナ禍で中止や延期が相次いでいた恒例イベントの復活が目立った2022年。ハーレーダビッドソンが4年ぶりに開催した「ブルースカイヘブン2022」も、今年を象徴するような催しだった。

「ブルースカイヘブンは昔から知っていましたし、私も来たことがあったので、社長就任初年度には開催できなかったのですが、今年はぜひと思っていました。お客さまもディーラーの皆さんも、ずっと我慢してきましたからね。特にディーラーの人たちは、ご自身の健康も心配だったと思いますが、お客さまのバイクライフをしっかりとサポートしなければいけないということで、店を閉めずにずっと対応していただきました。その人たちにご褒美ではないですけど、頑張ったからまたここに戻ってこられたという象徴のような感じでブルースカイヘブンを開催したいという思いを強く持っていました。それが実現したのが、一番嬉しかったですね」(以下「」は野田さん)

  • ハーレーの「ブルースカイヘブン 2022」

    モーターサイクル、キャンプ、音楽の融合をテーマに開催した「ブルースカイヘブン 2022」。イベント期間中はサーキット内でキャンプを楽しむこともできた

即日完売した最後の空冷スポーツスター

新型モデルの導入でもバイク業界を盛り上げたハーレーだが、中でも最後の空冷スポーツスターとなる日本限定車「フォーティーエイト ファイナルエディション」には大きな反響があった。

「フォーティーエイト ファイナルエディションは『ヨコハマホットロッドカスタムショー2021』で発表した1,300台限定のモデルですが、登録は2022年に行っています。販売自体も1日で完売となってしまいましたし、たくさんのファンから愛された人気モデルの最後を日本で飾らせてもらえたというのは、今年のトピックスのひとつだったかなという感じです」

  • ハーレーの「フォーティーエイト ファイナルエディション」

    ピーナッツタンクが作り出す独特のスタイルと1,200cc空冷エボリューションVツインエンジンの力強い走りはそのままに、限定モデルにふさわしい装飾を随所にちりばめた「フォーティーエイト ファイナルエディション」

新規登録台数が1万台を突破!

5年ぶりに新規登録台数が1万台を超える見通しになるなど、2022年も絶好調だったハーレーダビッドソン。前述のフォーティーエイト ファイナルエディションに加え、初のフルイヤーとなった「パンアメリカ」「スポーツスターS」、2022年にラインアップに加わった「ナイトスター」などで着実にファンを獲得。各モデルは、いずれも日本バイクオブザイヤー(日本二輪車文化協会)の表彰を受けるなど、業界内の評価も高い。

「あまり数字を追いかけることはしていませんが、年間1万台を達成できたことは1年間を頑張ってきた成果としてよかったと思います。コロナ禍でコストが上がり、車両価格も上がっている中で達成できたことも大きいですね。2022年の販売台数は前年比で上昇に転じていますが、実はこれって9年ぶりのことなんです。それも、ただ台数が増えただけではなく、5年前の水準までV字回復しているところは大きなポイントですし、ハーレー復活のサインだと思います」

  • ハーレーの「ナイトスター」

    2022年に登場した「ナイトスター」は、新型水冷エンジン「レボリューションマックス」を搭載する新世代ハーレーの第3弾だ

ブランド誕生から120周年の2023年、見通しは?

世界的な半導体不足もあり、多くのバイクメーカーが供給不足に陥いるなか、国内販売台数でV字回復を達成した2022年を野田さんはどう感じているのだろうか。

「販売台数については、しっかりと日本向けの生産を確保できたというのが正しいところで、例えば世界的な生産台数が去年より増えているかというと、そうではありません。日本市場の状況といいますか、お客さまのニーズの高さについて、アメリカ本社としっかりコミュニケーションできたのが大きかったと思います。代表として、実際は今年が初めてのフルイヤーです。就任は2021年からで、去年はもともとあった計画を引き継いだ形でしたが、今年は前年をしっかりと分析した上で準備ができました。その中で、日本の需要、お客様の状況をしっかりと把握し、これだけの数がほしいと本社にしっかりと訴えたことが、販売台数のV字回復として実を結んだという感じですね」

ハーレーダビッドソンにとって2023年は120周年のメモリアルイヤーだ。記念すべき年に向けた意気込みは。

「来年はとても大事な年です。2022年は改革をスタートした年で、今はものすごく勢いがついていますから、これをさらに伸ばしていくということは確実にやっていきたいです。今年もスポーツスターSがフルイヤーだったり、ナイトスターが登場したりといろいろありましたが、来年もすごい年になると思います。今年これだけできたわけですから、来年、勢いが落ちる要素は全く見えません。ハーレーダビッドソンの2023年に期待してください」