2022年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器が登場しました。今年は何といっても物価高が直撃。デジタル機器の多くが、コスト高や円安を背景に、値上げを余儀なくされました。そんな中でも購入を決めたお役立ちアイテムを、デジタル業界に詳しいライター諸氏に聞きました。
2022年に購入したベストアイテム、今回紹介するのは、専門はIT系だけど、なんでもござれのライター・海老原昭さんがセレクトしたAndroidスマートフォン「moto g50 5G」です。得意分野はApple製品ですが、WindowsもAndroidも周辺機器もソフトも等しく愛する海老原さん。「仕事」で使うAndroidスマートフォンの条件は「ピュアなOS環境であること」だそうです。
- 選んだ製品:moto g50 5G(モトローラ)
- 直販価格:4,980円
- 選んだ理由:できるだけピュアなAndroid端末が欲しい!
- 満足度(5段階):★★★★
5Gに対応したミドルレンジ向けピュアAndroid端末
基本的にApple製品で身の周りを固めている筆者ですが、お仕事ではAndroid製品もWindowsも触ります。そんな筆者が製品を選ぶときの決め手は「できるだけピュアなOS環境であること」。ライター稼業というのは画面撮りや動作検証などを行う機会が多いため、独自のアプリやUIを採用しておらず、純正環境にできるだけ近いのが理想なのです(だから環境のカスタマイズもほとんどしません)。
Android端末においては、大抵のメーカーが独自にUIを弄っていたり、独自のアプリを搭載したりしています。また、キャリアが販売する端末もキャリア用サービス向けアプリなどが入っています(昔に比べると大分ピュアに近くなってきた感がありますが)。案外ピュアなAndroid端末って選択肢が狭いのです。
GoogleのPixelシリーズがピュアAndroidの最高峰で、性能的にも魅力的なんですが、いかんせんAndroidはサブ機種と位置付けている筆者の予算的には安価な「a」シリーズでもちょっと厳しい。で、その他のメーカーでなんとかならんかな…と探したところ、モトローラがピュアAndroid端末を販売していました。
モトローラといえば680x0系CPUやPowerPC系CPUのメーカーであり、世界初のiTunes対応携帯電話「ROKR」を販売したブランドです(今はレノボの傘下ですが)。古くからのAppleユーザーにとってはお馴染み、気分的には「身内」のブランドなのです(今はレノボ傘下ですが)。スマートフォンではハイエンドの「edge」シリーズや折りたたみモデルの「Razr」、メインストリームの「g」シリーズ、ローエンドの「e」シリーズを展開しています。以前はモジュールで拡張できる「Z」シリーズなど、ユニークな端末も販売していました(個人的にZシリーズはお気に入り)。モデルバリエーションが多い割に、機種名からグレードの違いがわかりにくいのが玉に瑕ですが、真面目ないい端末を作っている印象です(今は以下略)。
そんな(どんな?)わけでお仕事用Android端末にはモトローラのSIMフリー端末を選ぶことにしたのですが、さらに選択時にはいくつか条件をつけました。まず、このご時世なので5Gは使えたほうがいい(筆者のiPhoneはまだ11 Proなので、5G環境がないのです)。そして(購入当時)最新のAndroid 12へのアップデートが期待できるモデル。さらにできるだけリーズナブルで、それでもローエンドではなく、それなりに快適に使える端末…ということで2022年の春先に行き着いたのが、ちょうどIIJmioでMNP転入時に4,980円(一括)の特別価格で販売されていた「moto g50 5G」(カラーはメテオグレイ)でした。同時期に「moto g31」だと一括500円だったのですが、こちらは5G非対応ですからね。
moto g50 5GはSoCがMediaTek Dimensity 700(MT6833)で、QualcommのSnapdragonシリーズだと、720辺りに相当するクラスでしょうか。RAMが4GB、ROMが128GBという構成。最近はROMが多めの機種も増えてきましたが、最初から128GBくらいあると、長時間の動画撮影なども安心です(取材時にスマホで動画撮ることが多いのです)。microSDカード(最大512GB)にも対応しています。
バッテリーは5,000mAhで、丸1日使っても安心なのは本当に助かります。ただ、充電ポートはUSB Type-Cなのですが、内部はUSB 2.0だし、USB PDにも対応していないのですよね。付属の充電器も10Wタイプで、これがPD対応で18Wが使えたりすると、ほぼ2倍の充電速度が期待できたのですが。
ディスプレイは6.5インチで、リフレッシュレート90Hz。Android端末ではゲームはしないのですが、スクロール時などにヌルヌル動くのは気持ちいいですね。画面が大きめなので、パソコンで仕事中に横で動画流したりするにもちょうどいいです。画面サイズに比例して本体も大きめですが、幅はそれほど低くないのと、指紋認証が本体右サイドの電源ボタンと兼用なので、スリープからの復帰は大変やりやすいです。
カメラはアウト側が標準の4,800万画素、マクロの200万画素、200万画素の深度センサー、イン側が1,300万画素。カメラの画質はよく言えば鮮やかな発色、悪く言えばわざとらしい色作りで、好みが分かれそうですし(個人的にはイマイチ)、マクロも200万画素なら必要ないなあ、という感じですが、といって悲観するほど悪くもないです。前述したように動画撮影が多いのですが、しっかり役立ってくれています。
残念なところとしては、防水防塵非対応、SuicaなどのFelica非対応なところでしょうか。この辺は後継モデルである「moto g52j 5G」がカバーしています。っていうかRAMが6GB、ディスプレイが6.8インチ/120Hzになっていて、15Wでの高速充電にも対応していたりするので、全面的に負けているんですが…。ま、52jは人気あるからなかなか値下がりしないからね。
Android OSは標準でバージョン11が搭載されていますが、12にバージョンアップできます。残念ながら「G」ラインはバージョンアップが基本的に1回限り(あるいは発売翌年まで?)らしく、13へのアップグレードは用意されていないようです(g52jは対応しそうな気配)。この辺はAndroidの悪いところがモロに出てしまった感がありますね。筆者的には、どうせ1~2回しかバージョンアップできない端末に何万円も払ってられっかよ、と思い切ってハイエンドを無視する、いいきっかけになっているかもしれません。
ちなみに12へのアップグレード時、エラーが出まくってアップデートがどうしてもかからない症状が出たのですが、サポートに問い合わせて、PCと接続してアップデートをかけたところ、無事12になりました。もしトラブルが起きている方がいらしたら、サポートに問い合わせることをお勧めします。
意外な特技「LDAC対応」
地味さでは他の追随を許さない「The地味」なg50 5Gですが、一つだけちょっとした特技が。実はBluetoothオーディオの高音質コーデック「LDAC」に対応しています。LDACはBluetoothの標準であるSBCと比べて最大で約3倍近い、990kbpsの接続に対応したコーデックで、いわゆるワイヤレスハイレゾ接続の条件の一つに数えられています。ロスレス以上の音源をLDAC対応、できればハイレゾ認定のイヤホンで聴くと、明らかにSBCやAAC、aptXあたりとは音のグレードが違うんですよ。
スマホ側では、ソニー製品、または他社でも割とハイエンドなモデルならLDAC対応しているものが多いのですが、ミドルクラス以下の安価な製品になると数がグッと減っちゃうのですね。モトローラ製品の中でも、LDAC対応している製品は上位モデルの他だと、実はg50 5Gくらいしか見当たらなかったりします。しかも後継モデルであるg52jは非対応だっていうから不思議なものです。LDAC対応では最安レベルじゃないでしょうか。
一応、最近(バージョン8以降?)のAndroidはOS側でLDACのソフトウェアコーデックを持っているらしいのですが、まあハードウェアがちゃんと対応していると嬉しいですよね。音にこだわりのある方はぜひ注目してあげてください。
大変地味なmoto g50 5Gですが、そもそもサブ機にド派手な個性は求めてはいません。イザってときにしっかり使えて、イライラしない程度の性能があって、それで安くて一芸に秀でていたらいうことナシです。で、実際今年Androidを使う仕事の上ではしっかり働いてくれたので、私はかなりマジで満足しています。iPhoneメインだけどAndroidもいいなあ、でもコストはかけたくないなあ、なんて人はモトローラどうですか。結構いいですよ。今はレノボの(以下略)。