年の締めくくりに仕事も忙しくなる時期。ついつい寝るのが遅くなってしまっていませんか。疲れがたまると風邪をひきやすくなったり、仕事のパフォーマンスが発揮できないことも。寒い冬でも快適な睡眠をとるためにはどうすればいいのでしょうか。医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センターの中路 幸之助先生にお話をうかがいました。

  • 睡眠の質をあげるにはどうしたらいい?

――寒くなると寝ても眠くなり、なかなか疲れが取れにくいように感じます。冬はなぜ睡眠の質が下がるのでしょうか

中路先生:体温と睡眠には関係があり、人が眠たくなるためには脳を含めた「深部体温」とよばれる内臓の温度を下げる必要があります。冬になり寒くなると体表の皮膚の温度が低下し、身体は低体温にならないよう血管を収縮させて体内に熱を封じ込めようとします。そのため深部体温を低下させることができなくなり、十分な睡眠ができなってしまいます。

――睡眠が不足していると、体にどのような影響が出るのでしょうか

中路先生:睡眠は身体を回復する時間であり、免疫を強化する時間帯です。寝不足の状態が続くと、免疫力の低下を招きます。免疫力の低下は風邪などの感染症の原因となります。米国医師会の報告では平均睡眠時間が7時間未満の人は、睡眠時間が8時間以上の人と比べ2.94倍風邪にかかりやすかったとの報告があります。また睡眠不足は生活習慣病やうつ病や認知症がんなどを引き起こすとの報告があります。

――社会人の理想の睡眠時間はどれくらいなのでしょうか

中路先生:これまで理想的な睡眠時間は8時間と言われましたが、睡眠時間を調べた論文によると、個人差はありますが、成人の場合、6~7時間前後の睡眠時間が目安です。加齢に伴い必要とする睡眠時間が少なくてすみ、65歳で必要な睡眠時間は6時間程度です。

――より質の高い睡眠をとるための方法にはどのようなものがありますか

中路先生:アルコールは入眠作用がありますが、眠りが浅くなります。寝酒としてアルコールを摂取すると、途中覚醒をきたし不眠の原因となります。緑茶やコーヒーには覚醒作用のあるカフェインが含まれているため、緑茶やコーヒーを飲みたい場合はカフェインレスのもにしましょう。

さらに、就寝時に部屋は暗くしましょう。睡眠ホルモンのメラトニンは睡眠を促進する作用を持ちますが、明るい光の下では分泌されなくなります。

また脳内覚醒物質のオレキシンは、ストレスや心配ごとが解消したり、リラックスしたり、食事でお腹がいっぱいになると、分泌が減少します。寝る前には脳のアルファーを優位にするリラックスミュージックを聞いたり、ラベンダーなどのアロマを活用するのも良いと思います。

――ありがとうございました

監修ドクター:中路 幸之助先生

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター/米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医/日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医


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