2022年で発売25周年を迎えたレースゲーム『グランツーリスモ』にフェラーリ初の「ビジョン グランツーリスモモデル」が登場した。いったい、どんなクルマなのか。このゲームに登場する特別なモデルについて、グランツーリスモのクリエイター・山内一典さんに話を聞いたので、あわせてお伝えしたい。
ゲームをきっかけに魅力的なスポーツカーが誕生!
グランツーリスモは1994年に第1作が発売となって以来、これまでに計7作をリリースしている。2022年3月に発売した第7作までの累計販売台数は全世界で9,000万本以上に達している。
グランツーリスモの魅力のひとつが多彩なカーラインアップだ。ポリフォニー・デジタル代表取締役プレジデントである山内一典さんによれば、クルマの選定には「自動車デザインの傑作」「人気車種」「自動車史に影響を与えるようなコンセプトカー」といった基準があるという。
ゲームをきっかけに自動車メーカーがスポーツカーを作るプロジェクト「ビジョン グランツーリスモ」は約10年前にスタート。「皆さんが考えるグランツーリスモ(GT=2ドアのスポーツカーもしくはグランドツーリングカー)を作ってください」という山内さんの一言で始まった。
当初は何社かが賛同してくれれば御の字だと思っていたそうだが、実際にプロジェクトをスタートしたところ世界中の自動車メーカーが協力。これまでに28ブランド45車種がこのプロジェクトから誕生している。
ビジョン グランツーリスモから生まれた最新モデルが、11月の「グランツーリスモ ワールドシリーズ2022」ファイナルの中で公開された「フェラーリ ビジョン グランツーリスモ」だ。
他に類を見ない“跳ね馬”のレースの伝統に基づいて作られた「フェラーリ ビジョン グランツーリスモ」は、フェラーリに大いなる成功をもたらした1960年代から70年代のスポーツプロトタイプの魅惑的な世界からインスピレーションを受けている。
ハイパーモダンなボディワークと大胆なプロポーションは「330 P3」や「512 S」といった数々の名車のDNAを受け継いでおり、過去へのオマージュでありながら、耐久レースの未来を強く印象づけるクルマとなっている。
ボディ構造は先進のエアロダイナミクスを基礎とし、パワートレインは「499P」と同じ3LターボのV型6気筒ハイブリッドエンジンを搭載。9,000回転で1,030CV(1,030 PS)以上を発生するとともに、リアアクスルと左右のフロントホイールにある計3機の電気モーターが240kW(326PS)を出力するという。
山内さんはビジョン グランツーリスモは当分続く見込みとした上で、「今後数十年、もしかすると100年くらいの自動車デザインに影響を与えていくものと思います」と話していた。