「毎日お手入れしているのに、肌がカサカサ」「なんとなくシワが増えた気がする」
これらの肌悩みは、もしすると糖化の影響かもしれません。今回は肌の糖化のメカニズムと肌に与える影響、ケア方法を紹介します。
肌の糖化って何?
肌の「糖化」、なんとなく聞いたことはあるけど、具体的にどういうものか分からない人もいるのではないでしょうか。これは食事に含まれた糖のエネルギーがスムーズに代謝されないときに起こる現象です。
余分な糖質が体内のタンパク質と結びついて、AGEs(終末糖化産物)という物質を発生させ、細胞を劣化させるというのが肌の糖化の現象。この糖化現象をメイラード反応と呼び、肌の酸化が「サビ」なのに対し「コゲ」といわれます。
身近な例ではトーストがあります。パンを焼いたときにこんがり褐色になるのがメイラード反応です。パンに含まれる糖分がタンパク質と結びついて、コゲができるのです。
糖化が引き起こす肌トラブル
ここでは肌が糖化するとどうなるのかを解説します。
糖化による肌トラブル1.くすみ・シミ
AGEsが体内に蓄積すると細胞が褐色になり、肌にくすみが生じます。美白対策をしているのに、肌が黄色くくすんで見えると感じたら、それは糖化によるものかもしれません。
炊きたてのご飯が黄色くなるのをイメージすると分かりやすいですね。そのままにしておくと、表皮にメラニン色素が沈着してシミができ、年齢より老けて見えることも。糖化にアプローチしたケアが大切です。
糖化による肌トラブル2.たるみ・シワ
肌のたるみとシワは肌の酸化によるものというイメージがあるかもしれませんが、糖化にも関係があります。酸化を防ぐ抗酸化物質の主成分はタンパク質。糖がタンパク質を弱らせて肌の機能が低下すると、酸化のもととなる活性酸素が増えやすい状況になります。
活性酸素は肌の弾力を保つ、コラーゲンやエラスチンにダメージを与えシワやたるみとなって、私たちの肌に影響を与えるのです。
肌の糖化の原因
肌にさまざまなダメージを与える糖化は、何によって引き起こされるのかを紹介します。
糖化しやすい食事
糖化の原因は血液中に余分な糖があふれることが原因で起こります。そのため、油っぽいものやファストフード、菓子類などの食べ過ぎは肌の糖化の原因に。
また、AGEsができやすい時間帯があります。それは食事をした後の1時間。この時間内に血糖値が上がり、糖化が起こってしまうのです。
食後の血糖値を上げないコツは早食い、ドカ食い、ダラダラ食いを避けることです。 早食いをすると糖が腸に届くスピードが速くなり、血糖値が急激に上がります。また、脳が満腹と感じる前に食べ過ぎてしまうので、ドカ食いにつながります。食べ放題やカラオケなどで長時間ダラダラ食べるのもNG。血糖値が下がりにくくなり、糖化しやすい状態になってしまうのです。
飲酒
仕事が終わってからの楽しみとして飲酒がありますが、これも糖化につながります。アルコールは代謝が遅く、ウィスキーなどの蒸留酒に至っては糖質を含まないので関係ないと思われがちです。
しかし、飲酒すると発生するアセトアルデヒドという物質がタンパク質と結合し、糖化の原因AGEsを生み出します。お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は要注意。アセトアルデヒドを分解する力が弱いため、AGEsが作られやすく糖化がグンと進むのです。
さらにお酒に合わせて唐揚げなどの揚げ物、スナック菓子をおつまみとして食べると、血糖値が上がりやすくなり、さらに糖化を起こしやすくなってしまいます。もし、ストレスが原因でお酒に頼ってしまう場合は、それに代わるストレス解消法を見つけてみてはいかがでしょう。
運動不足
私たちが普通に過ごしているだけでもエネルギーを消費しています。これを基礎代謝といいます。基礎代謝は年齢とともに低下すると、糖をエネルギーに変える力が不足するため、体内が糖化しやすい状態になっています。そこで基礎代謝を上げる必要が出てくるのです。
基礎代謝を上げる運動については、後ほどケア方法としてご紹介します。
睡眠の質低下
睡眠不足が肌に悪いというのは有名ですが、その要因のひとつに糖化も含まれます。就寝中は「メラトニン」というホルモンが分泌されます。これはAGEsを分解する働きがあり、糖化を軽減する優秀なホルモンです。しかし、睡眠不足になるとメラトニンが分泌されず、糖化が進行する原因になります。
糖化のケア方法
糖化対策スキンケア
糖化の原因AGEsは細胞を褐色にする特徴があります。これによって出現するのが黄ぐすみです。顔がなんだか黄色っぽいなと思ったら、糖化にアプローチする成分と美白ケアを取り入れましょう。くすみとシミをダブルでアプローチできます。肌のたるみやシワが気になるときはスキンケアにセルフマッサージをプラスして肌の弾力をキープしましょう。
▼糖化にアプローチ
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- カルノシン
- コウジ酸
- セイヨウオオバコ種子エキス
- ビルベリー
- ツバキ種子抽出液
▼美白有効成分
- ビタミンC誘導体
- アルブチン
- トラネキサム酸
- カモミラET
- 4MSK
▼シワ・たるみケア
- レチノール
- ビタミンC誘導体
- ペプチド
- ナイアシンアミド
肌の悩みにあった化粧品を選んでみてくださいね。
糖化を防ぐ食材選び
糖化を防ぐためには、血糖値を上がりにくくする食品選びをおすすめします。カロリーが低いものを選べばいいと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。血糖値に対しては食品ごとのGI値に注目します。
GI値とは血糖値の上昇指標のことで、値の低い食品は血糖値の上昇を穏やかにする働きがあるのです。これらの食品は食物繊維が多く、ほのかに酸味があり精製されていないという特徴があります。主なものを挙げましたので参考にしてくださいね。
▼GI値が低い炭水化物
スパゲッティ、日本そば、玄米、春雨
▼GI値が低い野菜
葉物野菜、キノコ類、大根、ピーマン、ブロッコリー
▼GI値が低い乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズ、バター
これらの食品をゆっくり食べるとさらに効果的です。調理方法も揚げるより「茹でる、蒸す」を意識して行うだけでも糖化を防げます。
適度な運動・筋トレ
糖化を防ぐには、基礎代謝を上げることが大切です。
基礎代謝を上げる近道は筋肉量を増やすこと。とはいえ、何時間もトレーニングをするのは難しいですよね。効率よく筋肉をつける方法は下半身のトレーニングです。筋肉の70%は下半身にあることからお尻から太もも付近を中心に鍛えましょう。
一番身近な方法はスクワットです。特別な道具なしですぐにできますので、すきま時間に試してください。
良質な睡眠
先述したように、睡眠中に分泌されるメラトニンは、糖化を防止してくれます。
メラトニンを増やすためには、ちょっとしたコツがあります。それは部屋を真っ暗にして寝ること。なぜなら、少しでも光を感知するとメラトニンの分泌がストップしてしまうからです。糖化防止を意識した睡眠をするためには、遮光カーテンで部屋を暗くし、テレビや間接照明をつけないように気をつけましょう。
また、日中太陽を浴びるとメラトニンが分泌されやすくなるため、朝の散歩も効果的です。食事には豆類や牛乳、魚、ナッツを取り入れましょう。これらの食材には必須アミノ酸、トリプトファンが含まれており、メラトニンを作る材料であるセロトニンを増やす働きがあるからです。散歩と食事を組み合わせるとさらなる快眠が期待できます。
肌の糖化は生活習慣を少し変えるだけで予防できる
今回は糖分の摂り過ぎによって起こる肌トラブル「糖化」について紹介しました。スキンケアはもちろん、食べるものを少し変えるだけでも予防できます。健康的な肌作りの参考にしてみてくださいね。