約2000人が訪れるという、湘南最大級のジャズの祭典「湘南ふじさわジャズミーティング vol.3」がJR藤沢駅北口の「サンパール広場」で11月5日に開催された。
湘南藤沢にジャズを根付かせるという熱い思いのもと2020年11月に初開催され、今年で3回目となったジャズイベントにNTT東日本 神奈川西支店が参画。ステージの様子を伝える動画配信支援(アーカイブ化)などの取り組みを実施した。
■コロナ禍で初開催されたジャズイベント
プロミュージシャン、アマチュアバンド、地域企業の有するベテランビッグバンド、有志の社会人ビッグバンドなど、"湘南ふじさわ"ゆかりのある多数の個人・団体がプロ・アマを問わず共演する「湘南ふじさわジャズミーティング」。
第3回となる今年は世界的なジャズトランペッター日野皓正さんなど豪華なゲストが出演した。
本イベントを主催する湘南ふじさわジャズミーティング実行委員会の事務局長・柳町卓さんに本イベントの成り立ちを聞いた。
「『藤沢でもジャズイベントをやろう」』という話が持ち上がったのは2019年11月頃で、実行委員長の小河静雄さんが、鹿児島の天文館でジャズイベントを目にしたのがきっかけです。2020年の頭頃から仲間で集まって具体的な企画などを立て始めました」(柳町さん)
柳町さんが経営するバーではジャズライブを定期的に開催。自らもサックスを演奏するなど、長らくジャズに親しんできたそうだ。
「昔から鵠沼のエリアは画家、作家、ミュージシャンといった文化人が多く住む地域で、地域のイベントも数多くありましたが、ジャズをテーマにしたイベントはありませんでした。普段は横浜や都内で活動されている方が多く、藤沢の周辺にはライブハウスなどジャズの聴ける場も少ないんですが、実際にこのイベントを行うなかで、藤沢にゆかりのあるジャズミュージシャンの多さを実感しています。このイベントはそうしたジャズミュージシャンの方々を地元の皆さんに知っていただく機会にもなっているのかなと思います」(柳町さん)
地元藤沢を愛するお店のオーナーや地元企業の経営者らが集い、2019年に実行委員会を立ち上げ、翌年11月に初開催に漕ぎつけた「湘南ふじさわジャズミーティング」。だが、実行委員会の脇屋英子さんはコロナ禍での初開催について振り返った。
「音楽関係者の横のつながりやいろんな出会いがつながって、素晴らしい方々に実行委員会に入っていただけました。藤沢のお店やストリートからジャズが聴こえてくるようなイベントを思い描いて準備を進めてきましたが、2020年の第1回は新型コロナで感染対策がとても大変でした。一方で1回目を開催したときは、出演者の方々もコロナ禍で久しぶりのイベントということで非常に喜んでくださいました」(脇谷さん)
実行委員会のなかで協賛金の管理などを担当している脇谷さん。街の人たちからの協賛金が運営資金となっている点も、本イベントの大きな特徴だと紹介する。
「実行委員会のメンバーはほとんど手弁当で、数千円から数十万円まで地元企業や商店、個人の皆さんの志として協賛金をいただいています。私はジャズや音楽に特別詳しいわけではないのですが、仲間の輪が広がって、みんなで集まってひとつのイベントをつくり上げていくことはすごく楽しいです。小さな力が集まるとこんな大々的なイベントになるんだなと、本当に感激しています」(脇谷さん)
回を重ねるごとに本イベントに関わる仲間も増え、ステージの作り込みなどもパワーアップ。今年はJ:COM協力のもと、駅前にある家電量販店の壁面にプロジェクターでライブ動画を投影する試みも行った。
「このイベントをもっと多くの方に知っていただきたいということで、今年はNTT東日本さんにも動画撮影とYouTube配信のご協力を得ることができました。来場されるお客様の支障にならず、かついい絵を撮れるようなカメラワークなどを考え、カメラの配置などをNTT東日本さんと一緒に検討させていただきました」(柳町さん)
■社内イベントで培った設備部の映像技術を提供
「もともと商工会議所とお付き合いがあるなかで、藤沢の地域を盛り上げるジャズイベントのため精力的に動いている方々がいらっしゃるとの話を聞き、藤沢を所管する神奈川西支店としてぜひ携わりたいと思いました」とは、NTT東日本 神奈川西支店統括担当の三好賢さん。
NTT東日本 神奈川西支店では設備部の動画撮影・編集の技術を地域活性化のひとつのソリューションとして提供することを見据え、無償サポートというかたちで今回のイベントに参画している。
自社のソリューションなどを通じて地域に寄り添い、さまざまな活動の運営サポートの強化に力を入れている同社だが、今回の取り組みは協賛企業として資金を提供するだけでなく、さらに一歩踏み込んだ地域への貢献活動と言えるようだ。
木村和宏さんが所属する設備部は、普段の業務とは別に日頃から社内イベントの際に動画の撮影・編集などを任されてきた部署だという。
「とはいえ、実際にお客様が入った社外イベントでの撮影・編集しアーカイブ化するといった映像を扱う取り組みは今回が初めて。しかも音楽イベントということもあり、社内イベントのように撮り直しができない一発勝負の現場の緊張感を現地に来て感じています」(木村さん)
開催1カ月前となる10月頭から、週1回ほどのペースで打ち合わせや現地確認を行い、「サンパール広場」のメインステージには3台のカメラを配置。カメラには交代でスタッフを配置する等万全な体制で撮影に臨み、編集したアーカイブ動画もYouTubeにアップして、本イベントの認知度向上を図る。
「やはり音楽イベントなので、我々のスタッフからも音にこだわって録りたいという話があって。音響を専門に担当されている委員会の方にご相談したところ、アンプから直接ケーブルで繋ぎ、別録りするかたちで対応していただけました。今回の映像・動画を機に通信事業だけではない弊社のさまざまなDX的なソリューションを少しでも多くの人に知っていただき、地域の課題を解決して地域とのつながりを深めていきたいと思っています。今後どんなICTと映像分野でどのような展開が技術的に考えられるかは、今後の検討が必要なところですが、自分たちでノウハウを培っていくなかで、独自の地域貢献のかたちやサービスも生まれてくるのかなと」(木村さん)
スケールも年々拡大している「湘南ふじさわジャズミーティング」のステージにはアマチュアや若手ミュージシャンも多く参加する。
演奏を披露する場を提供することで彼ら彼女らの活動を応援することも本イベントの大切な主旨になっているようだ。そんな地元密着型のイベントに携わる魅力を三好さんは、次のように語っていた。
「私自身はジャズに明るいわけではないんですが、「湘南ふじさわジャズミーティング」はさまざまな成長や可能性を感じています。そうした場に関われて、応援できることは純粋に嬉しいです。全国各地で行われるスポーツやライブ、お祭りなどのイベントの映像を通じて、地域活性化の観点で魅力を伝えられるようなサービスを確立していけたら」