シャオミの最新フラッグシップモデル「Xiaomi 12T Pro」が発売になりました。前モデル「Xiaomi 11T Pro」はオープンマーケットだけの展開でしたが、今モデルはソフトバンクからも販売されます。オープンマーケット版はメモリ8GB/ストレージ128GBの構成で、公式オンラインストアや量販店のほか、IIJ mioやOCNモバイルでも販売中。ソフトバンク版はメモリ8GB/ストレージ256GBで、分割払い時に最大24回分の支払いが不要になる「新トクするサポート」が利用できます。

  • Xiaomi 12T Pro

    シャオミの最新フラッグシップモデル「Xiaomi 12T Pro」

発売日時点のそれぞれの価格は以下の通りです。

販売元 通常価格 割引等
公式オンラインストア 109,800円 98,820円(Xiaomi 12T Pro 注文特典)
IIJ mio 98,820円 79,800円(MNP限定特価/2023年1月31日まで)
OCNモバイル 94,695円 76,000円(販売開始記念特価/12月26日11時まで)
ソフトバンク 143,280円 71,640円(新トクするサポート適用)

最新SoCSnapdragon 8+ Gen 1を搭載のハイエンドモデル

「Xiaomi 12T Pro」は約6.7インチの有機ELディスプレイを搭載し、ハイエンド向けの最新SoCであるSnapdragon 8+ Gen 1を採用しています。サイズは約H163×W76mm×D8.8mm、重さ205g。大画面かつ重さもそれなりですが、最近のハイエンドスマートフォンでは一般的なサイズ感だと言えるでしょう。

前面のディスプレイがフラットな一方、背面は側面にかけてぐっとラウンドした角のない形状。側面が少し細くなっているおかげで指がかりも良く、伏せて置いてあってもさっと持ち上げやすくなっています。片手操作がラクにできるとは言い難いですが、重心のバランスも良いのでサイズの割には持ちやすいスマートフォンだと思います。

カラーはブルーとブラックの2色。背面には指紋や汚れが付きにくい滑らかなアンチグレアガラス、カメラ部分には同色のメタル素材が使用されています。全体に滑らかでマットな質感ですが、エッジや上下にはキラッと光る仕上げが採用されていて高級感もあります。

背面には「xiaomi」の文字と、おサイフケータイ対応であることを示すFelicaマーク。上部には小さく「SOUND BY harman/kardon」の文字もあります。これは上下の対角線上に配置されたステレオスピーカーに、harman/kardonによるチューニングが施されているというサイン。全体的にはシンプルなデザインですが、メインカメラと2つのサブカメラが2段階に出っ張っている、ややゴツめのカメラは好みが分かれるかもしれません。

  • 背面

    さらっとした触り心地のアンチグレアガラスを使用した背面。サイドに向かってぐっとカーブした形状になっています

  • スピーカー部

    上下の対角線上にステレオスピーカーを配置。harman/kardonによるチューニングが施されていることを示す文字も刻印されています

  • USBポートとSIMカードスロット

    下部にはUSB type-CポートとSIMカードスロットを装備。セットできる物理SIMカードは1枚のみですが、eSIMにも対応しています。ヘッドフォン端子はありません

  • 右側面

    右側面には電源ボタンと音量キーのみ。指がかりが良く、持ち上げやすいです

  • カメラ部

    大きなメインカメラ(右)と超広角カメラ(中央)、マクロカメラ(左)が並んでいます。2段になっているため、結構大きな出っ張りとなっています

約6.7インチの有機ELディスプレイにはパンチホール型のノッチがあり、ディスプレイ下には指紋認証センサーも搭載されています。生体認証はこの指紋認証と顔認証の両方に対応。どちらでもロック解除が可能なので、マスクをしているときは指紋というように使い分けることができます。指紋はスリープ画面または常時オンディスプレイからダイレクトにロック解除が可能。一方顔認証はロック画面を表示した状態でないと作動しないので、指紋認証の方がより便利にかつセキュアに使えます。筆者が試した限り、感度も良好でした。

  • パッケージ同梱物

    パッケージにはTPU製のケースも同梱されています

ディスプレイのアスペクト比は20:9で、解像度は1.5K相当(2,712×1,220ドット)。リフレッシュレートは120Hz、タッチサンプリングレートは最大480Hzをサポートしています。設定ではリフレッシュレートが、デフォルト(自動可変)とカスタム(60Hz/120Hz)の2つから選べるようになっています。ピーク輝度は900nitと他社の最新フラッグシップモデルと比べると高くはないですが、今の季節においては太陽光下も見にくいと感じることはありませんでした。

このほか映像再生はHDR10+、Dolby Visionにも対応。ビデオや画像の解像度やHDR処理をAIを用いて補正する設定も備わっています。「Snapdragon 8+ Gen 1」によるヌルサクの操作性に加えて、ちらつきのないスクロールや、色鮮やかで高精細な映像再生が可能で、グラフィックの美しいゲームのプレイや高画質な動画再生がストレスなく楽しめます。

  • Geekbench 5
  • 3DMark
  • PCMark for Android
  • ベンチマークテストの結果。左から「Geekbench 5」「3DMark」「PCMark for Android」

2億画素カメラの価値は、明るさとデジタルズームにあり

カメラはフロントが約2,000万画素(F値2.24)、背面には約2億画素(F値1.69)の広角メインカメラ、約800万画素(F値2.2)の超広角カメラ、約200万画素(F値2.4)のマクロカメラが搭載されています。2億画素はもちろん高画質ではあるのですが、1/1.22インチのセンサーと4×4のピクセルを1つにまとめる「ピクセルビニング」と光学式手ブレ補正で、暗いシーンでもしっかり明るく撮れるのがポイント。通常は約1,200万画素での撮影となりますが、画素数の高いカメラを活かして10倍までの高精細なデジタルズームも利用できます。

  • 超広角の作例

    超広角では120度をカバー。メインカメラに比べるとやや暗めにはなるが、広い絵が撮影できるのは便利です

  • 0.6倍ズームの作例

    ズームは0.6倍/1倍/2倍、さらに5倍、最大10倍まで寄れます。2億画素カメラなので、デジタルズームで寄ってもくっきりしています。こちらが0.6倍

  • 1倍ズームの作例

    1倍

  • 2倍ズームの作例

    2倍

  • 5倍ズームの作例

    5倍

  • 10倍ズームの作例

    10倍

  • 夜景の作例1
  • 夜景の作例2
  • 夜景の作例3

    設定で「自動夜景モード」がオンになっていれば、低照度時に自動的に夜景モードが働きます

  • ポートレートの作例

    ポートレートは髪の毛の切り抜きなどに、やや甘いところもありますが、印象的な写真を撮ることができます

カメラにはプロ、ドキュメント、ビデオ、写真、ポートレート、夜景のほか、ウルトラHDなど多くのモードがあり、デフォルトで表示するモードの入れ替えも可能。ビデオは4K(60fps)または8K(24fps)の撮影が可能です。

約2億画素の超高精細撮影がしたい場合は、モードを「ウルトラHD」にした上で、「200MP」をオンにします。同じシーンを撮影してテストしたところ、通常モードでは5MBだった写真のファイルサイズが、2億画素だと52MBと10倍以上になっていました。「Xiaomi 12T Pro」はmicro SDカードなど、外部メモリーには対応していないので、超高精細な撮影が楽しみたい場合は、ROMが256GBのソフトバンク版を選んだ方が良さそうです。

  • 比較用、通常モードの作例

    通常の写真モードで撮影した写真と、「ウルトラHD」+「200MP」を有効にした超高精細モードで撮影した写真を比較してみます。まずは通常の写真モードで撮影した写真

  • 通常モードの作例の一部を拡大

    通常の写真モードで撮影したものの一部を拡大

  • 比較用、高精細モードの作例

    続いて超高精細モードで撮影した写真です

  • 高精細モードの作例の一部を拡大

    こちらが超高精細モードで撮影したものの一部を拡大したもの

  • Xiaomi ProCut

    超高精細撮影した写真では、「Xiaomi ProCut」という自動トリミング機能が利用可能。自動的に最大5種類の構図を提案してくれます

基本はAIをオンにして撮ればシーンを自動認識してくれるので、あとはシャッターを切るだけ。人の顔を認識してピントをあわせるのも速いですし、「モーショントラッキングフォーカス」がオンになっていれば、人の顔以外でもダブルタップした被写体を追跡し続けることができます。シャッターボタンは長押しで15秒の動画撮影、左右に引っ張るとバースト撮影が可能。なお、超広角0.6を選択時には超広角カメラ、撮影時に画面右上のメニューから「マクロ」を選択すれば、マクロカメラを使用した撮影ができますが、それ以外は高精細なメインカメラでの撮影になります。ちょっとクセはありますが、写真の満足度も高いですし、基本はAIにお任せできるので、慣れれば使いやすいカメラではないかと思います。

  • マクロの設定

    マクロカメラを使用するには、メニューから「マクロ」をオンにします。自動的に切り替わらないのがやや不便ですが、かなり寄った撮影ができます

  • マクロの作例

    マクロの作例

「神ジューデン」は、環境によっては19分以上かかる

最後に「神ジューデン」としてフィーチャーされている、急速充電機能をチェックしました。「Xiaomi 12T Pro」は約5,000mAhのバッテリーを搭載し、バッテリー持ちも悪くありません。もちろん設定や使い方にもよりますが1日半~2日は余裕でしょう。急速充電を試したいのに、バッテリーがなかなか減らずに苦労したくらいです。バッテリーの設定を「パフォーマンス」優先、ディスプレイの明るさ設定は自動で「PCMark for Android」のバッテリーテストを実施したところ、100%から19%になるまでは12時間45分でした。

  • PCMark for Androidのバッテリーテスト

    「PCMark for Android」のバッテリーテスト結果

さらに2%まで電池を減らして、急速充電をテストしました。「神ジューデン」こと120Wでの急速充電を行うには、付属のACアダプターとケーブルを使用する必要があります。さらに設定も必要で、「充電速度のブースト」をオンにしておかないといけません。これらの条件が整った上でさらに画面を消して、2%からフル充電まで最短で19分とのこと。

ケーブルをつなぐと最初の数秒間、画面に小数点以下までわかる数字が表示されるのですが、みるみる充電されていく様子は見ていて気持ちがいいほどです。テストでは充電の状態を確認するため、画面を何度も付けたり消したりしたので、少しだけ時間が長くかかりましたが、それでも10分で64%、19分で98%、20分50秒ほどでフル充電できました。また、再度画面を消して計測したときには、19分ちょうどで確認したらすでに100%になっていました。いずれも充電直後には背面が少し温かくなっていましたが、熱さを感じるほどではなく、熱対策はしっかり施されているようです。

  • ACアダプタ―とケーブル

    付属のACアダプターとケーブル。ACアダプターは実測値で重さが182gかつ、プラグが収納できないため、持ち運びには不向きです

  • 充電速度のブースト設定

    充電時の通知または設定の「バッテリーとパフォーマンス」をスワイプすると出てくる「充電速度のブースト」をオンにします

  • 120W充電の表示

    120W充電という表示が「神ジューデン」の証です。「充電速度のブースト」がオンになっていないと表示されません

1週間ほど使い込んでみて、充電時間が短く済むと電池切れをあまり意識しなくなることがわかりました。寝る前に充電しないと……という呪縛から解放され、「切れたら切れたで急速充電すればいい」と思えるようになります。ただし気になるのが電池の寿命。シャオミは「800回の充電サイクル後も80%の容量を維持」と説明していますが、急速充電の繰り返しで電池持ちの良さが目減りしてしまっては、本末転倒という気もします。24カ月間はバッテリーを無償交換してもらえるといえ、普段は「充電速度のブースト」をオフにしておき、急ぐときはオンにするという使い方が良さそうです。

OSはAndroid 12ベースの「MIUI 13」で、通信はWi-Fi 6とBluetooth 5.2をサポート。モバイル通信はソフトバンクの5G SAネットワークに対応している一方で、ドコモが採用している5Gの「n79」やミリ波には非対応となっています。また防水・防塵はIPX3、IP5X相当で、ワイヤレス充電にも対応していません。個人的には防水性能など、少し物足りなさを感じるところもありますが、前モデルほどではないにせよ、ハイエンドSoCを搭載しつつ上手くコストを抑えた、シャオミらしい一台だと思います。