昭和、平成、令和と3つの時代を駆け巡り、さらなる未来を目指す「仮面ライダー」の誕生50年を記念した展示イベント「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」が2022年12月23日から東京・池袋サンシャインシティ(展示ホールA)にて開催されている。

  • 「THE仮面ライダー展」開幕セレモニーで大集合した歴代「仮面ライダー」たち。最前列でポーズを決めるのは左から仮面ライダーバイス、仮面ライダーリバイ、仮面ライダー1号、仮面ライダーギーツ

「THE仮面ライダー展」とは、第1作「仮面ライダー」(1971年)から最新作「仮面ライダーギーツ」(2022年)まで、歴代の「仮面ライダーシリーズ」を象徴するキャラクター立像、マシン、劇中小道具をズラリと並べた豪華展示イベントのことである。放送当時の衣装や小道具が現存しない昭和シリーズについては、資料や画面情報をもとにして新規作成を行い、平成~令和シリーズでは「こんな細かいアイテムまで!?」と驚かれるような小道具類を集めるなど、ファン歴50年以上のベテラン勢から最新のライダー「リバイス」「ギーツ」が大好きな子どもたちまで、幅広い世代が一緒になって憧れのヒーローの世界に入りこむことのできる空間が生み出されている。

第1回の名古屋から、福岡、札幌と各地をめぐった「THE仮面ライダー展」。4回目となる東京会場では、これまで以上に広大なスペースが設けられ、展示されるアイテムの数も大幅にアップしている。ここからは、そんな「THE仮面ライダー展」東京会場の見どころを特撮ファン的視点からご紹介していきたい。

会場に入った私達を最初に出迎えてくれるのは、4人の「仮面ライダー1号」と4台の「サイクロン号」。そしてその奥では、仮面ライダー1号/本郷猛を演じる藤岡弘、のオープニングムービーが流れている。藤岡の気迫と熱意のこもったメッセージと、年月を経て重厚さが各段に増した「変身ポーズ」を、ぜひお見逃しなきよう。

昭和「仮面ライダー」ゾーンは、第1作『仮面ライダー』(1971年)から、『仮面ライダーV3』(1973年)、『仮面ライダーX』(1974年)……と、歴代作品の「解説パネル」と「紹介映像」、そして小道具類の「復刻展示」によってシリーズ各作品の歴史をたどる趣向。本郷猛、一文字隼人に続いて、東京会場では風見志郎、結城丈二、神敬介の衣装が製作されているのが注目ポイントである。小道具では、『仮面ライダーX』後半展開を盛り上げた重要アイテム「RS装置設計図(9つの紙片)」をぜひご覧いただきたい。V3/風見志郎がX/神敬介の強化改造に使用した「マーキュリー回路」も、劇中映像を参考にして精密な復刻品が作られている。コアなファンには『仮面ライダー(新)』(1979年)終盤でのキーアイテム「改造人間FX777認識票(複製)」もおすすめである。

平成・令和「仮面ライダー」ゾーンでは、個性的な作品世界に合わせた立像の展示方法が大きな見どころ。最新映画『仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』にも「参戦」して話題の『仮面ライダー龍騎』(2002年)では、鏡の世界「ミラーワールド」をイメージし、背景が鏡になっているのがユニーク。仮面ライダーゾルダ、仮面ライダーナイト、仮面ライダー王蛇をはじめ、東京会場では主役ライダーだけでなく、個性豊かな仮面ライダーの立像が追加展示されるのも見どころだ。名古屋会場以来の「ライドシューター」をはじめ、歴代ライダーが乗用したマシンの展示も大幅に増加しているので、ぜひ間近でマシンの大きさ、メカニック美あふれる造型の妙味を楽しんでほしい。

今年の8月に放送終了した『仮面ライダーリバイス』(2021年)からは仮面ライダージャンヌ/五十嵐さくらの悪魔・ラブコフや、五十嵐3兄妹の衣装をはじめ、展示品が多数追加。ストーリーの進行とともに敵や味方の立場が激しく入れ替わったり、人間関係が変化していったりするのを受け、「解説パネル」の人物相関図や「紹介映像」も新たに作り直された。東京会場ではさらに、『仮面ライダーTHE FIRST』『仮面ライダーTHE NEXT」「仮面ライダーアマゾンズ』(Season1/Season2)の紹介映像も新規製作している。

各作品の主要キャラクター紹介、仮面ライダーへの変身シーン、必殺技、敵キャラクター、マシンといった名場面を主題歌に乗せて編集した「紹介映像」は、1作あたりだいたい2分半にまとめられている。第1作『仮面ライダー』から『リバイス』まですべての映像(40作分)を観るだけで、軽く90分以上かかってしまう計算になるが、解説パネルと共に「THE仮面ライダー展」だけでしか観られない映像なので、可能な限りじっくりと観てもらいたい。

仮面ライダーシリーズの魅力を語る上で重要な要素となる「音楽」コーナーでは、昭和~平成~令和における各作品を網羅した詳細な解説パネルと、レコード&CDジャケットの展示、そして「超英雄祭」ライブ映像によって、仮面ライダーの音楽世界に没入することができる。それぞれの時代を彩ったライダー音楽を聴き、解説を読んでいると、時間があっという間に過ぎてしまうことは間違いない。

開催前日の22日にサンシャインシティ・スペイン階段にて催されたオープニングセレモニーでは、東京スペシャルアンバサダーに就任した簡秀吉(仮面ライダーギーツ/浮世英寿役)と前田拳太郎(仮面ライダーリバイ/五十嵐一輝役)が登場し、50年の歴史を持つ仮面ライダーの「重み」を噛みしめるかのように挨拶を行った。

簡と前田に続いて、それぞれの「変身効果音」と共に歴代ライダーがさっそうとかけつけた。2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガーの勇姿をお見せしよう。

スカイライダー、スーパー1、ZX(ゼクロス)、RX、ZO、J。勇ましい戦闘ポーズにも、それぞれのライダーの個性がにじみ出ている。

最後に「THE仮面ライダー展」レジェンドアンバサダー、仮面ライダー1号/本郷猛役・藤岡弘、が姿を現した。文字どおりのレジェンド、すべての仮面ライダーの原点というべき本郷猛の登場に、周囲のライダーたちもピリリとした緊張感が走ったように見えた。

現代を生きる子どもたちの夢と希望を守ってほしいと、若き後輩ライダーふたりに熱いエールを贈る藤岡。若者の活躍を何よりも楽しみにしていると話す藤岡は、簡と前田の肩を抱えてニッコリと微笑んだ。その優しい表情に、後ろにいるライダーマンも思わず笑顔をのぞかせた。

「THE仮面ライダー展」東京会場入り口の巨大パネルには、仮面ライダーファンにこの思いを伝えたい! と願う藤岡の「直筆メッセージ」とサインが寄せられている。藤岡の強い「念」が込められた言葉を心にとどめつつ、展覧会をお楽しみいただきたい。なお、会場内では「THE仮面ライダー展」のために撮り下ろした「藤岡弘、映像インタビュー」もモニター上映されており、必見といえる。

スペイン階段では、「THE仮面ライダー展」と同じく12月23日から公開される映画『仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』の記念イベントも行われた。簡秀吉と前田拳太郎が映画にかける意気込みを語ると共に、仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス、そして仮面ライダー龍騎、仮面ライダーギーツが登場し、大乱戦を繰り広げるミニアクションショーが披露され、「仮面ライダー同士のバトル」がクライマックスとなる映画への興味をひいた。

「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」(東京会場)は2022年12月23日から2023年1月15日まで、池袋サンシャインシティ・展示ホールAにて開催。

(C)石森プロ・東映