総務省から委託されPR活動を行うマイナポイント事業PR事務局はこのほど、「マイナンバーカードのセキュリティ対策」に関する情報を公開した。
マイナンバーカードは、運転免許証や健康保険証との紐づけなどがされ、今後さらに便利に活用できることが期待できるが、一方「落としたら自分の個人情報をすぐに悪用されるのではないか?」「政府に口座情報をのぞき見されるのでは?」などセキュリティ面での漠然とした不安を持つ人も少なくない。
野村総合研究所の冨田勝己氏は、マイナンバーカードのICチップ部分には、プライバシー性の高い税や年金などの個人情報は入っていないと説明する。また、裏面のマイナンバーを見られても、個人情報を盗まれることはないという。
「マイナンバーカードを落としたら、自分の個人情報をすべて抜かれてしまうのでは」という心配については、「万が一落としたとしても、他人が悪用できない仕組みになっている」と安全性を強調する。
その具体的な万全のセキュリティ対策として、「アプリごとにパスワードを設定し、一定回数間違うと機能をロック」「不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れる仕組み(=耐タンパー性)」のほか、顔無しの保険証等よりも悪用しにくいよう「マイナンバーを利用する手続きでは、マイナンバーと顔写真付きの本人確認書類が必要」を挙げている。
また、マイナンバー制度は、個人の情報を1か所に集めて管理する仕組みではないため、情報が芋づる式に漏れることもないという。手続きを受け付ける行政職員だけが、その手続きに必要な情報に限ってアクセスすることが許され ており、行政の職員が、新たに預貯金や資産などを見ることはできない仕組みとなっている。さらに不正なアクセスに備え、 第三者機関の「個人情報保護委員会」が監視・監督を行っている。
公金受取口座の登録は、政府が口座情報を把握するためではないかという不安を持つ人も少なくないが、口座番号等の情報の目的は、給付金の支給をするため。その際のみに行政機関等に提供されるため、政府がその口座の預金残高や入出金履歴等の情報を見ることもない。
「口座の登録をしておくと、給付金の申請手続等において、口座情報の記載や通帳の写し等の添付といった書面でのやり取りが不要になり、手続きを簡単にできます」と冨田氏。
さまざまな情報が入っているマイナンバーカードだけに、持ち歩きに不安を感じる人もいるが、冨田氏によると「いくつものセキュリティ対策がとられているため、運転免許証やキャッシュカード同様、持ち歩いて大丈夫」とのこと。ただし、「カードを落とさない」「マイナンバーカードを SNSに載せない」等の最低限の個人の対策は必要になる。
万一、紛失や盗難されてしまった場合、マイナンバーカードの一時利用停止を申請できる。24時間365日受け付けているため、紛失がわかった時点で早めに電話連絡することをすすめている。通話無料、 外国語にも対応している(英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語)。
マイナンバーカードがあれば、これまで行政機関まで出向かなければならなかったさまざまな手続きも、オンラインでできるようになる。忙しい年末でも、年末調整はオンラインで簡単に行うことが可能。
年末年始の旅行で「接種証明書」が必要になった場合も、接種証明書アプリとマイナンバーカードの連携でスマホでいつでも証明書を提示できる。健康保険証を持ち歩いていなくても、マイナンバーカードで利用できる医療機関・薬局も増えているため、旅行先の体調トラブルが生じた際も安心という。