2022年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器が登場しました。今年は何といっても物価高が直撃。デジタル機器の多くが、コスト高や円安を背景に、値上げを余儀なくされました。そんな中でも購入を決めたお役立ちアイテムを、デジタル業界に詳しいライター諸氏に聞きました。
2022年に購入したベストアイテム、今回紹介するのは本誌デジカメレビューでもおなじみの写真家の鹿野貴司さんです。鹿野さんが2022年に買ったイチオシ製品は、シグマのLマウント超広角ズームレンズ「16-28mm F2.8 DG DN」。シグマレンズを象徴する最上級のArtラインではなく、サイズ感も重視したContemporaryラインの交換レンズですが、お気に入りの理由は一体何でしょうか?
- 選んだ製品:Lマウント交換レンズ「16-28mm F2.8 DG DN」(シグマ)
- 実売価格:116,600円
- 選んだ理由:小さくてよく写るから
- 満足度(5段階):★★★★★
Artラインの14-24mm F2.8に匹敵する描写ながらコンパクトな設計
2022年に買ってよかったものは……あったかなぁ、というくらいモノを買わない一年でした。魅力的なカメラやレンズはそれなりに発売されたのですが、2021年に買いすぎた反動と、円安で価格が高くなったのが影響しているとかしないとか。そんななか、数少ないニューアイテムの中でもっとも重宝しているのが、シグマが6月に発売した広角ズームレンズ「16-28mm F2.8 DG DN」です。
2022年にシグマが送り出したレンズを見ると、2月に「20mm F2 DG DN」、8月に「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」。この16-28mm F2.8 DG DNも含めてすべて広角なのです(ちなみにレンズ自体は既存のモデルですが、DC DNシリーズの4本がフジXマウントで登場したことも添えておきます)。ソーシャルディスタンスとやらで人との距離が離れた時期もありましたが、ここらで近寄ってもいいんじゃない?というメッセージなのか、ひとりで風景を撮りに行く機会が増えたでしょ?広角レンズでダイナミックに撮りましょうという提案なのか、単に商品ラインナップを増やした結果なのか。まあ深い意味はなく、ふつうに最後の理由なのだと思いますが。
プロダクトラインではコンパクトさを追求したContemporaryに属する16-28mm F2.8 DG DNですが、写りはArtラインの14-24mm F2.8 DG DNと遜色ありません。というか、それぞれで撮った写真を2枚並べても見分けがつかないと思います。その14-24mm F2.8 DG DNは、ソニーEマウントで仕事に重宝していますが、コンパクトなシグマfp/fp Lで使うにはちょっと大柄。もっと小さい広角ズームがあればいいのに……と思っていたので、16-28mm F2.8 DG DNの登場はまさに朗報でした。
僕はfp/fp L用として、パナソニックの「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」という、超広角から標準までカバーするズームレンズも持っています。これはこれでとても便利なレンズなのですが、夏以降はfp Lに16-28mm F2.8 DG DNがほぼ着きっぱなしです。仕事で14-24mm F2.8 DG DNを持ち出す場面で、代わりにこの組み合わせを使うためです。広角レンズを使う状況では絞り込むことが多く、するとセンサーに付着したゴミが写り込みやすくなります。また、レンズ交換でゴミが侵入するのも悩みの種でした。そこでこの組み合わせなのです。fp/fp Lはカバーガラスのおかげでもともとゴミが写り込みにくいうえ、レンズ交換もしないので侵入の心配もなし。ソニーEマウントのメインカメラも、レンズ交換が減ることでゴミの侵入を減らすことができます。
fp/fp Lを仕事ではなく私事で使うときは、スクウェアの1:1を選ぶことが多いのですが、16-28mm F2.8 DG DNなら3:2に換算して20-35mm相当の画角に。結構使いやすいです。fp/fp Lは、ほかにもさまざまなアスペクト(縦横)比が選べるのですが、21:9もこのレンズがあるとワイドパノラマ感を表現しやすいと思います。
シグマといえば、多くのファンが待ち焦がれているのがフルサイズFoveonセンサーを搭載したカメラ。シグマの広報担当者に聞くと、開発部門は相当頑張っておられるとのこと。どうやらカメラを小さくするのが大変らしいのですが(まあsd Quattroやdp Quattroを見れば想像つきますな)、2023年には姿を現すことを願いたいものです。16-28mm F2.8 DG DNを磨いて待っております。