新型コロナに加え、インフルエンザの流行も予想されるこの冬、我々はどのような感染対策を施して乗り切ればいいのだろうか。

2022年12月21日、都内で「FUSEGU 2020 市民公開セミナー 親子で考える感染症対策」が行われ、タレントの杉浦太陽さん、藤本美貴さんらが登場した。セミナーでは感染症対策の専門家とトークセッションを実施し、意外に見落としがちな感染対策の基本や免疫ケアの方法について意見交換が行われた。

▼免疫ケアに大切なのは栄養と運動、睡眠、ストレス発散

  • 「FUSEGU 2020 市民公開セミナー 親子で考える感染症対策」が開催された

この日のイベントには杉浦さん、藤本さんに加え、感染症対策の専門家として東京大学医科学研究所附属病院の四柳宏病院長と、川崎医療福祉大学医療福祉学部子ども医療福祉学科の尾内一信特任教授も登壇した。藤本さんは前日に濃厚接触者になってしまったため、この日は急遽オンラインでの参加となった。

杉浦さんは4人の子どもを育てるイクメンとして知られ、2019年から2年連続で「イクメン オブ ザ イヤー」に選出。藤本さんも3児の母として精力的に子育てにあたり、2016年には「ベストマザー賞」も受賞している。

トークセッションの前半はクイズ形式で行われた。

まず、「大人とこどもで感染症にかかりやすいのはどっち?」という質問を投げかけられると、杉浦さんは「子ども」、藤本さんは「大人」と回答。杉浦さんは「(大人に比べて)子どもはまだ免疫力ができあがっていない」と述べ、藤本さんは「大人のほうが移動することが多く、いろんな人に会うことも多いことも踏まえると、大人のほうが罹りやすいのかと思った」と話した。

これについて尾内教授は、「基本的には子どものほうが免疫力が弱いので感染しやすい」と回答。子どもたちはいろんな感染症にかかって成長することで、徐々に免疫力も成熟すると説明した。

また、尾内教授は感染予防のアルコール消毒について、「アルコールが有効なのはインフルエンザや新型コロナウイルスだけで、風邪を引き起こすライノウイルスやノロウイルスには有効ではない。しかし、ハンドソープでの手洗いはどちらにも効果があるので、家ではぜひ石鹸で手を洗っていただきたい」と指摘。藤本さんは「アルコールが効かないのは初耳。びっくりしたけど勉強になった」と感想を口にした。

続いて、「子どもの感染症対策のために、うがいと手洗いに加えて大切なことはなにか」という問いが出題されると、杉浦さんは「身体自体を強くする」と答え、その理由について「運動や食に気を使って、自分自信の身体を強くすれば免疫力も上がるのではないか」と主張。藤本さんは「ストレスをためない」と回答し、「病は気からじゃないが、気を強く持つことでウイルスから身を守れるのではないか」と予想した。

これについて四柳氏はどちらも「正解」だと話し、「ウイルスや細菌とたたかうには、免疫の力を上げる『免疫ケア』が大事」と説明。免疫ケアの方法としては「よく食べて、よく寝て、よく遊ぶことがすごく大事。食事はバランスの取れたものを食べ、最低でも6~8時間は寝てほしい。そして、よく遊んで身体の血液をぐるっと回らせることも重要」だと話した。

最後に、「子どもの生活習慣で、免疫維持に良くない行動はなにか」という問題に対して、杉浦さんは「運動不足(ゲームなど)」、藤本さんは「食べ物の好き嫌いをする」と答えた。

ふたりの回答に対し、尾内教授は、「免疫力を高めるのは栄養と運動、睡眠、そしてストレスの少ない生活。この逆バージョンが免疫維持にはよくない」と指摘。「ずっとスマホをいじったりゲームをしていると、睡眠が減ったり、運動不足になる。一気に2つのリスクを抱えることになるので、ゲームをするなら時間を区切るなどの制限が必要かもしれない」と訴えた。

▼藤本さん「“マッチョ風邪ひきがち”は気付いていました」

その後、杉浦さんと藤本さんが日頃から実践する「免疫ケアチェック」も行われた。

杉浦さんは日々の食事について、自分の畑で収穫した野菜や、自ら釣った魚などを使った家庭料理をメインにしていると明かし、日々の運動や睡眠に関しては、「週2回のジム通いやサウナ、家でも子どもたちと一緒に運動している。それに、僕はめっちゃ寝るんですよ。毎日8時間以上寝ますし、杉浦家の休日は家族全員で10時間くらい寝ています」と紹介し、会場を驚かせた。

藤本さんは食事について、「魚や野菜など、いろんな品目を食べたいと思って作っている」と述べ、運動や運動については「エアロバイクをしたり、子供と公園で遊んだり、ウォーキングもしている。子どもがまだ小さいので、睡眠は寝られるときに寝るようにしているし、それでも眠いときはお昼寝したり、スキマ時間を狙って仮眠をとっている」と話した。

四柳氏は「私はどう考えてもおふたりほど素晴らしい免疫ケアはしていない」と苦笑いしながらも絶賛。「医療者に『健康維持のために何を食べているか』というアンケートをとったことがあるが、1位は納豆で、2位がヨーグルトだった。私も乳酸菌などの菌が入ったものを1日2~3食は食べているが、特にヨーグルトは食欲がなくても取りやすいのでおすすめ」と話した。

また、免疫ケアに効果的な運動について、尾内教授は「ランニングや散歩、エアロビクス、自転車などの有酸素運動をすると免疫力が上がるということは証明されている」と紹介。一方で、「あまり激しすぎない運動をコンスタントにやるのが大事。強度の高い運動だと免疫が落ちて回復に時間がかかるので、有酸素運動がいい」と説明した。

筋トレ好きで知られる杉浦さんは、同じく筋トレ好きタレントとして知られる藤本さんの夫・庄司智春さんの名を挙げ、「僕と庄司さんは気を付けなきゃいけないですね」と藤本さんに語りかけると、藤本さんは「“マッチョ風邪ひきがち”というのは気付いていました」と笑いを誘った。

  • 四柳宏さん、杉浦太陽さん、尾内一信さん

この日のディスカッションを終えた杉浦さんは、「感染症対策は基本的なことが多いが、ないがしろにもしがち。当たり前のことを当たり前に頑張ることが感染症対策、免疫ケアになることがわかった」と振り返り、子どもたちも自然と免疫ケアが行えるよう、大人が誘導していきたいと語った。