2022年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器が登場しました。今年は何といっても物価高が直撃。デジタル機器の多くが、コスト高や円安を背景に、値上げを余儀なくされました。そんな中でも購入を決めたお役立ちアイテムを、デジタル業界に詳しいライター諸氏に聞きました。
2022年に購入したベストアイテム、今回紹介するのは本誌デジカメレビューでもおなじみの写真家の大浦タケシさんです。大浦さんが2022年に買ったイチオシ製品は、キヤノンのRFマウントの超広角レンズ「RF16mm F2.8 STM」。EOSシリーズで人気の赤帯を巻く“Lレンズ”ではありませんが、それでも買った理由は一体何でしょうか?
- 選んだ製品:RFマウント交換レンズ「RF16mm F2.8 STM」(キヤノン)
- 実売価格:41,800円
- 選んだ理由:広い画角、満足できる写り、小型軽量、リーズナブルな価格!
- 満足度(5段階):★★★★★
デジタル補正を駆使し、F2.8の超広角レンズとは思えない価格とサイズに
私が、今年買ってよかったなと思うアイテムは、キヤノンの「RF16mm F2.8 STM」。2021年10月に発売され、直後にレビューで試用。その写りから欲しい欲しいと心底願っていたレンズです。実は、仕事で使用しているレンズは、赤帯を巻く“Lレンズ”がメインとなりますが、作品撮りなど個人的な撮影では大きく重すぎるうえ、見た目に「写真撮ってるぞ、どーだ!」って感じでちょっと大袈裟。また、古い人間なので、ズームレンズよりも単焦点レンズのほうが写真を撮る気にもさせてくれるのです。
レンズの明るさ(開放値)についても、ほどほど明るければ自分には十分。そこで、いわゆる“Non Lレンズ”といわれる赤帯がなく、比較的小型軽量であるRFレンズで、しかも単焦点レンズもなるべく揃えるようにしています。ちなみに、今回このレンズを手に入れたことで、所有するNon LのRF単焦点レンズは85mm、50mm、35mm、16mmの4本となりました。
このレンズの特徴といえば、収差などに対応する光学的な補正は一部にとどめ、デジタル処理での補正比率が大きいことでしょう。そのため、開放F2.8とする超広角レンズでありながら、鏡筒は軽量コンパクトに仕上がり、しかもお財布にやさしい価格を実現しています。光学的な補正のみで光学特性が完結していないため、あまり評価しない意見も聞きますが、そもそもデジタルカメラで撮影した画像は、いうまもなくデジタル処理により生成されたものであり、収差補正などに関しても以前より多かれ少なかれ行ってきていることを考えると、もっと前向きに考えていいように思えてしまいます。
しかも、デジタル処理を効果的に活用していることを明確に打ち出したレンズの登場は、フィルムからデジタルへ、あるいは一眼レフからミラーレスへと切り替わってきたように、必然的な時代の流れのようにも思えてなりません。ちなみに、本レンズの使用に関してカメラの撮影メニュー「レンズ光学補正」については、「周辺光量補正」も「デジタルレンズオプティマイザ」もONに設定するようにしています。他のRFレンズでも同様なのですが、やはり写りに活かせるものは積極的に活かしたいという気持ちからです。
普段の持ち歩きは、おもに「EOS RP」との組み合わせになります。「EOS R5」と組み合わせることもありますが、仕事用のカメラなので遊びのような撮影にはあまり持ち出したくないのと、大きさのバランスを考えると「EOS RP」がベストのように思えています。また、本レンズも「EOS RP」も手ブレ補正機構を備えていませんが、画角を考えると私の場合あまり問題になるようなことは少ないように思えます。
とにかく結果は“お値段以上”。超広角レンズながら画面周辺部もしっかりと結像しており、気になるようなところはありません。ゴーストやフレアの発生もよく抑えており(こちらは光学系で抑えるしかない)、撮影した画像をパソコンのモニターで見るたびに「買ってよかったと」思います。あとは、望遠域をしっかりとカバーして、軽量コンパクトな70-300mm F4-5.6クラスのNon Lズームレンズが登場することを日々願っております。