40年に及ぶ観測とデータ分析の結果、木星の気温は季節やそのほかの周期とは関係なく、一定の間隔で暖かくなったり寒くなったりしていることが判明。地球の自転軸が太陽に対し23.5度も傾いているのに対し、木星は3度しか傾いておらず、四季による変化に乏しいため、気温がこれほど規則正しく変動するとは予想外だったという。

また今回の研究では、何千kmも離れた地点同士の気温変化に不思議な関係性があることも明らかにされた。それは、北半球側の複数の地点で気温が上昇すると、南半球側の同じ緯度の地点で気温が低下し、それが規則的なパターンで反転しながら繰り返される、というもの。地球でも、ある地域の天気や気候のパターンがほかの場所の天気に大きな影響を与えることがあり、変動パターンが大気中のはるかな距離を越えてテレコネクトしている(遠隔相関がある)ように見える現象だという。

研究チームは次の課題として、この周期的で一見同期したような変化の原因を探ることを挙げる。しかし、木星大気中おいて発生するこのパターンは、何によって生み出されているのか、またなぜ特定の時間スケールで発生するのかは不明で、それらを理解するためには雲の層の上下両方を探索する必要があるとした。

木星大気の研究者らは、今回の結果が木星の天気の詳細な理解に貢献し、さらにはその予測にまで発展することを期待しているという。また今回の研究は、木星だけではなく、土星などの太陽系のほかの巨大惑星に加え、太陽系外にも存在するすべての巨大惑星の気候モデルへの重要な制限となり得るとしている。

研究チームは、温度変化とその周期を長期にわたって測定し、木星大気内でそれらの原因と結果を結びつけることができれば、完全な木星天気予報を実現するための一歩となるとする。より大きな観点からの課題は、いつか今回のような研究を他の巨大惑星にも拡張し、同様のパターンが見られるかどうかを検証するとのことだ。