三菱電機は12月20日、同社家電製品を使った高齢者見守り用サブスクリプションサービス「MeAMOR(ミアモール)」を発表しました。最大の特長は、家電製品に搭載するセンサーで見守るため、カメラの設置などを必要とせず、高齢者のプライバシーも守る点。サービスは2023年2月3日から始まり、利用料金は月額1,080円です。

  • MeAMORは「ME」(三菱電機)と「AMOR」(ラテン語で愛・慈しみ)を組み合わせた造語。家族間のコミュニケーション活性化がコンセプトになっています

    MeAMORは「ME」(三菱電機)と「AMOR」(ラテン語で愛・慈しみ)を組み合わせた造語。家族間のコミュニケーション活性化がコンセプトになっています

食事・室温・入浴という3つの観点から見守り

今回のサービス展開にあたって、高齢者を見守るために三菱電機は食事・室温・入浴の3観点に注目しました。MeAMORでは、三菱電機のルームエアコンと冷蔵庫、エコキュートを連携。一人暮らしする高齢の親などを、家電の使用状況や室内温度を通して離れて暮らす家族が把握・見守りできるようにするサービスです。ルームエアコンと冷蔵庫、エコキュートのうち、対象機種は以下の通り。

 対象製品 対象機種
■ルームエアコン 霧ヶ峰 2023年2・3月発売予定のZ/X/R/Sシリーズ72機種
■冷蔵庫 2021年以降に発売したMZ/WZ/WXD/MXDシリーズ17機種
■エコキュート 2018年以降の全機種227機種

見守られる側がMeAMOR対応の家電製品をインターネットに接続することで、見守る側がスマホアプリ「MyMU(マイエムユー)」内の見守り機能「MeAMOR」から、高齢家族宅の家電使用状況などを確認できます。情報は、Wi-Fi経由で三菱電機独自のクラウド「Linova(リノバ)」を介して、見守る側のアプリへ届けられる仕組みです。

  • MeAMORに対応した、2023年2月・3月発売予定のルームエアコン 霧ヶ峰(室内機)

  • こちらはMeAMORに対応した三菱電機製の冷蔵庫

  • 三菱電機のエコキュートを操作する台所リモコン・浴室リモコン

  • 一人暮らしする健康な高齢者や、単身暮らしは心配でも施設には入りたくない高齢者などを想定ユーザーとしています

具体的な見守り内容は、エアコンが室温と、センサー前を横切る動きなど活動状況(動体検知)の見守り、冷蔵庫がドア開閉検知による見守り、エコキュートがお風呂の湯はり検知による入浴・お湯使用状況の見守りです。

これにより、適切な室温を保った環境で暮らしているか、食事・入浴をしっかりしているかといったことを離れて暮らす家族が確認できます。また、カメラを設置せずに見守れることから、高齢者へのプライバシーにも配慮しました。

  • 生活シーン別の見守り例

  • エアコンに搭載するセンサー「エモコアイ」。エアコン本体の電源を切っていてもセンサーが動体検知するほか、小型犬などのペットを人として検知することは無いというため、見守り対象の状況をより正確に伝えられます

1ユーザーアカウントから各家電への最大接続数は、エアコンが10台、冷蔵庫が3台、エコキュートが1台。1ユーザーあたりの、見守り対象と見守る側は1対1(IDが1つずつ)です。ただし、離れて暮らす親を複数人で見守れるよう、複数IDへの対応も検討するとしています。

自分向けに細かく設定できるアプリが便利

個人的に好印象だったのは、MeAMORアプリ内で細かくカスタマイズできる点です。知りたい情報をトップ画面に表示可能なほか、長時間行動を検知しない場合や、日ごろのルーティンと異なった傾向が見られたときの通知、レポートを送る頻度、週単位、月単位での使用状況分析など、かなり細かい設定に対応しています。

  • 「MeAMOR」アプリ画面。エアコン・冷蔵庫・エコキュートが何らかの行動を検知した時間帯をグラフで表示します

特にレポートを送る頻度は朝昼夜の3回まで、時刻と送る・送らないを設定できます。見守られる側の行動が検知されなかった場合の通知は、1日~7日まで1日単位の設定です。遠方の両親がまだまだ元気で外出が多かったり、泊まりがけの旅行に行ったりするときは、通知頻度を下げるとよさそうです。もちろん、詳細に毎回通知してくれると安心という人もいると思うので、幅広いニーズに応えられるでしょう。

  • 通知の頻度や時間帯などは細かく設定できます

  • 1日単位でのレポート

  • 週ごと・月ごとの見守りレポートも。データは1年間まで保存でき、1年以上経過したデータから順に削除されていきます

MeAMORは、エアコン・冷蔵庫・エコキュートどれか1台がサービスに対応していれば利用可能です。現時点では他社の家電製品とは連携できませんが、将来的には他社製品ともつなげられる可能性もあるとのこと。両親と遠く離れた地で生活する筆者としては、今後の進展に期待しつつ、注目していこうと思います。