ぬいぐるみなどのグッズもできるほど、ユーモラスな姿で人気の「チンアナゴ」。

砂から頭を出してゆらゆらとする様子に癒されますが、日々水族館を撮影している銀鏡つかささん(@tsukarium)が目撃したのは、チンアナゴの意外な一面でした。

初めてこんなに大胆に泳いでるチンアナゴ見た(@tsukariumより引用)

  • 撮影場所:国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館、撮影者:銀鏡つかささん(@tsukarium)

画面中央の1匹のチンアナゴに注目。チンアナゴといえば、巣穴から身体を出してゆらゆらする姿が定番ですが、なんとこのチンアナゴは砂の中から完全に出て、悠々と泳いでいるのです。

  • 撮影場所:国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館、撮影者:銀鏡つかささん(@tsukarium)

ほかのチンアナゴたちのあいだをすり抜けながらスイスイと泳ぎ続けるチンアナゴ。「チンアナゴってこんなふうに泳ぐんだ」と驚いた人も多かったことでしょう。

この投稿に対し、リプライやリツイートでは「まるで龍のような…素敵です!」「こんな風に泳ぐんですね!」「あまりにも思ってた通り過ぎて笑いました」といった反響が続々。このツイートは10月24日時点で25.8万件もの「いいね」を集めています。

今回、チンアナゴが泳ぐ動画が撮影されたのは、沖縄県にある国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館「サンゴ礁への旅 個水槽」エリアにある円柱の水槽。多くの水族館を訪れているツイ主の銀鏡さんも「砂から出て泳がずのんびりしているチンアナゴは見たことがありましたが、泳いでいる姿は今回が初めて」だったそうです。

なかなか泳ぐ姿を見せないチンアナゴが、なぜ今回は砂から全身が出た状態で泳いでいたのでしょうか。知られざるチンアナゴの生態について、「沖縄美ら海水族館」に聞いてみました。

チンアナゴの生態、「沖縄美ら海水族館」に聞いてみた

――そもそもチンアナゴはなぜ砂に体を埋めているのでしょうか。

チンアナゴをはじめとするアナゴ科の魚類は外敵から身を守るため、砂に体を埋める種類が多く見られます。大きな生き物が近くを通ると、全身を砂の中に隠す様子が見られます。

――こちらのチンアナゴ、なぜ泳いでいるのでしょうか。

おそらく何かしらの理由で砂から出てしまったため、自分の隠れられる場所を探しているのかと思います。

――砂から全身が出た状態のチンアナゴは珍しいものですか?もしくはタイミングが合えば頻繁に見られますか?

普段は砂に隠れている生き物です。糞をするときも尾の先は砂に入ったままするぐらいなので、全身を見られるのは珍しいと思います。

時折投稿のように泳いでいる姿を見かけますが、どのタイミングで出てきているかはわからないため、頻繁には見られないと思われます。

――「沖縄美ら海水族館」のチンアナゴの展示について、こだわっているところがあれば教えてください。

人気のチンアナゴをできるだけ多くの方に見ていただけるよう、当館では合計3カ所でチンアナゴの展示を行っております。

縦長の水槽では、チンアナゴたちが一斉に同じ方向を向いてエサを食べる様子が正面から見やすいように水流の向きを調整しています。

また、チンアナゴをさまざまな角度から間近に観察できる円柱型の水槽では、普段は気づきにくい鰓穴や小さな胸鰭など体のつくりもじっくりと観察できます。

さらに、ほかの大型魚と混泳している水槽では、エサを食べるために砂から顔を出したと思えば、周りの魚の動きに応じて素早く身を隠したりと、水槽ごとにさまざまなチンアナゴの一面を見ることができると思います。


ツイ主の銀鏡さんに今回の投稿に対する反響への感想を聞いたところ、「素直にチンアナゴの人気の高さに驚きました。食用ではない魚でここまで認知されてる魚はなかなかいないと思うので、そこが1番の驚きでした」と語ってくれました。

小さな生き物でありながら、その知名度と存在感は抜群のチンアナゴ。今回、砂から全身が出た状態の姿が広く知られたことで、全国の水族館でのチンアナゴへの注目度がさらに高まりそうですね。