2022年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器が登場しました。今年は何といっても物価高が直撃。デジタル機器の多くが、コスト高や円安を背景に、値上げを余儀なくされました。そんな中でも購入を決めたお役立ちアイテムを、デジタル業界に詳しいライター諸氏に聞きました。
2022年に購入したベストアイテム、今回紹介するのは通信・デジタル業界を中心に活躍するライターの近藤謙太郎さんです。
近藤さんが2022年に買ったイチオシ製品は、ソニーのフルサイズミラーレス「α7C ILCE-7C」(以下、α7C)。半導体不足や製造コスト増のあおりをもろに受けて値上げ製品リスト(2022年3月発表)入りし、一時注文受付を中止する事態にもなっていました。それでも買った、その理由は一体何でしょうか。
- 選んだ製品:デジタル一眼カメラ「α7C ILCE-7C」(ソニー)
- 直販価格:208,000円~
- 選んだ理由:軽量コンパクトなフルサイズ機が欲しくて
- 満足度(5段階):★★★★★
「小さくて軽い」に勝るものなし!
ソニーが2020年10月23日に発売したミラーレス一眼カメラです。製品の特徴は、フルサイズ対応のαシリーズのなかで最軽量であること。筆者もそこが気に入り、購入を決断しました。普段から持ち歩くことを考えれば、小さくて軽い、これに勝るものはありませんからね(個人の意見です)。
「いま物価高だから時期が悪いのでは」「もうちょい待ったほうが良いのかも」といった心の声を振り払い、物欲の忠実なしもべとなりました。
α7Cの購入前には数多くのレビュー記事や動画を閲覧し、ネガティブなポイントを探りました。
その結果、ファインダーが小さい、SDカードスロットがひとつしかない、カスタムできるボタンが少ない、グリップが浅い、シャッター音が貧弱、などの的を射た指摘をいくつも目にしましたが、いずれも個人的には許容の範囲内と判断しました。
購入時に気になったのは、後継機「α7C II」(仮称)。まだ何の情報もなく、果たして発売されるのか否かも分かりませんが…。また、ニコンZシリーズも検討しました。こちらは、Zマウント対応レンズのラインナップが充分にそろうまで購入を待ちたいと思います。
それにしてもソニーのEマウント対応レンズは、バラエティが豊富です。レンズのカタログを眺めているだけで、幸せな時間を過ごせますね。
買い替えを決意した「映え」の不在
これまでメインのカメラとして、オリンパスOM-Dシリーズのm43(マイクロフォーサーズ)を数年間使い続けてきた筆者。軽い、手ブレしない、防水・防塵機能が素晴らしい、といったメリットを愛してきました。しかし一方で、フルサイズ機のボケ感、画質の良さに憧れもありました。
そんなある日のこと。取材先で撮影した俳優・清野菜名さんの写真が、どうしても気に入らなかったのです。構図、シャッタースピード、露出、ホワイトバランス、すべて良いのに『映え』がない…。レンズの望遠端で撮影したその写真は、色がベチャッと潰れ、立体感が出ていません。
そこで「いよいよ乗り換えるか」と決意。キヤノン、ニコン、ソニーの20~30万円台のフルサイズ機を見比べ始めました。
乗り換え先の条件は「移行前の装備(以下を参照)より大幅には大きく重くならないこと」と「12-100mmの便利ズームに置き換わるレンズが手に入ること」でした。
ほどなくして、αEマウント系のレンズにタムロンの28-200mm F2.8-5.6があることを知りました。m43機で使う12-100mmはフルサイズ換算で24-200mm。ほぼ同じ感覚で利用できそうです。
カメラ本体は最軽量級のα7Cにすんなりと決定。地元のカメラ店にてOM-D E-M1 markIIIと12-100mm PROレンズを16万円で売却し、そこに10万円を追加して新しい機材に乗り換えました。しかし、フルサイズ機に乗り換えたほうが、カメラ本体を含めた総重量が軽くなるとは…。嬉しい誤算でした。
移行前の装備
オリンパスOM-D E-M1 markIII × M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO (重量580g+561g)
移行後の装備
SONY α7C ILCE-7C × TAMRON 28-200mm F2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) (重量509g+575g)
仕事では11月18日の取材よりα7C+タムロンのコンビを使っています。使い勝手がよく、現場で写真を撮るのが楽しくなりました。
また、休日の散歩用にはシグマの単焦点レンズ90mm F2.8 DG DNを購入。こちらも素晴らしい解像度とボケ感で申し分ありません。ちなみにこのレンズ、重さわずか295gということで、カメラ本体と合わせても804gでおさまります。軽さは正義ですね。
フルサイズデビューで“沼”と再会
これまでのオールドレンズ遊びも、フルサイズで堪能できるようになります。手持ちのレンズでは、どんな写真が撮れるのでしょう?オールドレンズ沼にハマり始めた頃のワクワクする気持ちが戻ってきました。
これまでAPS-C機に装着し、フルサイズ換算127.5mmのレンズとして楽しんできたお気に入りのJupiter-9も、本来の焦点距離85mmで撮れるようになりました。今後、レンズの真の実力を発揮してくれそうです。
最後に。フルサイズ換算で100mmを超える中望遠域の感覚を再び味わいたくなった筆者は、先日、ほとんど衝動的に中古のCONTAX Carl Zeiss Sonnar 135mm F2.8をポチってしまいました。フルサイズデビューした先には、オールドレンズ沼との再会が待ち受けていました。