日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’22』(毎週日曜24:55~)では、北朝鮮による拉致被害者5人が訴えてきた本音に迫る『とまった時間 拉致…帰国20年』(テレビ新潟制作)を、きょう18日に放送する。
2002年10月15日、飛行機のタラップに日本中の視線が注がれた。拉致被害者5人が帰国を果たし、日本の地を踏んだのだ。再会を喜び合う家族たち。ただ、被害者のひとり、曽我ひとみさんは言いようのない悲しみを抱えていた。日本で再会できると信じていた母・ミヨシさんの姿はそこになかった。救出を求め署名活動、若い世代にもこの問題を知ってもらいたいと学生らと対話を重ねていくが一向に進展をみせないまま時間だけが経過。今年8月には思わず、「母のことを思い出しても思い出せない」と、切実な思いを口にした。
福井県で拉致された地村保志さんは、地元・小浜市の小中学校で講演活動を続けている。背景にあるのは、拉致問題が風化することへの懸念だ。20年の節目に開いた会見では「今解決しなければ、何の意味もない。悲しい歴史になる」と訴えた。
帰国後、拉致された新潟県柏崎市の海岸に立った蓮池薫さんは当時、何が起こったのか知ってもらいたいと、拉致された状況を生々しく証言した。「帰れないから、考えないと思うことが向こうで生きるうえでは力になった」と、自由を奪われた北朝鮮での24年間を振り返った。
いま、拉致され帰国できない被害者の救出を求め活動を続け、「北朝鮮に奪われた家族、親子が再会を果たせなければ、拉致問題の解決にならない」と訴えるが、2020年、ともに活動してきた横田滋さんが亡くなった。最愛の娘・めぐみさんとの再会を果たせないまま。その知らせを聞いた蓮池さんは「滋さんは、私に『帰ってきてよかった』と言ってくれた。めぐみさんが帰ってきていないのに。その滋さんが亡くなった、もう取り返しつかない。再会させられなくなった」と涙を流した。
拉致被害者5人が帰国した、あの日から20年。「最重要課題」として解決への決意を語ってきた歴代の日本の総理だが、この間にほかの拉致被害者の帰国は1人も実現していない。トップが金正恩になった北朝鮮は、ミサイル開発へ突き進み、拉致問題の進展は一向に見通せない。過ぎ去った年月、とまったままの家族の時間…この20年がもたらした現実をみつめていく。