大分県・別府温泉に位置する星野リゾートの温泉旅館「界 別府」は、12月1日より通年で建築家・隈 研吾氏が手掛けたアートな温泉街をめぐる「デザイン・建築ツアー」を開催する。
界 別府のコンセプトは「ドラマティック温泉街」。日本一の温泉地である別府温泉の往時の喧騒を館内で感じられるよう、館内に「温泉街」を表現し、時の移ろいと共に景色と館内で情景が変わる様を「ドラマティック」と表現している。本ツアーはチェックインの際にスタッフ同行のもと行うツアーで、建築デザインの背景を知ることにより、その後の宿泊を一層楽しむことができる。界 別府の設計・デザインを担当した隈 研吾氏がそのコンセプトに共鳴し、建物の構造や館内装飾デザインに込めた想いやこだわりを知ることができる。
コンセプトの「ドラマティック温泉街」を建築デザインで表現するにあたり、1つの現代建築の中に温泉街が浮かび上がるよう、半屋外空間を介して湯小屋へアプローチできるよう設計されていたり、温泉街の様々な店の門構えを演出するため、多様な素材、色を使い分け、提灯、行灯、光壁、など様々なかたちの光の演出がされており、工夫に満ちた意匠の背景を知ることができる。
内観には竹、別府石、臼杵(うすき)焼、豊後絞りなど、随所にご当地の素材が使われている。食事処は黒い塗装の空間のなかに、軽やかな竹のすだれが様々な高さ、幅でランダムに浮かび、半個室空間を形成。大浴場の壁面には、ご当地の磁器「臼杵焼き」が400個はめ込まれていて、間接照明の柔らかい光によってキラリと輝く。ご当地の素材が意外性ある形で取り入れられており、デザインの中で発見するのも楽しみのひとつとなる。
また、館内は伝統的な温泉地の路地を歩いているような懐かしさを感じつつも、わくわくするような遊び心のあるデザインに満ちている。ロビーには温泉の象徴である湯桶を積んだような手湯や、別府の魚商人の屋台からインスピレーションを得た台車、「BEPPU(別府)」のBをかたどった特徴的な脚をもつスツールなど、様々な仕掛けが見どころとなる。館内の各所に掲げられたサインにはオリジナルのピクトグラムが採用されている。
建築家・隈 研吾氏が手掛けたアートな温泉街をめぐる「デザイン・建築ツアー」は12月1日から、祝日を除く通年で14:00~15:00に開催される。料金はサービス料込みで1人3,000円。