ヴァージン・オーストラリア航空は2023年6月28日より、羽田=ケアンズ線を初就航すると発表した。同路線は東京(羽田)=ケアンズ間を毎日1便で結ぶルートで、ボーイング737-8型機で運行される。

同社の日本就航担当者で、ヴァージン・オーストラリアグループ・エグゼクティブリーダーシップチーム、ニック・ローラック氏よりその詳細を聞いた。

  • ボーイング737-800型機 提供:ヴァージン・オーストラリア航空

3つのトピックス

「今回は3つのトピックスに関してお伝えします。まずは、羽田=ケアンズ線の就航です。ケアンズはオーストラリアの北東部にある自然豊かなリゾート地への玄関口で、「世界最古の熱帯雨林」「グレートバリアリーフ」という世界遺産を有しています。また、飛行時間約7 時間45 分と日本から最短でアクセス可能なオーストラリアの空の玄関口としても知られています」(ニック氏)

同社は現在、ケアンズ国際空港に毎週150便以上を運航。オーストラリアの主要都市への乗り換えに、ワンストップ接続便を提供しているという。

  • 羽田=ケアンズ線のスケジュール(予定) 提供:ヴァージン・オーストラリア航空

「2、3つ目のトピックスは全日本空輸(ANA)とのパートナーシップの拡大。また、マイレージプログラム・特典交換・上級会員ベネフィットを相互提供することです」

ANAは2015年12月より羽田とシドニー間を1日1便運航しているが、2023 年初頭より、ヴァージン・オーストラリア航空の羽田=ケアンズ線の航空券も販売予定だという。そしてマイレージプログラム「ベロシティ(Velocity)」「ANA マイレージクラブ」の会員は、両マイレージプログラムの特典を相互利用することが可能となる。

もちろん、コードシェア便の利用範囲が拡大することで旅行者は、より多くの価値と選択肢を享受できるようになるのだろう。

ケアンズが選ばれた理由

この背景には世界的にコロナ禍が解消されつつある中、数多くのオーストラリア人が日本への観光を改めて望んでいることがあるという。

2014年から2019年にかけてのオーストラリアから日本への旅行者は年平均15.6%増の年間約62万2,000人※だったそうだ。※JNTO国籍/月別訪日外客数(2003年~2022年)より

もちろん、日本からオーストラリアを訪れる観光客にも活用してほしいとニック氏は期待を寄せる。ちなみにコロナ禍以前、同社は羽田=ブリスベン線を運行していたが、今回はケアンズに変更している。

この点について、ニック氏は「私たちの調査では、出張などのビジネス利用より観光利用の方が多い結果でした。そのため、より観光に適しているケアンズでの運行に決めました。またここ2年間、ケアンズからメルボルンやシドニーへ向かう便を拡大するなどして利便性を高めたことも付け加えておきます」とその理由を説明した。

  • 左からヴァージン・オーストラリアグループ・エグゼクティブリーダーシップチーム、ニック・ローラック氏、ジェネラルマネージャー・セールス ダレン・マクダーモット氏

現在の日本では、海外旅行をしたいと思える人は少ないもしれない。しかし、今回の運行は来年の6月。そのころには海外旅行へ対する不安な気持ちが変わっているのではないでしょうか、と日本人旅行者のマインドの変化を望んでいた。

残念ながら羽田以外の就航に関しては今のところ具体的なプランは無いそうだ。観光利用、そしてビジネス利用などがコロナ前にまで戻れば、そんな話も出てくるのかもしれない。