2022年も、さまざまな魅力を持つデジタル機器が登場しました。今年は何といっても物価高が直撃。デジタル機器の多くが、コスト高や円安を背景に、値上げを余儀なくされました。そんな中でも購入を決めたお役立ちアイテムを、デジタル業界に詳しいライター諸氏に聞きました。

2022年に購入したベストアイテム、今回紹介するのは情報誌やWebメディアを中心に幅広く記事を執筆するライターの井上晃さん。井上さんが2022年に買ったイチオシ製品は「Amazon Echo Buds(第2世代)」です。普段Apple製品を使っている井上さんが本機を購入した理由は、総合的な「ちょうどよさ」でした。

  • 「Amazon Echo Buds(第2世代)」。初代は国内販売されなかったため日本初上陸のAmazon完全ワイヤレスです

    2022年2月24日に発売した「Amazon Echo Buds(第2世代)」。“第2世代”と銘打ちつつも、初代は国内販売されなかったため日本初上陸のAmazon完全ワイヤレスです

  • 選んだ製品:Amazon Echo Buds(第2世代)(Amazon)
  • 直販価格:12,980円~
  • 選んだ理由:たまに使うANC対応のワイヤレスイヤホンとして
  • 満足度(5段階):★★★★

たまに使うANC用イヤホンなら安めで十分

僕はiPhone & Apple Musicユーザーなので、元々ワイヤレスイヤホンはAirPodsシリーズで揃えていました。インイヤー型の軽やかな装着感が好きなので、普段使いはもっぱら「AirPods」。ただし、ANC(アクティブノイズキャンセリング)が必要になるタイミングでは、カナル型の「AirPods Pro(第1世代)」を使っていました。

しかし、22年に入ってからどうもAirPods Proの調子が悪いみたいで、たまに片耳からビリビリとノイズが出るようになっちゃいました。まぁ、19年秋の発売直後に買ってから2年半くらいは持ちましたし、一般的なワイヤレスイヤホンの寿命に照らせば、まあ大往生と考えてもよいでしょうか。

さぁて新しいANC対応のイヤホンを買うか――と考えたときに「またAirPods Pro(第2世代)を選ぶべきか?」と悩んだわけです。

  • Amazon Echo Buds(第2世代)のケースを開けたところ

これは個人的なライフスタイルの変化による影響が大きいのが理由でした。19年当時は毎日のように取材仕事で都内の地下鉄に乗っていたので、ANC対応イヤホンは必須でした。ガタンゴトンと揺られながら、音楽聴いたり、インタビューの録音を確認してiPhoneのメモアプリで原稿の下書きをしているような日々でしたから。当時AirPods Pro(第1世代)は3万円弱しましたが、十分元が取れました。

しかし、ここ数年はすっかりオンラインを軸にした働き方に変えて、電車に乗るのも月に数回あるかないか。それ以外でANCを使うのは、流しに溜まった食器を洗うとき程度のもの。それならもっと安い機種でも良いのでは、という考えに至ります。

そんなタイミング(22年2月)で市場に出てきたのが、AmazonのEchoシリーズの名を冠したワイヤレスイヤホン「Echo Buds(第2世代)」でした。

第2世代と言いながらも、日本ではシリーズ初上陸なので、実質的には初めてのAmazon製の完全ワイヤレスイヤホンです。ANC対応で、周囲の音を取り込むアンビエントモードにもしっかり対応しています。さらにAlexaも使えるとのこと。

これは年柄年中ガジェットをレビューしている立場上、仕事としても役立ちますし、すぐにポチっていました。僕が購入したのはワイヤレス充電ケース付きモデルで、執筆現在は14,980円ですが、僕が購入したタイミングでは11,480円でした(ちなみに、ワイヤレス充電はさほど使わなかったので、いま買うなら12,980円のワイヤレス充電非対応モデルで十分だと思います)。

  • Amazon Echo Buds(第2世代)のイヤホン本体。アマゾンのロゴマークが耳にあるのはちょっとダサいですが、少なくとも「ブラック」のカラーでは、さほど悪目立ちしないように整えられていると感じました

同ジャンルの注目製品との比較するとコスパが高い

ちなみに、実はEcho Budsと同時期にソニーの「LinkBuds(WF-L900)」(購入時23,100円、執筆現在19,291円)も登場しており、コンセプトが面白そうだなと思って購入していました。また、9月に発売された「AirPods Pro(第2世代)」なども当然仕事でレビューはしました。

しかし、LinkBudsは、使ってからしばらくすると内部で部品が動く音がカチカチ聞こえて気になるようになってしまい、だんだん使用頻度が下がっていきました。

一方のAirPods Pro(第2世代)はハイエンドらしい音質やANCの精度の高さの良さこそかなりの満足感でしたが、4万円弱する価格に二の足を踏んでしまい、個人での購入には至りませんでした。

もちろん、いまや1万円を下回る完全ワイヤレスイヤホンなんてものも存在するわけでして、Amazon.co.jpなんかで探すと6,000円くらいで手に入る高コスパな製品もあります。なので価格だけをみれば、1万円強のEcho Budsが最善の選択肢だったかどうか断言が難しいところです。しかし、それでも総合的な使い勝手を考えると「Echo Buds」を買っておいて正解だったなと思っています。

  • 充電ポートがUSB Type-Cなのもありがたい

使ってみたうえでの満足度は70~80点といったところ

Amazon Echo Buds(第2世代)を使っているうえで、歯に絹を着せぬ評価をすれば、満足度は70~80点といったところ。音質に関しては、AirPods Pro(第2世代)などハイエンド製品の質を知ってしまったうえで比べると、やはり劣っている部分はあります。

ANCの精度について雑音の消え方が甘かったり、周囲の音を聞こえるようにするアンビエントモードも効きが甘くてレジの店員さんの声を聞き逃してしまったり――という不満も少しはありました。

それでも、前段で述べた通り、ANCを使う機会そのものが限られているので、70~80点の音質、ANC精度で使えれば十分なのです。何より長期的に使用して、これといった不具合がなかったのは信頼感にも繋がりました。

さらに、音声アシスタント「Alexa」を使えるのが意外とよかった。皿洗いとか庭の草むしりとか、手がつかえないタイミングで「いま何時?」とか確認できるのがなかなか便利なのです。一応、我が家にはAlexa連携可能なスマート家電なども設置してはいるのですが、難しい使い方よりもシンプルな機能が相性良かったですね。

そんなこんなで、これからANC対応完全ワイヤレスイヤホンをゲットしたい人には、ひとまずEcho Buds(第2世代)を基準に考えてみてはどうでしょうか、とご提案しておきます。

  • 正直、音質に期待する製品ではありません。一方、スマホの「Alexa」アプリから、通話時に自分の声を聞くかどうかや、タッチ操作の設定など、細かいカスタマイズができるようになっているのはポイントです