アップルは12月13日、この5年間で1,000社近い日本のサプライヤー(企業)に1,000億ドル(約13兆7600億円)以上を支出し、100万人以上の雇用創出に貢献したと発表しました。iPhoneなどをはじめとする製品で用いられている電子部品やアクセサリーの製造会社や、iPhoneアプリのデベロッパーなど、多岐にわたります。

  • 日本だけで何十万もの雇用を支えるiOSアプリの分野で活躍できるよう、iOSアプリ制作を学生に指導する熊本県立大学の飯村伊智郎教授

日本最大のサプライヤーの1つとして挙げられたのがソニー。同社は、2011年からiPhoneカメラ用センサーを供給しており、最新モデルのiPhone 14 Proの48MPメインカメラで採用されたクアッドピクセルセンサーの製造も担っています。iPhoneのカメラ機能の性能向上に長年寄与しつつ、センサーを製造するソニーセミコンダクタソリューションズ熊本テクノロジーセンター(熊本県菊池郡菊陽町)周辺の雇用拡大にも貢献しています。

  • iPhone 14 Pro/14 Pro Maxのメインカメラには、48MPのクアッドピクセルセンサーが用いられている

  • アップルのティム・クックCEOは、12月13日にソニーセミコンダクタソリューションズ熊本テクノロジーセンターを訪問した

ソニーのような大企業だけでなく、中小企業も重要なサプライヤーとして活躍しています。福井県越前市にある井上リボン工業は従業員155人の中小企業ながら、優れた細幅織物技術を利用して、一部のApple Watchバンドを製造しています。

  • 井上リボン工業が細幅織物技術を利用して製造したとされる、Apple Watch Ultra用のアルパインループ

アップルがサプライヤーと取り組んでいるのが、アップルと関連する事業を100%再生可能エネルギーでまかなうようにすること。2030年までにこの目標をクリアすることを表明した日本のサプライヤーは29社にのぼり、その数はこの2年間だけで3倍に増えているといいます。

特に、先に紹介したソニーセミコンダクタソリューションズは2030年に向け、直接排出と電力関連の排出を含むアップル関連製品の製造を完全に脱炭素化すると明言。これにより、ソニーはアップルが推進しているグローバルサプライチェーンの脱炭素化に賛同する最初の日本企業となりました。

  • iPhoneカメラ用のイメージセンサーを生産しているソニーセミコンダクタソリューションズは、2030年までにアップル関連製品の製造を完全に脱炭素化すると公表した

iPhoneアプリのデベロッパー(アプリ開発者)にも、さまざまな恩恵がもたらされています。アップルのアプリストア「App Store」の日本版は、世界で3番目に大きな市場となっていて、日本で約100万人の雇用を支えているといいます。デジタル商品やサービスを提供するアプリを通じて日本のデベロッパーが得た利益は、これまでの累計で500億ドル(6兆8670億円)以上に達し、2019年の時点から倍増しているといいます。

  • GIGAスクール構想で導入されたiPadを授業で活用することで、将来のリーダーやクリエイターの育成にもつながっている