今回の観測では、無事に同時偏光観測に成功。この実現のためには、これまでの観測経験をもとに、偏光観測に適切かどうかをすばやく見極める手法を確立していたことが重要であったと研究チームでは説明する。

分析の結果、電波の偏光度は可視光よりも低いことが判明したという。また、波長による偏光の違いから、残光を放射している衝撃波の詳細な状態を解明できるとしており、特に、偏光を使わなければ観測できない隠れたエネルギーの割合を推定でき、爆発エネルギーが光へ変換される効率を測定することが可能としている。

さらに、変換効率はこれまで100%と想定されていたが、今回は約30%以下であると産出された。これは、この典型的なGRBの本当の爆発エネルギーが、これまでの方法の推定より3.5倍以上大きかったことを意味することになるという。爆発エネルギーのもとになるのは爆発前の星の重力のエネルギーであり、もし10倍以上大きければ、典型的なロングGRBの起源となる星の重さや爆発の理論の修正を迫ることになると研究チームでは説明しているほか、ファーストスターは、それが引き起こすロングGRBを検出することで発見できる可能性があり、その重さの推定は宇宙の進化史の解明にもつながるとしている。

  • ガンマ線バーストGRB191221Bの想像図

    ガンマ線バーストGRB191221Bの想像図。(右下挿入図)通常の光と偏光した光で観測したGRB191221Bの観測画像。爆発のエネルギーが光に変換されたもの(残光)が観測されるが、偏光を使うことで爆発エネルギーを正確に推定することができる (C)Urata et al./Yu-Sin Huang/MITOS Science CO., LTD.(出所:東北大プレスリリースPDF)

なお、今回開発された測定手法を、ほかのさまざまな種族のGRBに適用することが重要だと研究チームでは説明しており、現在、100~1000年に一度という規模の史上最高エネルギーのガンマ線が検出された2022年10月9日のGRBに適用中とのことで、この爆発エネルギーの光への変換効率を測ることで、GRBの正体に迫ることが期待されるとしている。