東京商工リサーチはこのほど、2022年1~11月における「農業の倒産動向」調査の結果を発表した。それによると、1~11月の農業倒産は累計67件で、すでに前年1年間(42件)を上回り、過去20年間で最多だった2020年(80件)に迫っていることがわかった。

「畜産農業」の倒産、前年同期の約3倍に急増

  • 農業の倒産 年次推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

負債総額は867億400万円と、前年1年間(44億9,700万円)の19.2倍に急増。要因としては、負債100億円以上の2件を含む同10億円以上の大型倒産が14件と、前年同期(1件)から大幅に増加したことが挙げられる。

業種別(小分類)にみると、「耕種農業」が最も多く前年同期比44.0%増の36件。内訳では、野菜作農業(16→25件)、果樹作農業(2→6件)などで増加した。次は「畜産農業」の26件で、同188.8%増と前年同期の約3倍に急増。内訳では、養鶏業(5→15件)、養豚業(0→3件)、肉用牛生産業(2→3件)などで増加が目立った。

地区別では、全9地区のうち、北陸(3→1件)を除く8地区で前年同期を上回った。最も多かったのは関東の14件(前年同期比100.0%増)で、前年の2倍に増加。以下、近畿(同120.0%増)と九州(同22.2%増)が各11件、中部が10件(同25.0%増)、東北が9件(前年同期0)と続いた。

同調査では、「倒産急増はコロナ禍による需要減、豚熱(豚コレラ)などの伝染病に加え、飼料や肥料価格の高騰、高止まりする燃料価格などの想定外の負担が大きく、経営を圧迫している。価格転嫁も難しいなかで生産コストアップが経営の足かせとなっており、農業分野はしばらく厳しい局面が続きそうだ」と分析している。

調査は、 2022年(1~11月、負債1,000万円以上)の倒産から、日本産業分類の「農業」(「耕種農業」「畜産農業」「農業サービス業」「園芸サービス業」)を抽出し、分析したもの。