「真実と事実の違いは何か」と聞かれても、意味が似ていますので即答できない人は多いでしょう。どちらにも「まこと」という意味がある「実」という漢字が使われていますが、使われる状況は少し異なります。とくにビジネスシーンで使うのであれば、間違った使い方を避けて使いたいですよね。
この記事では、「真実」と「事実」それぞれの意味や類義語、使い方や英語表現などを紹介します。
「真実」と「事実」の意味を混同してしまい、使い分けに自信がないなら、ぜひご一読ください。
「真実」と「事実」の違い
「真実」と「事実」は似た状況で使われる言葉ですが、少し意味が異なります。違いを理解して使い分けましょう。ここでは、「真実」と「事実」それぞれの意味と、類義語を紹介していきます。
「真実」とは
「真実」は、「本当の」という意味がある「真」と、「本当、ありのまま」という意味がある「実」から成り立っています。 2種類の似た意味がある漢字が一緒になって、「嘘偽りがないこと」「本当のこと」という意味がある「真実」ができ上がりました。
「事実」とは
「事実」とは、「できごと」という意味がある「事」に、「真実」と同じ「実」という漢字から成り立っています。ここでも、「実」の意味は「本当、ありのまま」です。
この2つの漢字の組み合わせによって、「事実」は「実際に起こったできごと」「現実に存在すること」という意味になりました。
類義語は「真理」
「真実」と「事実」の代表的な類義語は「真理」です。
「真理」は、「本当の」という意味がある「真」と、「物ごとの筋道」という意味がある「理」の組み合わせでできています。
2種類の漢字の意味が一緒になって、「真理」は「いつどんなときでも変わることがない正しい物ごとの筋道」「真実の道理」という意味になりました。
「真理」は「真実」と「事実」と比べると長い時間軸における「本当のこと」を指す点が、「真実」や「事実」との違いです。
「真実」と「事実」の使い分け
「真実」と「事実」は少し意味が異なる言葉ですので、使われる状況が少し異なります。ここでは、「真実」と「事実」の使い方の違いについて見ていきましょう。
使い方の違い
「事実」とは「実際に起こったこと」という意味がある言葉であり、実際に起こった事柄を指す言葉です。一方「真実」は「ありのまま」という意味がありますが、内容は個人の解釈によって異なります。
つまり「事実」は誰が見ても同じなので「語る」ものですが、「真実」は人の心の持ちようによって異なるため「明かす」ものという点が、「真実」と「事実」の大きな違いです。
「真実」の使用例
・彼女の心にある真実は、誰にもわからない
・ついに観念したのか、彼は真実を打ち明けた
・逮捕された犯人による真実の告白は、世間を驚愕させた
・この大ヒット作は実際の体験がもとになっている小説だからこそ真実味がある
このように、「真実」は人から語られるような状況でよく使われます。
「事実」の使用例
・事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ
・犯人の自供によってようやく事実が判明した
・彼女がプロジェクトを引っ張っているのは周知の事実だ
・彼からの事実無根の言いがかりによって、大変な迷惑を被ってしまった
このように「事実」は、実際に起こったできごとを指して使われます。
「真実」と「事実」の英語表現
「真実」と「事実」は意味が少しずつ異なることから、英語表現でも異なる単語が用いられます。ここでは、「真実」と「事実」それぞれの英語表現を見ていきましょう。
「真実」の英語表現
・This is true story.(これは真実の物語です)
・I consider him a real friend.(私は彼を本当の友人だと思っています)
・He spoke a naked truth.(彼は赤裸々な真実を語った)
このように、「真実」の英語表現には「true」「real」「truth」などがよく使われます。
「事実」の英語表現
・His talk finally revealed the fact.(彼の話によってようやく事実が判明した)
・As a reality, he is the leader.(事実、彼がリーダー役を担っている)
上記で示したように、「事実」の英語表現には、「実際」を意味する「fact」や、「現実」を意味する「reality」などがよく使われます。
「真実」と「事実」は類義語だが使われる状況が異なる言葉
「真実」と「事実」は似た状況で使われる言葉ですが、意味が少し異なります。「真実」とは、「嘘偽りがなく本当であること」という意味ですが、「事実」は「現実に存在する事柄」という意味です。英語表現では「真実」が「truth」、「事実」が「fact」であるように、使われる状況が異なる点に注意しましょう。
つまり「真実」はその人にとって本当のことを指しますが、「事実」は実際に起こったできごとを指します。
「真実」と「事実」は似た意味がありますが、使われる状況が異なる言葉です。この記事で紹介した使用例を参考に、使い分けに注意してください。