刺青とタトゥーは何が違うのか気になっている人も多いでしょう。そこで本記事では、刺青とタトゥーの違いを解説します。
また、刺青と入れ墨の違いや刺青のほかの呼び方、和彫りと洋彫りについてもご紹介します。さらに、刺青とタトゥーの除去についても説明するので、ぜひ目を通してください。
刺青とタトゥーの違いは?
刺青の英語表現がタトゥーとなりますが、この両者に厳密な違いはありません。
ただ、刺青を彫るときは深いところまで針を入れ、一方のタトゥーは刺青に比べて浅い部分に針を刺して色素を入れるため、「皮膚に針を刺すときの深さが違う」との考えもあるようです。
それでも、針を刺す深さは実際に絵柄を彫る彫り師によって異なってきますし、彫られる人の体質や使用するインクにによって変える必要も出てきます。刺青は真皮の少し下、深さにすると1.5~2mm程度の部分まで針を刺すのが一般的なようですが、刺青とタトゥーのいずれも「皮膚から何ミリに刺して彫る」という明確な規定はありません。
刺青(いれずみ)とは
刺青は皮膚に針や小刀、骨片で傷をつけて墨汁を入れ、文字や絵を描いたものです。墨汁のほかに、酸化鉄や朱(しゅ)を入れて着色する場合もあります。
江戸時代の日本や古代中国では刑罰だった
江戸時代や古代中国では、刑罰として刺青を入れていました。顔や腕に刺青を入れることで前科の印を表現していた歴史があります。江戸時代では刺青を入れた人のことを「入れ墨者(いれずみもの)」と呼んでいました。
刺青と入れ墨に違いはあるのか
刺青のもともとの表記は「入れ墨」です。1910年に谷崎潤一郎の著書『刺青(しせい)』が発表されて以降、「いれずみ」の漢字に刺青が使われるようになったとされています。入れ墨の文章語が刺青で、意味は同じです。
江戸時代の前科者の顔や腕に入れられたものを指す場合は「入れ墨」と表記します。
刺青のほかの呼び方
「いれずみ」はほかにも、以下のような呼び方があります。
- 彫り物(ほりもの)
- 文身(ぶんしん・いれずみ)
- 倶利伽羅紋々(くりからもんもん)
- 紋々(もんもん)
タトゥーとは
タトゥーは刺青の英語表現です。英語の「tattoo」をカタカナ読みした言葉で、タヒチ語で「叩く」という意味の「ta tau(タタウ)」が語源といわれています。
洋彫り=タトゥー、和彫り=刺青
タトゥーという言葉が日本に浸透して以降、西洋的な絵柄や文字を彫ったタトゥーを「洋彫り」、和風的な絵柄や文字を彫った刺青を「和彫り」と、分けて指すようになりました。
絵柄や文字の違いから、ヤクザが入れるようなものを「刺青」、ファッションとしてカジュアルに入れるものを「タトゥー」と呼び分けることも。さらに高齢者は「刺青」、若者は「タトゥー」と呼ぶ傾向があります。
最近は絵柄や文字に大きな違いはない
最近は和柄を繊細でカラフルなタトゥーで入れたり、和柄と洋柄をミックスさせたりするため、絵柄や文字でタトゥーと刺青の違いを明確にするのは難しいです。
海外に行けば刺青もタトゥーと呼ばれるなど、使い分けは個人により異なります。
刺青とタトゥー、除去しやすさに差はあるのか
刺青やタトゥーは、どちらも簡単に消すことができません。皮膚に浅く針が刺されていれば比較的除去しやすいといえますが、レーザーが反応する色が使われていることが条件です。一方で、伝統的な手法で彫られたものやさまざまな色が使われているものは、高性能のレーザー機器でも肌をもとの色に戻すのが難しいといわれています。
医療機関や美容外科で刺青やタトゥーの除去を行う場合、いくつか方法があります。代表的な除去方法は主に3つです。
- レーザー照射: レーザーで徐々に薄くする。複数回行う必要がある
- 単純切除: 対象部分をメスで切除し、近くの皮膚を縫い合わせる。大きさによっては何回かに分けて切除が必要
- 切除したあとに皮膚移植: 切除する部分が大きい場合に、お尻や太ももの皮膚を移植。1週間ほど入院が必要
刺青とタトゥーの違いを把握しましょう
刺青とタトゥーの明確な違いはありません。ただ、皮膚に刺す針の深さが異なるという考え方もあり、一般的に刺青は深く刺すため立体的で複雑な絵柄や文字が描け、肌の広範囲にわたって描かれるケースが多いです。
一方のタトゥーは浅く針を入れるのが特徴で、平面的な仕上がりになります。肌にワンポイントで入れるケースが多くみられます。そして、どちらも「皮膚から何ミリに針を刺す」という明確な規定はありません。
「いれずみ」はもともと、入れ墨と表記する言葉で、江戸時代に前科の印として扱われていたものです。谷崎潤一郎の著書の影響で文章語として「刺青」の漢字が浸透するようになりました。刺青と入れ墨の意味は同じです。
和風的な絵柄や文字を彫ったものを和彫り、西洋的な絵柄や文字を彫ったものを洋彫りと呼び分けることもあります。
刺青とタトゥーの違いのほか、どちらも一度入れると除去するのが難しいということもあわせて覚えておいてください。