ダイソンは、ノイズキャンセリング(NC)機能と空気清浄機能を備えたヘッドホン「Dyson Zone」のすべての仕様を公開。2023年に中国や米国など一部の国で発売予定だ。価格は公開していない。
「都市の騒音と大気汚染という2つの課題に取り組むため設計された」という新製品で、2022年3月に披露した製品の詳細仕様と発売時期が決まったかたち。リチウムイオンバッテリーを内蔵しており、空気清浄と音楽再生を合わせて4時間利用できるという(音楽再生のみで50時間)。USB-C充電に対応し、3時間でフル充電可能だ。
2023年1月に中国で、同年3月にアメリカ、英国、香港、シンガポールで販売開始を予定している。日本での展開は未定だが、ダイソンWebサイトでは既に日本語ページを用意。ニュースレターに登録することで、日本での展開など最新情報を受け取れるという。
Dyson Zoneの詳細
ユーザーの耳と鼻、口を覆うユニークな形状のヘッドホンで、ダイソンの約30年にわたる、気流やフィルター技術、モーター技術に関する専門知識と、室内外の空気質に関する“深い理解”から生まれたという製品。各イヤーカップ内にコンプレッサーを備え、二重構造のフィルターを通して空気を吸い込み、浄化した2つの気流が非接触型シールドを通して着用者の鼻と口に流れる。
静電フィルターは0.1μというサイズの粒子状汚染物質を99%捕捉し、カリウムを含んだKカーボンフィルターでNO2(二酸化窒素)やSO2(二酸化硫黄)といった都市汚染の代表的な酸性ガスを浄化するという。フィルターの寿命は最長12カ月。
ヘッドホンとしては「低音、中音、高音域にわたり明瞭で、歪みを最小限に抑え、広周波数帯域、没入感の高いHi-Fiオーディオ」を追求しており、再生周波数帯域は6Hz~21kHz。さらにノイズキャンセリング(NC)機能を備え、本体に搭載した11個のマイクのうち8個を使って集音。1秒間に38万4,000回周囲の音をモニタリングし、最大38dBまで騒音を低減するという。
スピーカードライバー、電子装置、機械構造、素材、音響に至るまで、歪みを最小限にするために慎重に設計。40mm径のドライバーユニットの出力は、毎秒48,000回の高度な信号処理によって均等化し、NCと組み合わせることで全周波数帯域にわたり、高周波の歪みを聞き取れないレベルまで中和する(0.08%@94dB@1kHz)。
さらに、独自のEQ設定によって周波数カーブを最適化し、「クリアでピュアな音声」が楽しめるとする。没入感のあるサウンドと、快適な付け心地も追求。さまざまな頭のサイズや形状でテストを行い、「すべての人に同じ没入感のあるサウンドを実現させる」としている。
このほか、通話機能も備え、2つのマイクによるビームフォーミング技術とノイズ抑制技術でクリアな音声通話、音声録音、音声コントロールを可能にした。通話用マイクは、フィードフォワード方式のNCと組み合わせることで、デュアルマイクビームフォーミングを実現。着用者の後方や横からのノイズを抑えて、明瞭な音声通信ができるようにする。
Dyson Zoneは「MyDyson」アプリに対応。ヘッドホンに搭載したセンサーでNO2濃度を監視し、騒音レベルとともにリアルタイムでモニターできるという。また、ヘッドホンの加速度センサーでユーザーの運動量をモニターし、シールドを装着したオートモードでは、浄化した気流を適切に調整。シールドを傾けると会話モードが起動し、自動的に空気清浄機能と音楽再生を一時停止して充電の消費を抑える。
同アプリでは、ヘッドホンの操作や風速、NCモードの調節に加えて、オーディオのイコライジングをDyson EQ(最適化)、Bass Boost(低音)、Neutral(フラットなレスポンスカーブ)の3モードから好みに合わせて選べるようにした。アプリは聴覚健康ガイダンスに基づき、最大音量が自動設定されているが、必要に応じて設定変更も可能だ。
なお、同ヘッドホンは英国、シンガポール、マレーシア、中国にまたがるチームによって設計。ソフトウェアは特に東南アジアの拠点で重点的に開発したとのことで、他のダイソン製品と同様にDyson Zoneに対しても、極端な温度環境下でのテスト、落下テスト、素材や生地の摩耗テスト、ボタンの堅牢性など、さまざまなテストを実施。ダイソンマレーシア開発センターの専門テストエンジニアは、英国でのテストに加えてより温暖で湿度の高い地域でのテストにも参加しており、米国、英国、中国、シンガポールでユーザートライアルも行ったとのこと。