KDDIは12月8日、鹿児島県屋久島町にある白谷雲水峡の携帯電話エリア対策を10月中に完了したと発表した。同地区のエリア整備は国内通信事業者として初。
白谷雲水峡は、世界自然遺産にも登録された屋久島の原生林を比較的容易に鑑賞できる場所で、毎年約10万人が訪れるという人気の観光スポット。以前からエリア化の要望が上がっていたが、国立公園内のため工作物の新規設置が難しく電気も通っていないこと、地形や樹木の影響が大きくエリア設計が困難なことなどから難航していたという。
今回のエリア整備にあたっては、鹿児島県が有する既存の建物に基地局を設置することで工作物の設置制限をクリアした。電力は白谷雲水峡にある屋久島町の小型水力発電機から供給を受ける。景観に配慮し、一般的な基地局に用いられるアンテナ(約2m)ではなく、約30cmの小型アンテナを導入した。
KDDIは白谷雲水峡のほかにも、島内各所(宮之浦岳山頂、縄文杉、荒川登山口、ヤクスギランド)でエリア対策を実施している。また、同様に制約の多い国立公園内かつ過酷な自然環境におけるエリア整備の事例としては、富山県を走るトロッコ列車、黒部峡谷鉄道全線のエリア化も2022年8月に実現した。